洞血節機能不全症候群(洞不全症候群) ドウケツセツキノウフゼンショウコウグン ドウフゼンショウコウグン

初診に適した診療科目

洞血節機能不全症候群(洞不全症候群)はどんな病気?

洞血節機能不全症候群とは徐脈性不整脈の一種で、心臓の洞結節と呼ばれる部分の働きが鈍くなったり電気刺激の伝わり方が悪くなったりすることで発症する疾患です。
洞血節機能不全症候群は特に高齢者で多く、心疾患や糖尿病にかかっている人にもよくみられる傾向があります。

洞結節は心臓の電気活動において重要な役割を果たしており、心臓のペースメーカーの役割を果たしています。
洞結節がうまく機能しなくなると心拍が持続的に遅くなる洞徐脈を引き起こしたり、洞結節の活動が完全に停止する洞停止を引き起こす場合がります。
心拍リズムが遅くなる徐脈と頻拍性不整脈が交互に見られる徐脈頻脈症候群は、洞血節機能不全症候群の中でも特徴的な病型です。

特定の薬や甲状腺機能低下症によって発症する可能性があるとされていますが、原因を特定できないケースも多くあります。原因不明の場合には洞不全症候群と呼ばれています。

主な症状

洞血節機能不全症候群の場合、脈が遅くなるという特徴があります。
心臓からの血液が不足すると全身に酸素が行きわたらないため、さまざまな症状が現れる場合もありますが症状が全く現れないケースも珍しくありません。
脈拍数や運動などによる脈の変化、併発する不整脈などの状況によっても現れる症状には個人差があります。

場合によって倦怠感や脱力感、疲労、動悸、足のむくみなどの症状が現れることもあります。
また心拍が非常に遅くなった結果としてめまい、ふらつき、失神に至る場合もあります。
10秒以上の長い時間脈が止まった場合には脳への血液が十分に供給されなくなり失神やめまいを引き起こす可能性が高いです。
失神は頻脈から正常なリズムに回復する過程で生じる可能性もあります。
息切れや疲労感は運動時に生じることが多く、これは運動時にはそれに見合う血液が供給されないためです。
安静時では、徐脈によって心不全になり、呼吸困難の症状が現れる場合もあります。

主な原因

洞血節機能不全症候群の原因は洞結節への血流障害、心筋症、高血圧によって発症するケースが多いとされています。
また副交感神経が強い状況で起こることも多いです。これはトレーニングを積んだ運動選手に当てはまる場合が多く、迷走神経からの過剰な刺激によって心拍が抑制されるために発症するものです。
冠動脈疾患などの血流を抑制する病気やリウマチ熱、心筋炎にように炎症を引き起こす病気が原因となるケースもあります。

中でも原因として最も一般的なのが洞結節における瘢痕組織の線維化とされています。
また全身状態を反映して発症する場合もあり、具体的には甲状腺機能低下症、高カリウム血症、頭蓋内圧亢進、低体温などが原因として挙げられます。
また薬物が原因とされる場合の例としては、β遮断薬やジギタリス、モルヒネなどが挙げられます。
このように洞血節機能不全症候群を発症する原因はさまざまありますが、原因をはっきりと特定できないケースも多く存在します。

主な検査と診断

洞血節機能不全症候群の診断には問診や心電図検査が行われます。
脈が遅い、不規則である、安静時に脈が大きく変動する、運動中に脈が速くならないなどの特徴から洞血節機能不全症候群が疑われます。

特に心臓の電気活動を確認する検査が重要です。
ホルター心電図検査と呼ばれる検査は長時間に渡って心臓の電気活動を観察することを目的に行われる検査で、24時間心拍リズムを記録することができます。多くの場合、ホルター心電図検査の結果から診断が下されます。また心臓電気生理学的検査は心臓内にカテーテルを挿入して電気活動を記録できる検査で、より詳細なデータが必要な場合に行われます。
検査方法から患者への負担が大きいというデメリットがありますが、治療方針を決定するための重要なデータが得られます。
トレッドミル負荷試験と呼ばれる運動負荷を与えた状態で行う心電図検査もあります。

他の心疾患や腎臓病との関連が疑われる場合には必要に応じて胸部X線撮影、心エコー図検査、血液検査なども併せて行われます。

主な治療方法

洞血節機能不全症候群はその症状から見て病的でないと判断されれば積極的な治療を行わないことも多くあります。
特にスポーツ選手などの身体活動が活発な人や高齢者に多く見られる傾向がありますがこれらは病的ではないとされるケースも多いです。

脈が一定のレベルを超えて遅くい場合や失神やふらつきなどの症状が現れている場合にはペースメーカーを用いた治療が検討されます。
現在のところ脈を早める効果が期待できる薬剤は存在しません。ペースメーカーは心臓の収縮リズムをコントロールするための機械で、洞血節機能不全症候群の場合は主に心拍数を上昇させるために用いられます。ペースメーカーを体内に埋め込むことで洞血節機能不全症候群の影響がない日常生活を送ることが期待できます。
まれに頻脈も見られるという場合には心拍数を低下させるために不整脈治療に使用されるベータ遮断薬やカルシウム拮抗薬などを併せて使用することもあります。

脈が遅くなる薬剤を内服していたり、腎臓や甲状腺の疾患などで症状が現れている場合にはそれに応じた治療が行われます。