包茎

初診に適した診療科目

包茎はどんな病気?

包茎とは、陰茎の亀頭が包皮により被い隠されている状態で、「皮かむり」などとも呼ばれる疾患です。
高い頻度でみられ、多くは生まれつきによるものです。包皮の先端の輪が狭く、亀頭を露出させることができない場合を真性包茎、包皮を反転させることにより亀頭を露出できる場合を仮性包茎といいます。

真性包茎で、とくに包皮の出口が非常に狭く排尿に支障をきたす場合は、乳幼児でも手術が必要です。亀頭と包皮の間にアカがたまり、そこに感染を起こして陰茎の先端が赤く腫れあがり排尿時に痛むような場合にも、幼児期に手術が必要です。仮性包茎でも、包皮の出口の輪が狭い場合は、亀頭を露出したままの状態に放置すると、陰茎の先端がこの輪によって締めつけられ、血液循環が悪くなって、むくんでしまい、元に戻せなくなること(嵌頓〈かんとん〉包茎)があるので、手術を受けたほうが安心です。

勃起時に亀頭が自然に露出し切らない仮性包茎は、医学的に治療が必要なものではありません。勃起時に強い痛みを生じ、陰茎がんのリスクも高い真性包茎が治療が必要とされています。

主な症状

包茎は3つのタイプに大きく分類され、症状もそれぞれ異なります。

まず仮性包茎は勃起時に亀頭が完全に包皮口から露出せず、包皮を手でむく必要がある状態です。症状は特になく医学的な病気ではありませんが、包皮内が蒸れることによる影響があります。不潔な状態になりやすく、臭いやかゆみを引き起こします。

次に真性包茎は包皮をむいても亀頭を露出することができない状態です。真性包茎と同じく包皮内が蒸れることで臭いやかゆみを生じるだけでなく尿路感染症などを引き起こすこともあります。勃起時に強い痛みが生じ、性交渉ができないという悩みを抱える方も多いです。不妊の原因となるなど日常生活に影響が大きい疾患と言えるでしょう。また、健康な人と比較すると、陰茎に慢性的な刺激が加わるため陰茎がんになるリスクが高いとされています。

最後に嵌頓包茎は露出した亀頭がもとに戻らず包皮口に締め付けられ、陰茎がうっ血する状態です。強い痛みを伴い、時間が長くなるほど血流が不足し壊死につながるおそれもあります。

主な原因

包茎の原因は、陰茎を囲む包皮、出口となる包皮口が狭いことに伴って起こります。
包皮口が狭い場合のほとんどが先天性で生まれつきによるものです。生まれたばかりの乳児はほぼ100%の割合で真性包茎です。
成長に従って徐々にその割合が減っていくため、小児の包茎で治療を必要とすることはほとんどありません。思春期頃になると亀頭が大きくなっていくことで包皮の入り口も応じて広がり、むけるようになるケースも多いです。日本人においては、男性全体の約6~7割の人が普段は包皮がかぶっており、勃起時や手でむいた時だけ露出できる状態であるとする報告もあります。

仮性包茎は亀頭と包皮の間に汚れが溜まりやすく炎症が起きやすい状態と言えます。後天性の包茎は、亀頭包皮炎を繰り返すことで組織の拘縮が起こって包皮口が狭くなり、徐々に真性包茎のような状態へ変化していくことがあります。このような後天的な包茎を防ぐためにも仮性包茎は入浴時に正しい洗い方で汚れを丁寧に落とし、清潔に保つことが大切です。

主な検査と診断

包茎の診断に対して特別な検査は行われない場合が多いです。
仮性包茎や真性包茎などは自覚している症状、医師による触診などで診断されるケースがほとんどです。ただ亀頭に炎症が起きているなど、詳しい検査が必要になることもまれにあります。
例えば亀頭などに炎症が生じ化膿している、尿路感染症を起こしている場合などが挙げられます。これらの場合には炎症の程度を調べるために血液検査や尿検査が行われます。

また、まれですが包茎の原因が糖尿病であることもあります。後天性の包茎で可能性が疑われる場合には血糖値、ヘモグロビンなど糖尿病に関する検査が行われます。

包茎に関する相談は泌尿器科や形成外科で診療が行われています。小児の包茎では治療が不要なケースがほとんどなのでトラブルがない限り受診の必要はありません。しかし成人の場合は排尿障害や亀頭包皮の炎症などを引き起こす原因となるケースもあるため、不安なことがある人は一度専門の医療機関を受診してみてはいかがでしょうか。

主な治療方法

包茎にはそれぞれの特徴に合わせ、手術療法や包皮のむき方を指導する包皮翻転指導によって治療が行われtます。

手術では包皮を環状に切除して亀頭を露出させる方法が一般的です。
主に真性包茎に対して行われ、30分で完了する手術です。日帰りで対応してくれることが多いです。ただ小児における手術では全身麻酔が用いられる手術となります。小児の場合は成長に伴い改選するケースも多いため、積極的に治療が行われるのは尿排出障害や尿路感染症、嵌頓包茎など影響が大きい場合に限られます。

現段階において、性生活を含めて特に支障がない仮性包茎は、治療の必要性に関する考え方も医師によって異なります。

包皮翻転指導では、毎日少しずつ包皮の狭い部分を拡げていく方法です。包皮の先端にステロイド軟膏を塗って包皮部分を柔らかくして毎日1、2回手でむきます。一定期間継続することで改善が見られますが、効果が見られない場合には手術が選択されることもあります。むいた包皮をそのままにしておくとうっ血して嵌頓包茎につながる恐れがあるため、元の状態に戻すことが重要です。