外因性やせ ガイインセイヤセ

初診に適した診療科目

外因性やせはどんな病気?

外因性やせとは、主に食事に関する問題が大きく関係しているやせを指します。
病的なやせとはるいそうとも呼ばれ、からだの脂肪組織が急激に減少し、体重が減少した状態を指します。
筋肉組織なども伴って減少します。基準としては体重が標準体重より20%以上減少している場合にやせと診断されます。

外因性やせは主に断食、長期にわたるダイエット、飢餓、下剤の乱用、嚥下障害などにより栄養不足、摂取エネルギー不足となり起こります。摂取した食べ物がうまく吸収されない吸収障害を生じているために症状が進行する場合もあります。吸収障害として最もおおいとされているのが慢性下痢、慢性膵疾患などが挙げられます。また、消化管の手術後に吸収障害が現れる場合もあります。

やせが進行すると骨が突出し、高齢者の場合には床ずれを起こしたり、皮膚が弾力を失う髪もパサつきなどの外見的な症状としても現れます。また低栄養になることで倦怠感などの症状や免疫能の低下などが起こる場合があります。

主な症状

外因性やせにおいては体重が急激に減少することが主な症状です。
やせが進行すると脂肪量が減少し骨が突出した状態になりやすいという特徴があります。それによって床ずれをはじめ皮膚の弾力が無くなる、皮膚が硬くなり乾燥する、冷たくなるなどの症状が現れます。また髪もパサつき、抜け毛の増加なども目立ちます。

低栄養状態が根本にあるやせの場合、筋肉量の減少や倦怠感、貧血、血圧低下、浮腫の他、傷が治りにくくなる、免疫機能が低下するなど症状は多岐に渡ります。

身長と体重の比率の基準となるBMIで18.5以下になるとまずは低体重と判定されます。やせの中でも特に問題を生じているケースはBMIが17.6未満のケースとされており、さらに標準体重を20%以上下回る、6か月以内に10%以上の体重減少があるなどの条件に当てはまる場合、病的なやせを表す、るい痩と判断されます。

るい痩になるリスクには骨格筋の萎縮減少、貧血、血圧低下、低栄養、低蛋白、浮腫、ビタミン欠乏、免疫能の低下などが挙げられます。

主な原因

外因性やせの原因は主に食事にまつわるものが多く、ダイエットによって食事量を減らしすぎたことや、断食などによる飢餓も原因としてあげられます。
これらの原因から栄養不足、摂取エネルギー不足に陥ているケースが多いです。

そのほかには慢性の消耗性疾患も原因となる可能性があります。
摂取量や内容に問題があるのではなく、それをうまく体内に取り込めないことでやせにつながるものです。
具体的には下痢などの慢性腸炎、悪性腫瘍、エネルギーの消費が過剰になる慢性感染症、胃下垂症、栄養分の利用障害を生じる肝疾患、腎疾患、慢性膵疾患などが挙げられます。
ダイエットもしていないのに体重が減り続けるといった場合にはこれらの原因も疑われます。

やせや体重減少は病院を受診する目安が難しいと考えられていますが、体重減少以外に何らかの症状が現れた場合に受診することが推奨されます。外因性やせは基本的に食事の摂取量の減少によるものですが、その影に自覚していない疾患がかくれている場合もあります。

主な検査と診断

外因性やせの診断には、問診や診察の他、原因と疑われる疾患があればそれを特定するために検査が行われます。
基本的にやせは身長や体重などから基準となる値を下回っていれば特別な検査は行わずに診断されます。
基準には標準体重やBMIが用いられることが多いです。ただ健康状態を維持するために適正な体脂肪量や体重には個人差があるため、体質的なやせなど一概に数値では判断できない部分もあります。ただ体重が標準体重より20%以上減少している場合には、治療が必要な状態とされています。

やせが外因性のものであるか内因性のものであるかを確認することが重要です。
内因性やせには内分泌障害、薬物、精神疾患を原因に生じるものや、体質的なやせなどが含まれます。
外因性やせは食事にまつわる栄養不足、摂取エネルギー不足によります。このことから、原因と疑われる疾患の可能性を除外していく必要もあります。

医療機関を受診する場合、迷った場合には内科を受診するとよいでしょう。ストレスなど心の問題を自覚している場合には精神科を受診する選択肢もあります。

主な治療方法

外因性やせの治療は、病因に合わせた食事療法が主な治療法となります。
正常体重に回復し、安定した食生活になるまで、経過観察を行いながら時間をかけて徐々に回復を目指します。
症状が進行する前の段階で早めに医師の診察を受けることが、治療期間を短縮させることに繋がります。
また、外因性やせを引き起こしている疾患がある場合には、薬物療法や手術などその疾患に応じた治療も行われます。

外因性やせの治療において最も重要といえるのが食事や運動の習慣を見直すことで生活習慣を整えることです。
栄養状態を改善するために食形態を検討したり、カロリー補助食品を用いる場合もあります。
患者が高齢の場合などには胃瘻(いろう)造設などが必要になるケースもあります。過度なダイエットは控え、適切な食事量と運動を行うことで生活習慣からやせを改善していくことが重要です。やせによって床ずれなどを起こさないように皮膚の清潔や保湿を保って皮膚を保護する予防的スキンケアも行われます。