陰嚢水腫 インノウスイシュ

初診に適した診療科目

陰嚢水腫はどんな病気?

腹部には胃や腸管の入る腹腔と呼ばれる腹膜に包まれた空間があり、ここで腸管は蠕動運動をおこないますが潤滑剤の役割を果たす漿液が間隙にあります。胎生初期、精巣は腹腔内にありますが出生近くに腹膜、奬液に包まれたまま陰嚢内に下降します。奬液は絶えず腹膜で産生、吸収され一定量に保たれています。この精巣周囲の奬液が増加した状態を陰嚢水腫と呼びます。腹腔と精巣周囲腔は出生後遮断されますが、交通が保たれたままのものは交通性陰嚢水腫と呼ばれます。また、奬液の貯留が精巣周囲ではなく精索に限定したものは精索水腫と呼ばれます。

主な症状

陰嚢内の球形の”できもの”として気づかれます。内部は液体ですからゴムボールのように柔らかです。貯留が多いと硬く緊満し、精巣腫瘍との鑑別が必要です。大きさは時間帯で変化することもあります。陰嚢水腫では陰嚢皮膚は正常です。皮膚の浮腫により陰嚢が腫大しているときは別の疾患を考える必要があります。

主な原因

陰嚢水腫の原因はわかっていません。ただし、交通性陰嚢水腫は精巣周囲と腹腔との交通が生後遮断されるべきなのに残り、圧により腹腔内の漿液が陰嚢に流入することが原因です。

主な検査と診断

陰嚢水腫の診断は視診、触診でおこなわれますが、腫大が漿液貯留によるものか腫瘍などの実質性のものか判別しにくい場合はライトを用いて透光性を確認したり、エコーを用いて性状を調べます。大きさが時間帯で変化するものは交通性陰嚢水腫です。

主な治療方法

小児の陰嚢水腫は約90%が1年以内に自然治癒すると言われています。自然治癒しないときには手術療法が第一選択となります。成人では最初から手術療法をおこないます。穿刺や吸引は出血、感染の危険性がありが勧められません。