頻尿 ヒンニョウ

初診に適した診療科目

頻尿はどんな病気?

10年ほど前まで昼間10回以上、夜間3回以上が頻尿と言われていましたが、最近のガイドラインでは回数に関わらず、昼間の排尿回数が多すぎるという訴え、夜1回以上排尿するという訴えのあるものが頻尿と定義されています。
すなわち、昼間8回でも多くて困っていれば頻尿であり、夜3回トイレに行っても困っていなければ頻尿ではないことになります。

主な症状

尿意を感じてやむを得ずトイレに頻回に行けば頻尿です。随伴症状として尿失禁、排尿痛、腹痛、発熱、血尿、尿勢の低下、その他のいろいろな症状が見られることがあります。原因疾患の検索に役立ちますので忘れずに医師に話しましょう。

主な原因

年配の人を中心として多く見られる頻尿ですが、若い人でも決して稀ではありません。様々な原因で頻尿は起こり、これを臓器別に見てみます。まず頻尿のかなりの部分を占める多尿についてですが、下垂体疾患、糖尿病、腎機能低下では尿濃縮力低下により尿量の増加し頻尿となります。心不全では夜間多尿がみられます。
細菌感染による膀胱炎、尿道炎、前立腺炎では膀胱刺激症状として頻尿が起こり、前立腺肥大症、子宮筋腫も尿路の閉塞が頻尿の原因となります。膀胱の機能が低下する過活動膀胱、低活動膀胱、尿道括約筋、骨盤底筋の機能低下、神経疾患も頻尿の原因となります。また、睡眠障害も夜間頻尿の原因となります。稀ですが膀胱がん、前立腺がん、尿道がんなどの悪性腫瘍の初発症状が頻尿となる場合もあります。

主な検査と診断

頻尿のかなりの部分を占める多尿は自分でもチェックすることができます。毎回の排尿で尿量と時間を記録し、一日の尿量を計測します。尿量が多ければ多尿による頻尿で、就寝中の尿量が一日尿量の30%以上なら夜間多尿となります。
病院では、内分泌疾患、心不全、糖尿病、前立腺肥大症、神経疾患、子宮筋腫などを念頭に理学的初見をとり、検査として尿沈査などの尿検査、残尿測定、尿流量測定、エコー検査などをおこないます。

主な治療方法

内分泌疾患、心不全、糖尿病、神経疾患、婦人科疾患、睡眠障害など尿路以外の基礎疾患がある場合はまずそちらの治療を行います。前立腺肥大症などの尿路閉塞性疾患、尿路感染症などでもそちらの治療が優先されます。

基礎疾患のない過活動膀胱であれば、1)膀胱訓練で膀胱の容量を増加、2)骨盤底筋訓練による頻尿の抑制は女性では有効とされています。3)排尿パターンに合わせた周囲の声掛けや補助も有効です。刺激物を避けるなどの生活指導はいろいろな報告がありますがエビデンスと言えるほどのものはありません。

薬物療法ではβ3受容体作動薬、抗コリン薬、抗うつ薬、漢方薬などが病状に合わせて用いられ、男性ではα1受容体阻害薬も併用されます。ボツリヌストキシンの膀胱内注入療法、神経電気刺激療法も近年用いられつつあります。