副腎皮質機能低下症(アジソン病) フクジンヒシツキノウテイカショウ アジソンビョウ

初診に適した診療科目

副腎皮質機能低下症(アジソン病)はどんな病気?

副腎皮質機能低下症は副腎皮質ホルモンの分泌が必要量以下に低下する疾患で、特に副腎皮質自体の病変による原発性の慢性副腎不全をアジソン病とも呼びます。
アジソン病は難病に指定されている疾患です。コルチゾールやアルドステロン・アンドロゲンなどが不足する代表的なホルモンで、免疫反応に深く関係しています。
結核などの感染症や自己免疫疾患、がんの転移などを原因として発症します。

副腎皮質ホルモンが不足することで易疲労感、全身倦怠感、脱力感などの症状が現れます。
消化器症状、精神症状などを引き起こす場合もあり、症状は多岐に渡ります。皮膚や関節部の色素沈着、腋毛、恥毛が抜けるなどの症状も挙げられます。
また、突然に急性副腎不全を引き起こし、命に係わる状態になるリスクもあります。

副腎皮質の機能が回復することはありませんが、ホルモン補充など適切な治療を行いながら日常生活を送ることは可能で、予後は比較的良好と言えます。

主な症状

副腎皮質機能低下症は、発症すると易疲労感、全身倦怠感、脱力感、筋力低下、体重減少、低血圧などがまず初期症状として現れます。
現れる症状や程度には個人差があるものの、これらの症状から徐々に進行していく場合が多いです。

また消化器症状としては食欲不振、悪心・嘔吐、下痢などが挙げられ、精神症状としては無気力、不安、うつなどが挙げられます。顔や肘、膝、爪床に黒い斑点が現れたり、乳首や口、陰嚢に青い斑点が現れるのはアジソン病の特徴的な症状です。また発熱などのストレスにさらされた場合、副腎不全を引き起こし危険な状態に陥るリスクがあります。

基本的に一度副腎皮質機能低下症を発症すると副腎機能の回復は期待できません。
ステロイドホルモンの補充による適切な治療が行われれば症状もなく日常生活を送ることが可能です。
ただし服用を忘れたりするとショックを起こし、命に関わる可能性もあるため治療は生涯にわたって継続する必要があります。

主な原因

副腎皮質機能低下症はコルチゾール、アルドステロン、アンドロゲンなどに代表される副腎皮質で産生されるホルモンが低下することが原因で発症します。
コルチゾールは糖分をエネルギーに変える役割を果たしており、アルドステロンは水分やナトリウム、カリウムのバランスを整えたり、アンドロゲンは筋肉量や性欲に関係しています。

これらのホルモン分泌が低下する要因として挙げられるのがウイルス・細菌による感染症、自己免疫異常です。
結核感染を原因として発症しているケースは減少傾向にあり、真菌性の感染症、後天性免疫不全症候群によるケースが増加傾向にあります。

自己免疫異常の場合、自身の副腎皮質を敵とみなして誤って攻撃してしまうことが原因です。
これには遺伝子が関与している可能性もあると考えられています。この攻撃によって副腎皮質がダメージを受けることでホルモン分泌に影響が出ます。
そのほかの原因としてはがん細胞の転移や副腎皮質の出血なども例として挙げられます。

主な検査と診断

副腎皮質機能低下症の診断には問診や診察の他、血液検査、尿検査、CT検査、MRI検査、ホルモン値測定などが行われます。
問診や診察では自覚症状や家族歴、特徴的な色素沈着がないかなどに注目して行われます。
さらに副腎皮質機能低下症の検査において最も重要になるのが血液検査です。
血液検査では血液中の副腎皮質ホルモンの値と副腎皮質刺激ホルモンの値を確認し、基準値と比べた数値の変動がないかをチェックします。
通常の採血を行って検査する方法と、副腎皮質ホルモンを増やすホルモンを注射した後に検査する方法とがあります。また、尿検査では尿中にある副腎皮質ホルモンの代謝産物の値に注目します。腹部CT検査やMRI検査などの画像検査では副腎に腫瘍や出血、石灰化を生じていないかを確認することができます。

さらに詳しく状態を確認したい場合に、副腎皮質に対する抗体検査や電解質異常の確認などが必要に応じて行われます。副腎皮質機能低下症の診断においては、ホルモン分泌の低下の確認と、その原因の特定が重要です。

主な治療方法

副腎皮質機能低下症の治療は不足するステロイドホルモンを補充する方法が中心となります。
グルココルチコイドとミネラルコルチコイドなどを症状の程度に合わせて内服や注射、点滴によって補充します。

症状が進行して急性副腎不全を発症している場合、ステロイドの量を増やし、水分や糖分、塩分なども含めて速やかに補充を行います。
特に急性副腎不全の場合治療開始が遅れると命にかかわるケースもあります。
新生児期や乳児期の子供に対しては食塩の補充も重要です。

症状が安定した後でも、副腎から出るホルモン分泌が急激に低下して起こる急性副腎不全を発症するリスクは残ります。
主に発熱やストレス、疲労が重なった場合や、薬を突然中断した場合などに発症するケースが多いです。
継続してステロイドホルモン補充し、定期的に検査を受けることでリスクを軽減することができます。
また、ストレスがかかった際には内服量を増やすなど、きめ細かい管理が必要です。日ごろから規則正しい生活を心がけ、体調が優れない場合には速やかに医師に相談するようにしましょう。