肥満 ヒマン

初診に適した診療科目

肥満はどんな病気?

肥満は遺伝的および環境的要因によるカロリーの過剰な摂取の結果、脂肪の蓄積が増加した状態です。
生活習慣病をはじめ、数多くの病気の原因となるともいわれています。近年食生活の欧米化や社会環境の変化、運動不足などの原因によって、日本でも肥満になる人が急激に増加しています。

肥満は脂肪が多いというだけでなくさまざまな疾患の原因となる可能性があります。肥満が原因のひとつとなりうる代表的なものには糖尿病や脂質異常症、高血圧症、心血管疾患などの生活習慣病が挙げられます。

肥満の度合いを判定するために使用されるのがBMIです。BMIは体格指数を表しており、[体重(kg)]÷[身長(m)2]の式で求められる値です。男女どちらも標準BMIは22.0とされています。この22.0という値は、前に挙げているような生活習慣病に最もかかりにくいと言われている値でもあります。BMIが25以上の場合、一般的に肥満とされています。

主な症状

肥満は全身の健康状態に大きく関るため、ほぼすべての器官がなんらかの影響を受けるとされています。
体重が過剰な状態では、息切れや運動中の呼吸困難、いびき、関節痛などの症状があります。また、肥満によってリスクが高まるとされる疾患は多くあり、糖尿病、高脂血症、高血圧、心不全、子宮や前立腺などのがん、冠動脈疾患、胆嚢の病気、胃食道逆流症、静脈瘤、血栓、、閉塞性睡眠時無呼吸症候群などが挙げられます。その他にも女性の月経異常や不妊症、男性の勃起障害など身体のあらゆる箇所に影響が現れます。

このように関連する疾患が多いことから肥満は早期死亡リスクを高めるとされており、アメリカでは年間数十万人が肥満が原因で死亡しているというデータもあります。肥満は喫煙に次いで、予防できる死亡原因の第2位とされています。

また肥満の人は自分の体型に対して印象が悪いように感じたり自信が持てないことが多く、それが自尊心の低下につながる場合も少なくありません。

主な原因

肥満の原因はいくつもの原因が組み合わさっている場合がほとんどです。
運動不足になりやすい環境や、肥満になりやすい遺伝子、カロリーの高い食品が手に入る環境などさまざまな要因がありますが、結論として肥満の原因となるのは体に必要な量以上のカロリーを長期間接種することです。過剰に摂取したカロリーは脂肪となって身体に蓄えられます。

肥満が多い先進国では運動不足が問題として挙げられており、技術が進歩したことで体を動かす機会が減ったためとされています。また先進国の食事は少ない量にカロリーが多く含まれており、炭水化物と脂肪が多いのも特徴です。

体に必要なカロリーは人それぞれで、年齢や性別、運動量などによっても変化します。筋肉組織の量が多いと基礎代謝率が高くなり、安静時に体が勝手に燃焼してくれるカロリーも多くなります。また、腸内細菌の量や種類が変化することで、食物を消化する方法も変化し、肥満のリスクを増加させる場合もあります。

主な検査と診断

診断には、肥満を表現する指標として体格指数=BMIや、ウエスト周囲の長さ、身体組成が用いられます。
BMI(ボディマスインデックス)とは体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)で求められ、 BMI25以上を肥満としています。
より詳細に分類すると、BMI値25~29.9が過体重、BMI値30~39.9が肥満、BMI値40が重度の肥満と位置付けられます。
一般的にはこれらをまとめてBMI25以上を肥満と表します。

基本的な指標としてBMIを使用するのが一般的ですが、BMIを割り出すために使用する体重の値には筋肉や脂肪の割合は考慮されていません。そのため、BMIのみで見てしまうと体脂肪率が低い人が肥満にあたる数値になることがあります。筋肉量が多く脂肪がほぼないボディビルダーのような体型の人によく起こりますが、この場合は肥満とはみなしません。また、人種に基づく調整のためアジア人などは目安となる肥満のBMI値はやや低めに設定されています。

主な治療方法

肥満の治療には食事や運動、生活習慣の見直しを基本に、重度の場合には減量薬、外科手術などが行われる場合もあります。
人間の体は一度体重が増えすぎると、体重が減らないように抵抗する働きをします。逆に極端なダイエットで急激に摂取カロリーを減らしてしますと、これを補うために食欲増加や基礎代謝の低下が起こります。肥満は治療を行うよりも肥満にならないように予防する方が容易です。

中でも食事による影響が大きく、摂取カロリーを1日500~1000キロカロリー減らすことで健康的な減量が期待できます。

肥満の治療として体重のコントロールを行う場合、体重の5~10%を減らすと糖尿病や高血圧をはじめとする症状が起きるリスクを減らしたり、重症度を減らすことができるとされています。医師や栄養士、家族など周囲の人のサポートを積極的に受けることも大切です。体重を減らすには急激な減量ではなく、現実的な数値を目標に健康的に減量を行う必要があります。