ライター病 ライタービョウ

初診に適した診療科目

ライター病はどんな病気?

ライター病とは反応性関節炎とも呼ばれ、尿道炎、結膜炎、多発性関節炎を主な症状とする脊椎関節炎の一種です。
泌尿生殖器や消化管の感染が関節の痛みと炎症を生じている場合があります。
皮膚症状である手掌足底における角化性紅斑、腱の炎症、眼の充血なども良く見られるライター病の典型的な症状です。
症状の一部の現れ方は男性か女性かによっても異なります。
診断には強直性関節炎、淋菌及び非淋菌性尿道感染症、関節症性感染など類似した症状が現れる疾患との鑑別が求められます。

ライター病は発症の原因から大きく二つの型に分類することができます。まずはクラミジア感染症に代表される性感染症の患者に起こるものです。
これは特に若い男性に多く発症が見られるという特徴があります。
もう一つが細菌性赤痢やサルモネラ症に代表される腸管感染症を発症した後に発症するものです。
これらの感染症の後にライター病を発症するかどうかは遺伝的素因も関連しているとされています。

主な症状

ライター病を発症すると、膝関節、足の指の関節、かかとなどの関節に同時に痛みや炎症を生じますが、最も影響が大きいのは脚の大きな関節とされています。
痛みの程度は個人差があり、軽度な場合から激しい痛みを伴うケースまでさまざまです。
左右非対称に関節に症状が現れる点は、関節リウマチとは異なる点です。
重度の場合、その他に腱、背中などにも痛みを生じます。微熱、体重減少、過度の疲労なども現れる場合があります。

性的接触や下痢などから感染し、約1~2週間後に現れる場合が多いのが尿道に炎症が起こる尿道炎です。
これは男女で症状が異なり、男性の場合は陰茎の痛み、分泌物、陰茎亀頭の発疹などが挙げられます。
一方女性の場合には症状が現れても比較的軽度で少量のおりもの、排尿時の不快感などが挙げられます。

結膜の充血によって炎症を起こす、口の中や舌にびらんができることで圧痛がある、膿漏性角化症と呼ばれる手のひらなどにできる特徴的な斑点の発疹なども症状の一部です。
心臓や血管、末梢神経系などに症状が現れることもあります。

主な原因

ライター病はシゲラ、クラミジア、エルシニア、サルモネラ感染がなどを原因として発症します。
性感染症の代表的なものがクラミジア感染症です。
また、腸管感染症の代表的なものには細菌性赤痢、サルモネラ症、エルシニア感染症、カンピロバクター感染症などが挙げられます。
まれに膀胱がんに対するBCG膀胱内注入療法と呼ばれる治療が行われた後に発症するというケースも確認されています。

関節炎を引き起こすメカニズムは明らかになっていないものの、 ヒト白血球抗原のうちのHLA-B27と呼ばれる抗原と関連が深いと考えられており自己免疫疾患ともされています。
このことから原因不明のリウマチ性疾患である強直性脊椎炎に近しい原因で発症すると考えられています。
またライター病は遺伝性はないとされているものの、HLA-B27との相関関係も認められています。
感染症と免疫反応の役割については現在でも不明な点が多く、研究が進められています。

主な検査と診断

ライター病の診断には問診、診察、X線検査などによって行われます。
まずは特徴的な関節症状に併せて、先行している感染症があればライター病が疑われます。
特に性器、泌尿器、皮膚、眼の症状がある場合、疑いは強くなります。
しかしこのふたつが同時に現れていない場合でライター病を疑うことは難しく、正確な診断がされずに経過してしまうこともあります。

確定診断のために、X線検査が行われることがあります。これは関節の状態を評価する目的で行われ、他の疾患である可能性を排除するためにも役立ちます。
またHLA-B27陽性率が高いことも、診断の助けとなります。必要に応じて尿道分泌物や尿から細菌培養を行ったり血清抗体価測定、PCR検査なども行われます。

頻繁に再発を繰り返している場合、関節、脊椎、仙腸関節などに変形を起こしている場合もあります。
一部には永続的な障害が残る可能性があるため、早期に医療機関を受診することが大切です。

主な治療方法

ライター病の治療には標準的な方法として免疫抑制薬や抗生物質などを用います。
性器や尿路感染を原因とする場合、抗菌薬の投与が一般的です。
抗生物質では、テトラサイクリンやドキシサイクリン、エリスロマイシンなどが投与されます。
これによって関節炎の症状が軽減することもあればしないケースもあります。投与期間についても最適な期間などが現在のところ分かっていません。
また関節の炎症には非ステロイド系抗炎症薬による治療が一般的です。
症状を緩和するために炎症を起こしている腱や関節にコルチコステロイドを注射する方法もあります。
症状が遷延化している場合には抗リウマチ薬の使用も検討されます。

症状が落ち着き、回復傾向にある期間では理学療法によって関節の可動を維持するよう努めることも大切です。
また症状が結膜炎や皮膚のびらんなど、軽度な場合には特別な治療の必要はなく自然に回復していきます。
ぶどう膜炎など強い眼の炎症に対してはコルチコステロイドや散瞳薬の点眼も行います。