ポリープ状異型腺筋腫
ポリープ状異型腺筋腫はどんな病気？
ポリープ状異型腺筋腫とは子宮内にできるポリープ状の腫瘍の一種です。子宮の壁にできる良性の腫瘍で、悪性腫瘍ではありません。子宮峡部や子宮体下部にできるケースが最も多いですが、側壁や底部にできる場合もあります。
子宮内膜型異型腺管と平滑筋が混ざり合ってできているのが特徴です。子宮筋腫の一種ですが、この疾患は日本では認知度が低く多くは子宮体ガンと誤診されている場合も多いです。この病気は20代～30代の女性に好発し、未産婦や不妊症患者にも多い傾向があります。
排卵を伴う正常な月経周期で生理がきているにも関わらず月経が長引く、不正出血があるなどは 典型的な症状と言えます。
セカンドオピニオンを受けることを勧めます。
ただし、APAMの知識を有する医師が少ないため医師の選択が大切となり、同時に困難な作業でもあります。
診断においては子宮体がんとの判別が特に重要です。
手術によって摘出することが可能ですが、再発する可能性も少なくありません。
主な症状
ポリープ状異型腺筋腫の症状としては、重い生理痛を伴う月経困難症、月経血量が異常に多い状態を指す過多月経などが代表的ですが、筋腫ができる部位や大きさによっても現れる症状はさまざまです。特に月経が長引いたり、不正出血なども頻繁に見られる症状です。また月経量が多くなることによって貧血を引き起こす可能性が高くなります。月経困難症や貧血の自覚症状によって受診し、その検査によって筋腫が発見されるケースも珍しくありません。筋腫が徐々に大きくなると、月経時以外にも下腹部の痛みや重苦しさを感じることもあります。同時に腰痛や頻尿を引き起こす場合もあります。またごくまれに筋腫の根元がねじれることで激しい痛みを生じるケースもあります。これによって筋腫への血流が遮断され、壊死につながる場合もあります。
腟内に突出するように筋腫ができている場合には不妊症などの原因となったり、子宮の壁の中にできている場合では流産や早産の一因となることもあります。
主な原因
ポリープ状異型腺筋腫は子宮筋腫の一種であり、子宮筋腫が発生する原因やメカニズムは現在のところ明らかになっていません。ただ遺伝子発現異常が何らかの形で影響を与えていると考えられています。ポリープ状異型腺筋腫は子宮内膜腺と平骨筋を主体とする腫瘍であり大きさは約2 cm前後である場合が多いです。まれに9cmを超える大きなものができる場合もあります。
発症のメカニズムに関しては不明な点が多いですが、女性ホルモンであるエストロゲンの働きによって子宮筋腫が大きくなることが分っています。そのためポリープ状異型腺筋腫の発症や発育にエストロゲンが密接に関わると考えられています。エストロゲンは卵巣で分泌され、女性らしい体作りを助ける役割を果たしています。エストロゲンは生理の周期ごとに分泌量の増減を繰り返します。例えば妊娠中や、エストロゲン投与が行われた場合筋腫は大きくなり、反対にエストロゲンを下げる治療や閉経した場合には筋腫は小さくなります。またエストロゲンの分泌がまだみられない小学生や乳幼児には筋腫は見られません。
主な検査と診断
ポリープ状異型腺筋腫の診断には内診、経腟超音波検査、血液検査、MRI検査などが行われます。基本的に子宮筋腫の検査と同様の検査が行われますが、よく似た特徴を持つ子宮体がんとの判別が重要です。内診では腟から子宮や卵巣を触診することで大きさや位置などを確認できます。婦人科での診察の基本でもあり、ある程度大きさのある筋腫であれば内診で発見できるものもあります。
経腟超音波検査では腟内に超音波装置を挿入し、より詳しく子宮や卵巣の状態を確認できます。小さな筋腫も発見することが可能です。筋腫の大きさや位置を特定したり、病状の経過を確認する目的でも行われます。
血液検査では腫瘍マーカーを調べることで子宮がんなどの病気との鑑別に役立ちます。同時に貧血の有無も確認できます。
必要に応じてMRI検査が行われる場合もあります。基本的に筋腫は超音波検査で診断が可能ですが手術前に部位を特定をしたい場合や、子宮肉腫などとの区別が困難な場合に行われることが多いです。
主な治療方法
ポリープ状異型腺筋腫の治療法には手術による切除による方法が一般的です。ただ症状や筋腫の状態によっては定期的な経過観察のみとなる場合もあります。手術による切除を行うと子宮筋腫を根本的に治療することができます。ポリープ状異型腺筋腫を発症する人の中には未産婦や不妊症の人も多く、妊娠を希望する場合が多いです。その場合には子宮の温存が優先されるため、子宮全摘術よりも筋腫の部分のみを摘出する子宮筋腫核出術と呼ばれる方法が第１選択肢となります。ただ再発の可能性などもあるため治療法は慎重に検討されます。手術には腹腔鏡、子宮鏡、開腹、腟式などの術式があり、筋腫の位置や大きさ、状況に応じて選択されます。
その他の治療としては子宮動脈塞栓術、集束超音波療法などがあります。子宮動脈塞栓術は筋腫に栄養を供給している血管を詰まらせることで筋腫を小さくする方法です。集束超音波療法では超音波を筋腫に集中して当てて縮小させます。MRI検査の結果を用いて行われる方法です。