運動中突然死

初診に適した診療科目

運動中突然死はどんな病気?

運動中突然死とは運動中に突然不整脈などを発症することで起こる突然死です。
外見的に健康で基礎疾患などがない場合にも発症する可能性があります。
中高年の場合はランニングのスタートやゴール直後、ゴルフの最中などに突然死することが多いと言われています。
男女比で見ると男性の発症が女性の役10倍とされており、男性に発症が多い傾向があります。

運動によって急性のストレスがかかると、心筋虚血や死に至るような不整脈の誘発を起こるリスクがあります。発症の原因には重篤な心室性不整脈の他にも心筋梗塞、脳卒中などが挙げられます。

運動中の突然死を予防には運動前の体調チェックや準備体操、運動後の整理体操などが重要です。
特に運動後の整理体操では心臓へ血液を戻すよう促す効果が期待できます。

主な症状

運動中突然死の場合であっても重篤な症状を発症する前に徴候が見られる場合が多いです。
失神や息切れなどの症状には特に注意が必要です。
例えば運動中にこれらの症状が現れてもそのまま運動を継続した場合、突然の呼吸停止などを引き起こすこともあります。
また、徴候が現れていてもそれを認識していないケースも多いです。何らかの症状を自覚した際には運動を中止し、指導者などに報告することが重要です。

徴候を自覚していない場合、運動中に発生する心停止の予知は困難ということもできますが、すぐに適切な蘇生を行えば救命も可能です。
救命のために重要なのが目撃者、救助者、AEDが近くに存在することです。
これらの条件を満たしやすいスポーツ施設や学校においては、運動中突然死の救命の確立が高いと言えます。
健康な若いスポーツ選手で見ると約100,000人に3人の頻度で突然死するとされています。
そのため運動中突然死は特別珍しいものではなく、スポーツをしている場合にはリスクがあるものと考える必要があります。

主な原因

運動中突然死は大部分が原因不明の急性心不全と判断されますが、それはさまざまな要因から起こります。
代表的な例では特発性心筋症、急性心筋梗塞、心臓弁膜症、不整脈、マルファン症候群、くも膜下出血などの循環器系の病気なども死因となることがあります。

運動中突然死を引き起こす要因としては、喘息、熱射病、運動能力向上薬やレクリエーショナルドラッグの使用などが挙げられます。
本人が自覚していない肥大型心筋症、拡張型心筋症なども要因となります。そのほかに不整脈をもたらす疾患としてはQT延長症候群やブルガダ症候群などの心疾患、大動脈瘤なども要因とひとつとされています。痩せ型のスポーツ選手が胸に衝撃受けた場合、突然不整脈を起こす場合があり、これは野球やホッケー、ラクロスなどで見られます。

普段から血圧が高い、コレステロール値が高い、また心臓に疾患があるなどの危険因子を抱えた状態で急激に運動をすると、心臓に負担がかかりやすいためリスクが高いと言えます。

主な検査と診断

運動中突然死はスポーツを始める前にディカルチェックを行うことでリスク要因となりうる疾患を発見することが可能です。
主に医師による問診や血圧や血液検査などが行われます。しかし一般の若年層の場合、特に自覚症状や異常がない場合に検査が行われることはほぼないと言ってよいでしょう。
メディカルチェックで何らかの異常が見つかった場合、より詳しく心電図や心エコー検査なども行われます。

問診と身体診察によって運動中突然死の徴候がないかを確認することも重要です。
胸の痛みや不快感、失神しそうな感覚、疲労、呼吸困難などが運動中に起こっていないか、家族歴、薬剤の使用などについてなどに重点を置いて確認を行います。
家族歴では運動中に死亡した家族や50歳未満で突然死亡した家族の有無がポイントです。

35歳以上の人が激しい運動をする前には心電図検査と運動負荷試験を行った上で医師が許可できるかの助けとする場合もあります。特に競技スポーツへ参加する際に検査が行われます。

主な治療方法

運動中突然死が起こった場合、直ちに蘇生を行います。医療機関以外の場所で蘇生を行う場合、AEDと呼ばれる自動体外式除細動器を使用する場合が多いです。
AEDに記載されている指示に従い、一般の人でも比較的容易に使用することができる機器です。

AEDは心室細動と呼ばれる不整脈を検出して正常化するための装置で、使用することで救命の可能性が高まります。
AEDが電気ショックを与えると心拍が再開するケースもありますが、心停止の状態が続く場合には心肺蘇生が必要です。

心拍が再開した場合、経過を見ながら不整脈などを引き起こした疾患がないか検査を行ったり、その治療が行われます。
心室細動を起こす可能性が高いと医師に判断された場合、今後のために植込み型除細動器を埋め込む治療や家庭用AEDの購入なども検討されます。

運動中突然死を予防するためには運動前のメディカルチェックやストレッチなどの準備運動、整理体操によるクーリングダウンを行うことが効果的です。