麻疹・はしか(小児) マシン ハシカ ショウニ

初診に適した診療科目

麻疹・はしか(小児)はどんな病気?

麻疹・はしかは麻疹ウイルスによって起こる感染症です。

ウイルスに接触すれば免疫がない人はほぼ100%発症する、非常に高い感染力が特徴で、子どもがかかりやすい代表的な病気としても知られています。
しかし近年では麻疹ワクチンの予防接種を1回しかしていない若年層が海外由来の麻疹にかかるケースも増加傾向にあります。

発熱・咳・鼻水風など邪のような症状から始まり、3~4日後くらいにはしかの発疹が出てきます。
麻疹ウイルスは全身のリンパ組織を中心に増えていくため、一時的に免疫力が低下します。これにより別の細菌やウイルスによる感染症が重症化するケースにも注意が必要です。

一度感染して発症すれば免疫は一生持続すると言われており、予防接種で麻疹ワクチンが普及している日本においては以前と比較して患者数は激減しておりWHO(世界保健機関)にも麻疹の排除状態にあると認定されています。
根本的な治療法がないことから、予防接種が効果的で重要な対策と言えるでしょう。

主な症状

麻疹・はしかの潜伏期は10~12日間ほどと言われており、まず一般的な風邪と同じように発熱とともに咳、鼻汁、めやにや目の充血が症状として現れます。

乳幼児ではその他に下痢や腹痛が初期症状として現れることも多いです。
大抵1度目の発熱は38度程度で、一旦やや解熱して落ち着いた後に2度目の発熱が起こります。2度目はさらに高く40℃を超えることもあります。
最初の発熱が下がってくる頃、口腔内(頬の内側)に細かな白色の発疹がみられ、これをコプリック斑(はん)と呼びます。首や耳の後ろに小さな紅斑ができ、次第に顔から体、手足へと広がり茶色く変化します。

発疹はしばらく残りますが、1ヶ月程度で自然に消えていきます。
麻疹は合併症に注意が必要で中耳炎・肺炎・脳炎が代表的です。特に肺炎・脳炎は重症化すれば命にかかわるケースもあり、麻疹に一度かかった子供が数年の潜伏期を経て亜急性硬化性全脳炎を発症するという例もあります。

主な原因

麻疹・はしかにかかる原因は麻疹ウイルスへの感染です。

多くは飛沫感染、さらに空気感染、接触感染など感染経路もさまざまで、感染力の高い麻疹は手洗いやマスクでは予防が難しいとされています。
せきやくしゃみなど、唾液に含まれる麻疹ウィルスは空中にとどまり、近距離にいる人がその飛沫を吸い込むことにより感染します。
また、狭い部屋などの閉鎖空間ではウィルスが最長2時間空中にとどまります。

おもちゃに触れるなど物を介しての感染は飛沫感染と比較すると確率は低いとされています。
母親が麻疹の免疫を持っている場合には、乳児は生後12か月程度まで母親から移行した抗体を保持することができます。

麻疹・はしかは予防接種により高い確率で予防できる病気でもあります。はしかのワクチンは1~2歳の間に1回、5歳くらいに1回の計2回接種します。
はしかの子どもに接触してしまった場合に、72時間以内に予防接種を受けると高い確率で発症をおさえることができ、緊急性のある場合にも効果的です。

主な検査と診断

麻疹・はしかの診断方法は、特徴であるコプリック斑や症状、周囲の流行状況から総合的に診断を下します。

代表的な初期症状は風邪とほぼ変わらないため、発疹が出て初めて麻疹・はしかが疑われるというケースも少なくありません。
麻疹・はしかが疑われる場合には、血清抗体検査や麻疹ウィルスへの抗体を持っているかなども含めて検査を行います。

病原体診断にウイルス分離やPCRを用いた遺伝子検査も可能ですが、検査結果が出るまでに時間がかかることもあり、まずは血清抗体検査を行う流れがこれまで一般的でした。
しかし近年は診断が難しい種類の麻疹が増えていることもあり、抗体検査と血液や尿などを用いたウイルスの検査をどちらも行うことが推奨されています。

迅速に正確な診断を行うことは感染を新たに広げないためにも重要です。
特に感染していても典型的な症状が出ないケースもあり、気が付かないまま感染源となってしまうケースもあります。

主な治療方法

麻疹・はしかの治療とは、症状を緩和する治療とも言えます。麻疹・はしかを治療するための薬はなく、根本的な治療法はありません。

発熱には解熱薬(アセトアミノフェン・イブプロフェンなど)を使用したり、細菌感染が起こった場合は抗菌薬を使用するなどその症状を緩和する薬を都度使用します。
ビタミンA欠乏症が多い発展途上国などでビタミンAを投与し、死亡者や重篤な患者の数が減ったことからビタミンAを投与するのも一般的です。
中耳炎や細菌性肺炎は麻疹にかかった場合に多い合併症で、その場合は抗生物質を投与します。

また肺炎などで呼吸状態が悪い場合には人工呼吸器を使用することもあります。
場合によって死亡することもある脳炎(けいれん・意識障害)を合併した場合にはステロイドも使用し、慎重に処置が行われます。

子どもの場合は脱水症状や下痢などにも注意が必要です。こまめな水分補給で脱水を防ぎ、暖かくして安静を保つことで回復のサポートをします。