非特異的亀頭包皮炎 ヒトクイテキキトウヒフエン

初診に適した診療科目

非特異的亀頭包皮炎はどんな病気?

亀頭包皮炎は泌尿器科の外来では比較的ポピュラーな病気です。
通常は、包茎(真性包茎・仮性包茎)にともなってみられます。
包茎では、勃起していない自然な状態で包皮の先端部となる包皮輪(ジャバラの部位)を境にして、包皮の皮膚は、外板と内板に分けられ、内板は亀頭に接しています。
この亀頭と包皮内板の表面が細菌に感染し炎症がおこった状態を亀頭包皮炎といいます。
「非特異的亀頭包皮炎」とは、この原因となる細菌(病原菌)が特定できない感染性亀頭包皮炎の総称です。いわゆる雑菌による亀頭包皮炎です。

主な症状

感染機会から2日~3週間の後に急に症状がでてきます。
発症すると、亀頭および包皮内板の皮膚が赤くなり(発赤)、時に赤い斑点がでたり、タダレたり(糜爛)、痛くなったり(疼痛)、痒くなったり(掻痒)します。
感染がひどいと膿性の分泌物がでてきます。特に包皮の先から黄色の分泌が出てきますと、淋菌感染症と誤診してしまう可能性がでてきますから、丁寧な診察が必要となります。
包皮内板、冠状溝周辺はウエットな状態となりジュクジュク、ズルズルして下着が汚れたりします。
尿道炎が併発していると排尿痛があり、尿道口から分泌物が出てきます。
視診が決め手となります。
小児あるいは包茎(真性・仮性)の方では白黄色の固まったカス(恥垢)が、冠状溝、内板に溜まっている場合もあります。
感染機会のない包茎(真性・仮性)の方では、症状は軽くなりますが、発症すると、亀頭や包皮内板が赤くなり、時に赤い斑点がでたり、タダレたり、痛くなったり、痒くなったりします。

主な原因

小児では生理的包茎が原因で発症する場合が多く、成人でも包茎(真性・仮性)が原因で発症する場合があります。この場合は、性感染症ではありません。
亀頭が包皮におおわれている状態が長期間におよぶと、包皮の内板と亀頭の間に恥垢(アカ)がたまってきます。恥垢は尿で汚染されやすく、細菌感染が生じやすくなります。
外陰部は体温や尿により高温・多湿となり、かつ外気に触れにくいといった条件から、細菌繁殖の温床となるとも考えられます。
したがって亀頭包皮炎は、生理的に包茎である小児に多くみられますが、包皮の翻転(包皮を陰茎の根部側にむいて亀頭を露出させること)を行なわない成人にも発症します。
また亀頭包皮炎は性感染症としての側面もあります。
感染の起因・誘因としては性風俗(ソープランド、ヘルス、デリバリーヘルス、ピンクサロン)などのセックス、オーラルサービスなどが考えられます。これは性感染症です。
感染の原因(感染源)として考えられる病原微生物は、化膿連鎖球菌、黄色ブドウ球菌、腸内細菌類、大腸菌などです。
これらの一般細菌感染が原因と特定できれば、それは細菌性亀頭包皮炎とも呼称されます。
また、真菌類(カンジダなど)などの感染によって発生する場合もあります。
この場合はカンジダ性亀頭包皮炎と呼ばれます。

主な検査と診断

先ずは泌尿器科を受診し診察を受けることが第一です。
泌尿器科医が目視すれば、症状と亀頭包皮の状態から、診断は比較的容易にできます。
包皮内板の分泌物の細菌培養検査をすれば、原因菌の種類が分かりますが、臨床の現場ではあまり、こうした検査はあまり行なわれません。
もちろん細菌学的検査を行うのが適切な診断と治療につながります。

主な治療方法

細菌感染性による亀頭包皮炎であれば抗生物質の内服、抗生物質の軟膏または非ステロイド系消炎鎮痛用軟膏を使用します。
症状によっては消炎鎮痛薬を併用内服することもあります。
仮性包茎では、包皮を翻転して清潔にした後、抗生物質の軟膏または非ステロイド系消炎鎮痛用軟膏を使用します。
軽症では外用薬のみで経過観察を行います。
真菌類(カンジダ)感染の場合は抗真菌剤配合の軟膏を使用します。
カンジダ性亀頭包皮炎の治療は治療期間が長くなる場合があります。

<予防・日常生活>
1.入浴時に亀頭包皮を翻転し、ぬるま湯で優しく洗いましょう。
2.真性包茎の方は包皮内板に恥垢がたまらないように清潔にしましょう。
3.再発を繰り返す方や真性包茎の方は包茎の手術するのも一つの選択です。
4.基礎的疾患に糖尿病がある方は再発しやすいので、糖尿病の治療を早急に行いましょう。
5.不特定多数な人とのセックスや性風俗などに行くなどの性行動は慎みましょう。
6.愛するパートナーと健康なセックスをしましょう。
7.必要があれば、コンドーム(スキン)を使用しましょう。


執筆者 宮本町診療所 院長 宮本 泰彦
宮本町診療所 ホスピタ.jp
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