トルエン中毒はどんな病気?
トルエン中毒とは、塗料を薄める際に使用されるシンナーのもととなるトルエンが気化するときに発生するガスを吸い込むことで、麻酔薬と同じような効果がもたらされることによって多幸感を得ることが常習となってしまう症状です。薬物中毒の一種で、頭痛やめまい、吐き気などを催し、常習性の中毒症状に至ると幻覚や幻聴、錯乱などの精神的な障害を引き起こし、最悪の場合には呼吸停止に至ります。
主な症状
トルエン中毒の症状とは、まず目はうつろになり、ろれつも回らなくなります。トルエンの影響により歯も溶けてしまいます。常習的にトルエンの吸引を続ける事により、脳の細胞が死滅してしまい、幻覚や幻聴を伴います。そして食欲がなくなりますので、体は不自然に痩せほそってきます。一人言をぶつぶつ言いだしたり、空笑いを浮かべたり異常な行動がみられるようになります。
主な原因
トルエン中毒は、シンナーに含有されている有機溶剤の中枢神経麻痺作用によって引き起こされるものです。すなわち、この中毒はトルエンという中枢神経麻痺作用をもつ成分を体内に一定量取り込むことが原因となって引き起こされるのです。なお、この中毒はトルエンを100ppm程度体内に取り込むことによって症状を引き起こし、これ以上の量を体内に取り込むと生命に関わります。
主な検査と診断
トルエン中毒の検査方法は、尿検査を行い、尿中に含まれる馬尿酸と呼ばれている物質の量を測定することによって行います。この中毒症を発症している時には、尿中に含まれる馬尿酸の量が多くなります。また、この中毒症を発症している場合には、末梢神経が冒されますので、尿検査と同時に筋電図による検査と神経生検によって末梢神経障害の程度を検査します。
主な治療方法
トルエン中毒の一般的な治療法は、まずすぐに新鮮な空気のもとに移動させることからです。万が一、皮膚汚染時や眼に入った場合は、流水で十分に洗浄します。呼吸困難があった場合は、酸素吸入などの応急処置も必要になります。急性の場合は、原因物質を特定して解毒を行います。解毒には特別な方法はありません。催吐や胃洗浄は禁忌です。吸着剤(活性炭)の投与と対症療法で治療を行います。
トルエン中毒の初診に適した診療科目
トルエン中毒に関連する病名