ヘルパンギーナ(小児)

初診に適した診療科目

ヘルパンギーナ(小児)はどんな病気?

ヘルパンギーナ(小児)は、手足口病とプール熱と合わせて三大夏風邪に数えられる夏に疾患しやすい夏風邪の一つです。
6月から9月にかけて熱が出た場合はほとんどこのうちの一つにかかっています。特に免疫がない小さな子供の場合は、夏風邪にかかりやすく夏の間も保育園に通っている場合は手洗いを頻繁にするようにしてもかかりやすく、熱がすぐ出てしまいます。保育園に行っていない子供でも、公園などで他の子供との接触でウイルス感染が起こります。
ヘルパンギーナの特徴的な症状は、突然39℃前後の高熱が出て咽頭の口蓋弓部(こうがいきゅうぶ)にそった口腔粘膜に水疱や浅い潰瘍(かいよう)ができます。咽頭の水疱は最初1~2mm大のものが2~3日で5mm以内の黄灰白色の浅い潰瘍に変化します。この水疱がつぶれたり、また潰瘍ができるとのどがしみて、唾液を飲み込むのもつらくなります。
体温は年長児より年少児のほうが高くなる傾向があります。ウイルス性の疾患は抗生剤の効果が期待できず、特効薬がありません。対処療法で自然治癒力に頼る治療となります。

主な症状

ヘルパンギーナは潜伏期は約2~5日でその間は全く症状がありません。症状が出始めるといきなり38~40℃の高熱が出て、喉が赤く腫れます。
喉の奥に直径1~2mmくらいの水疱が数個から数十個出てきます。まれに、5mmもの大きさの紅暈(こううん)に囲まれた水疱も見られます。紅暈とは、皮膚が充血し赤く見える部分のことです。その他、喉や手足、お尻、ひざなどにも水疱性発疹が広がります。水疱は2〜3日で潰れてしまい、黄味を帯びた潰瘍に変化します。のどに強い痛みを感じるため、嚥下しにくくなりよだれが多くなります。当然食欲も減退し、飲料水を飲むことも困難なため、脱水症状を起こす可能性も強いです。脱水によって熱性痙攣が起こる場合も比較的多いです。
熱はほぼ2〜4日で平熱に戻り、水疱は約1週間で治ります。エンテロウイルス感染は、病状がさまざまな様相をもつ疾患で、無菌性髄膜炎や急性心筋炎などの合併症を誘発する可能性も。
嘔吐や強い頭痛が出たら髄膜炎の可能性があるため、早期治療が必須です。またもともと心不全の傾向のある人は、脱水症状が続くと心不全になりやすいので、喉が痛くても水分補給をするようにしましょう。

主な原因

ヘルパンギーナはエンテロウイルス属A群コクサッキーウイルスなどの感染が原因です。
A群コクサッキーウイルス以外にもB群コクサッキーウイルス、エコーウイルス、エンテロウイルス(68~71型)などさまざまな種類があります。そのため、一度疾患しても免疫ができず、何度も疾患を繰り返します。
夏風邪の1種で、流行する季節は6月から夏にかけてです。4歳以下の乳幼児に多く見られ、特に1歳代の幼児に多く見られます。
0歳でもかかる可能性があるため、外出中は注意が必要です。感染経路は、感染者が咳やくしゃみをして飛沫によって呼吸によって感染するほか、よだれや鼻水がついたおもちゃなどを共有したりドアノブなど触るなど感染者が触ったものから感染します。また便にウイルスが付着して排出されるため、オムツ替えの後などにちゃんと手を洗わずに他の子供を触ったり自分自身の口や鼻を触ったりして感染してしまうことがあります。主に子供に発生する疾患ですが、大人でも感染する場合があるのでタオルなどを共有することはやめましょう。 

主な検査と診断

ヘルパンギーナに似た水疱が口腔内に出てくる疾患がいくつかあります。6月頃から夏にかけて発病しやすい手足口病にも間違えられやすいです。
しかし、手足口病は手や足にも水泡があることが特徴です。その他、舌に発疹がたくさん出る歯肉口内炎やほおの裏側にある粘膜部分に発疹がたくさん出るアフタ性口内炎なども似ています。
一般的な診断は、流行状況や症状、口の中の状態、患者の年齢から判断します。5歳以下の乳幼児が突然熱が出て喉の奥に水疱があり、突然高熱になった場合は、ほぼヘルパンギーナと診断されます。ただし重篤な症状を呈し、その他の似た疾患と区別顎下ない場合は正しい処置を取るためにウイルスの種類を確定することが必要です。確定診断には、口腔内の水疱内容を含んだ拭い液や便などを検査材料として判断します。その他、PCR シークエンス法等などの遺伝子診断や急性期と回復期のペア血清を使用した血清学的診断が行われる場合もあります。

主な治療方法

ヘルパンギーナの原因ウイルスであるエンテロウイルスには、特効薬がありません。
抗生物質の効果もほぼ期待できないため、対処療法となります。
鎮痛剤で頭痛を和らげ、解熱剤を使って熱を下げて症状が回復するのを待ちます。本人の自然治癒力で快方に向かうのを待つしかありません。
最も心配なことは脱水症状です。脱水症状にならないように市販のイオン飲料水や経口補水液などをこまめに与えて水分補給を続けます。喉の奥や口の周りの水疱が潰れて痛みが強く、食べ物に当たるとしみてしまうため、口を大きく開けたり咀嚼したりが困難です。また痛みがある場合は熱い食べ物も食べにくいので冷たいものの方がおすすめです。そのため食べやすいように冷たいスープを少しずつ口に含ませてあげましょう。
オレンジジュースなど柑橘系は口の中が沁みます。ゼリーやプリン、お豆腐などもおすすめです。脱水症状になりそうなら点滴をしなくてはならない場合もあります。
体が小さい子供の場合、脱水症状になりやすいので様子を見てすぐに判断しないと熱痙攣が起きてしまいます。