有機リン中毒

有機リン中毒はどんな病気?

有機リン中毒は、農薬や除草剤などに含まれる有機リンが誤用や服毒などで体内に入る事によって引き起こされます。主な症状は瞳孔の収縮・発汗・流涎・筋れん縮などで、重症の場合は徐脈・肺水腫・呼吸障害・昏睡、最悪の場合は死に至ります。大量に服毒した場合、数分から数十分の間に症状が急激にあらわれ、急速に悪化しますが、治療で改善した症状が、数日から2週間の間に再燃して長引く遅発性の中毒も存在します。

主な症状

有機リン中毒の場合の症状は様々なものがあり、下痢、嘔吐、体温調節障害などの外的なものから、不安や睡眠障害、幻聴などの精神的な疾患も引き起こす場合があります。また、重度の疾患になると意識障害や脳障害、痙攣などを引き起こすこともあります。多くの場合殺虫剤などのスプレーによって中毒になる場合が多く、このような場合は目のかすみ、めまいなどが現れます。

主な原因

有機リン中毒の原因は、有機リン剤などの服毒、あるいは誤用などによって起こる酵素阻害です。万が一、有機リンが体内に入った場合、体内で生成されているアセチルコリンエステラーゼと結合します。すると、アセチルコリンエステラーゼの分解酵素としての働きが妨害され、その結果として各種の生命に関わる、重大な中毒症状を発生させることになります。

主な検査と診断

有機リンは、動物の神経機能を麻痺させる殺虫剤で四十種類以上あります。特に、農村地帯で誤って中毒死となる物質です。さて、有機リン中毒の検査方法です。まず、瞳孔が小さくなります。また、あせやよだれが出て、筋れん縮といった特徴的な症状が現れます。そして、血清や血球のコリンエステラーゼ活性が著しく低下することから診断できる中毒です。

主な治療方法

有機リン中毒の治療法は、初期に徹底的な消化管洗浄を行い、解毒剤のヨウ化プラリドキシムを用います。硫酸アトロピンを投与し、呼吸と循環管理を行うことが必要です。重症の場合は、人工呼吸や投薬などの適切な管理を行うために、集中治療室に収容されます。透析や、血漿交換などの血液浄化療法が有効であるとの報告もありますが、効果は未知数となっています。