不妊症 フニンショウ

初診に適した診療科目

不妊症はどんな病気?

不妊症は日本では、健常に性行為があっても2年間妊娠しない場合を定義しています。
最近は不妊症の原因になりやすい病気も増加しており、10組に1組は不妊症といわれています。
性交、排卵から着床までのプロセスのどこかに問題があると妊娠が成立しません。一人で複数の原因を抱えている場合も少なくないのですが、40%が女性側、40%が男性側、そして20%が双方によるものといわれており、ほぼ男女半々に原因があるとされています。また、原因を特定できることがある一方、はっきりとした原因を特定できないこともあります。

女性側の原因としては卵子が育たない・排卵できないなどの排卵因子、卵管が狭い・詰まっていて受精卵が子宮に届かない卵管因子などが挙げられ、男性側の原因としては精子の数が少ない・運動率が低い造精機能障害や射精ができないなどの性機能障害などが挙げられます。

加齢に伴て妊娠する・させる力である妊よう性は男女ともに低下します。治療を希望する場合には早期に治療を開始することも大切です。

主な症状

不妊症の定義は健常に性行為があっても2年間妊娠しない場合とされています。

男女それぞれ原因に応じた症状が現れる場合もあります。男性の場合、勃起障害をはじめクラインフェルター症候群によるヒゲがまばらに生える、胸が少し大きいなどの症状や糖尿病や甲状腺機能低下症による症状が現れるケースもあります。

女性に現れる症状としては生理周期が不安定になったり極端な肥満や痩せ、生理の際の量が多い・少ない、痛みが強いなどの月経における症状も多いです。ホルモン分泌の異常や早発卵巣不全(早発閉経)によって全く月経がない状態にある場合もあります。

その他に考えられる症状としては性感染症と関連する膣分泌物の変化、腹痛などがあります。

現在の日本においては不妊のカップル約10組に1組とも言われていますが、ライフスタイルや結婚観も変化しており妊娠を考える年齢が上昇しているため不妊のカップルの割合はより多いと予想されています。

主な原因

不妊症の原因は男性側、女性側にある場合と、双方にある場合、特に原因がない場合もあります。

女性側の原因としては排卵因子、卵管因子、頸管因子、免疫因子、子宮因子などが代表的です。排卵因子には女性ホルモンに関わる疾患や肥満、体重減少、ホルモンのバランス異常による排卵を伴わない月経が挙げられます。卵管因子には卵管炎、骨盤腹膜炎などによって卵管が詰まってしまうというものです。無症状であることも多いです。頸管因子は精子を貫通しやすい状態にする粘液の分泌が少なくなることによるものです。免疫因子とは女性が精子を攻撃する抗体を持つことで精子の運動性が失われ、卵子に到達できない状態になるものです。子宮因子とは子宮筋腫や子宮の先天的な形態異常により子宮内に到達した胚が育ちにくくなるものです。

男性側の原因としては精子の数が少ない、または無いなどの造精機能障害が挙げられます。また精子の通り道が詰まっている精路通過障害、勃起障害(ED)、膣内射精障害などの性機能障害、加齢による精子の質の低下などが挙げられます。

主な検査と診断

不妊症の検査には女性側には内診・経膣超音波検査、子宮卵管造影検査、ホルモンの検査、性交後試験などが行われ、男性側には精液検査が行われます。

内診・経膣超音波検査では子宮内膜症や子宮筋腫、クラミジア感染症などの感染症がないかに注目して検査が行われます。子宮卵管造影検査では卵管が詰まっていないかどうか、子宮の中の形について確認できます。ホルモンの検査では、女性ホルモンの分泌、甲状腺の機能について血液検査を用いて調べます。月経周期にあわせて2回検査を行うことで妊娠が成立する時にホルモンが十分に分泌されているかを確認することができます。免疫因子の有無を調べるために行われるのが性交後試験です。妊娠しやすい日に性交を行った翌日、子宮頸管粘液を採取して運動精子の有無を確認します。

男性側に行われる精液検査ではマスターベーションで採取した精液を検査します。精子の数や運動率を確認し、異常が認められた場合には、精索静脈瘤など他の疾患がないかも検査が行われます。

主な治療方法

不妊症の治療方法はさまざまありますが、タイミング法、排卵誘発法、人工授精、体外受精という流れで段階を踏んで治療法を変えていくのが一般的です。

タイミング法は最も妊娠しやすいとされる排卵の2日前頃にタイミングを合わせて性交を持ちます。その後に卵胞の大きさや尿中のホルモンを測定して排卵日を推定する方法です。排卵誘発法は内服薬や注射を用いて排卵を促します。排卵障害がある場合や、人工授精の妊娠率を上げる目的で用いられることが多いです。

人工授精は事前に採取した精液の中から良好な精子を取り出し、妊娠しやすい時期に子宮内に注入する方法です。体外受精は卵巣から卵子を取り出して体外で精子と受精させて子宮内に受精卵を戻す方法です。1回の体外受精で複数の受精卵が得られた場合には、その後のために余剰胚を凍結して凍結胚移植に備える場合もあります。

その他に卵管狭窄・閉塞の場合は卵管を開通させる卵管癒着剥離術や卵管形成術、子宮内膜症の場合は腹腔鏡下子宮内膜症病巣除去術が行われます。