進行性多巣性白質脳症 シンコウセイタソウセイハクシツノウショウ

初診に適した診療科目

進行性多巣性白質脳症はどんな病気?

進行性多巣性白質脳症というのは、脳内の髄鞘を作っているオリゴデンドロサイトがウイルスに感染することで大脳皮質の内側の白質に進行性に髄鞘が壊れていき脳を破壊していく病気です。この病気のウイルスは、大抵の人が持っていて感染しているがほとんどの場合、発症しません。それが抗がん剤やエイズなどによってウイルスに対する免疫機能が低下することで発症すると考えられます。

主な症状

進行性多巣性白質脳症の症状としては、ウイルス感染して、しばらくしてから発症する、遅発性ウイルス脳炎の一種です。下半身麻痺、運動障害、視力障害、失語症、性格の変化、認知症等が現れます。進行は急速に起こり、意識障害が現れると、昏睡状態に陥ります。健康な人は、感染しても発症はしませんが、免疫力が低下している人は、発症しやすいです。

主な原因

進行性多巣性白質脳症の原因は、JCウイルスの再活性化によって起きます。JCウイルスは、ポリオーマウイルス属に分類されるウイルスです。日本人では多くの人がこのウイルスにすでに感染しています。通常であればなんら症状を示さず潜伏し続けるものの、何らかの要因で体の免疫力が極端に低下すると再活性化し、脳に対して脱髄などの障害を起こさせます。

主な検査と診断

進行性多巣性白質脳症の検査方法は、脳脊髄液をPCR法を用いてJCウイルスのDNAを増やして陽性反応を確かめます。初回のPCR検査で陰性の場合は期間をおいて再び再検査を行なうケースもあります。また脳MRI検査を行い、T2強調画像及びFLAIRによる画像所見で脱髄病巣がないかの確認により、AIDS痴呆症候群との鑑別診断を行います。

主な治療方法

進行性多巣性白質脳症とは、免疫不全患者においてDNAウイルスによって発症する脱髄性疾患です。この病気に対する治療法は、この病気を誘発する免疫抑制剤や抗ガン剤などの使用をただちに中止ことです。原因となる疾患がAIDSである場合は、HAART療法を開始する必要があります。また抗ウイルス薬や抗精神病薬の投与を追加する場合もあります。