アセトン血性嘔吐症/ケトン血性低血糖症 アセトンケッセイオウトショウ ケトンケッセイテイケットウショウ

初診に適した診療科目

アセトン血性嘔吐症/ケトン血性低血糖症はどんな病気?

アセトン血性嘔吐症/ケトン血性低血糖症は、激しい嘔吐を数時間から数日間に渡り繰り返す疾患です。
2~8歳のやせ型体質で神経質な子どもに多く見られ、感冒や精神的ストレスにより食事を摂取できなくなることにより発症します。
特に男児が多いことも特徴とされており、別名周期性嘔吐症、自家中毒とも呼ばれています。

嘔吐の間隔はさまざまで、数日間に何度か繰り返す場合や年に数回という場合もあります。
成長して思春期になると自然に改善するケースも多いとされています。また、嘔吐がない時期は日常生活に影響もなく、他に現れる症状も特にありません。

基本的には食事の摂取量が落ちて体に蓄えていた栄養を使い果たしてしまうことが原因です。食事を接種できないために糖が補給できず、低血糖とケトーシスをきたすことで嘔吐を引き起こします。低血糖や血中のケトン体の増加は、アセトン血性嘔吐症/ケトン血性低血糖症のさまざまな症状の原因となります。

主な症状

アセトン血性嘔吐症/ケトン血性低血糖症の最も典型的な症状は激しい嘔吐です。
数時間もしくは数日の間に何度も繰り返すのが特徴です。噴水のように吐しゃ物を噴き出すこともあります。
また、吐しゃ物の中に胆汁や血液が混じることもあります。嘔吐が収まっても吐き気が継続し、徐々にぐったりとしていきます。
悪心(おしん:むかつき)や嘔吐は低血糖や血中のケトン体の増加によるものです。

また、その他にも脱力感、全身倦怠感、無表情、会話の停滞、集中力減退、速脈、顔面蒼白(そうはく)、歩行障害、嗜眠(しみん)、意識混濁(こんだく)などの症状も引き起こします。
胃のむかつき、食欲不振、腹痛、発汗、低体温、下痢、頭痛、だるさなども現れることがあり、症状は多岐にわたります。基本的には空腹で糖分が不足することが多くの症状を引き起こします。

また、アセトン臭と呼ばれるリンゴの発酵したような臭いの口臭も特徴です。吐き気の症状は一旦おさまり、またぶり返す場合があります。

主な原因

アセトン血性嘔吐症/ケトン血性低血糖症はかぜをひいたり精神的緊張状態が続いて食事が十分とれないことが原因となって発症します。
体内に蓄えた糖を使い果たすと脂肪が分解されてエネルギーとして使われますが、その際アセトンと呼ばれる物質を同時に増加します。
このアセトンが増えすぎることにより、さまざまな症状を引き起こします。

疲労、精神的ストレス、感染症、環境の変化、乗り物酔い、体の動かし過ぎ、脂質の多い食べ物、月経、飢餓状態などが嘔吐のきっかけとなる可能性があります。
中でもインフルエンザなどへの感染症や、強いストレスのかかるイベント、胃腸炎などでも発症するケースが多いとされています。

体質では神経質な子どもや頭痛を持っている子どもが発症しやすく、遺伝的な要因も考えられます。

アセトンの増えすぎを防ぐには食事を抜いたり間隔を空けすぎないこと、十分な睡眠などに注意してストレスをためない生活を目指すことが大切です。ストレスを感じた際、甘いものでこまめに糖分を摂取することもポイントです。

主な検査と診断

アセトン血性嘔吐症/ケトン血性低血糖症はまず問診によって嘔吐が始まった時期や頻度、吐物の状態、半年間の間に何度あったかな、家族歴などを丁寧に確認していきます。
嘔吐を伴うその他の疾患の可能性を排除するために、嘔吐以外の症状についても確認します。

アセトン血性嘔吐症/ケトン血性低血糖症の特徴であるケトン体の異常な増加は尿検査や血液検査でも確認できます。
年齢や神経質な体質、やせ型であること、発症前にストレスを感じていたかなども含め、問診や検査結果と合わせて総合的に判断されます。

また、重症な場合には血糖値、甲状腺機能、乳酸の数値を確認することもあります。必要に応じて腹部超音波(エコー)検査が行われます。

症状を繰り返すことも多く、親が症状を把握できるようになる場合もあります。多くは小学校中学年になる頃には嘔吐発作が収まります。これは筋肉量が増えて体重あたりに必要なブドウ糖の量が低下するためと考えられています。

主な治療方法

アセトン血性嘔吐症/ケトン血性低血糖症の治療はそれぞれの症状を抑える対症療法が選択されます。
根本的な治療法は現在のところ確率されていません。

嘔吐する前に現れる症状としては吐き気、頭痛、腹痛などが挙げられ、その症状が現れたら吐き気止めや痛み止めなどの薬を服用する、糖分を補給するなどによって大きな発作を防ぐことができます。また、重症の場合、脱水症状が現れることがあり、この場合は点滴で水分や糖分を補給します。スポーツドリンクなどで水分と糖分を補給していくと、症状の改善がみられることが多いです。

入院治療によって数日間補液を行えば嘔吐は改善することが多いです。
入院中は経口摂取を禁止し、安静にしながら輸液で水分と電解質を補充します。さらにブドウ糖も補給し、ケトーシスを改善させます。

また、予防を目的にてんかんや頭痛の薬を用いることもあります。こまめな糖分の補給や、食事のバランスなどに注意して発作が起きないような生活習慣を心がけることも大切です。