慢性苔癬状粃糠疹

初診に適した診療科目

慢性苔癬状粃糠疹はどんな病気?

慢性苔癬状粃糠疹とは、やや膨らみのある紅色丘疹を生じる炎症性疾患の一種です。
類乾癬は乾癬とよく似ており、皮膚に鱗屑を伴う隆起した特徴的な斑が現れます。慢性苔癬状粃糠疹では、体幹や四肢、首など体のあらゆる部位に丘疹が生じる可能性があります。

苔癬状粃糠疹は、急性型と慢性型とに分類されており、慢性型の場合、急性型よりも平坦で鱗屑を伴う丘疹を生じる点が特徴です。
また急性型は主に小児や若年成人で発症が多く見られ、症状は数週間から数カ月以内に改善するのに対し、慢性型の場合、丘疹が消失するまで数ヶ月以上かかる場合が多いとされています。
長期に渡って症状が持続すると、その間発疹が繰り返し発現して治癒することを繰り返す傾向があります。また急性型の病変が慢性型へ移行する例もあります。

発症の原因としては感染や薬剤への反応など様々な要因が挙げられますが、現在のところ明らかな原因は不明です。治療に当たっては抗菌薬や光線療法、免疫抑制薬などが用いられます。

主な症状

慢性苔癬状粃糠疹の典型的な症状は、隆起性の紅色丘疹です。
慢性型の場合この特徴的な丘疹は、ほぼ全身に現れ対称性に分布する特徴がありますが、顔面にはあまり生じない場合が多いです。
痛みやかゆみなどの症状は特に現れません。丘疹は数mm~1cm程度、最大で豆ほどの大きさで、鱗屑を伴うためくすんだピンク色のかさぶたのような見た目をしているのが特徴です。
しわが寄っていたり薄くなって見えることもあります。

初期の段階ではごく小さな丘疹であったものが、進行することによって徐々に増大し、扁平な形状に変化し、鱗屑が付着するようになります。
類乾癬は乾癬と類似していますが、乾癬よりも薄い傾向があります。小局面型の粃糠疹は良性であることがほとんどで、がんではないケースが多いです。
まれなケースでは病変が皮膚T細胞リンパ腫と呼ばれる皮膚がんに変化する場合もあります。
皮膚変化は、急性型に比べてゆっくりと進行する点が特徴です。治癒後に色素沈着や色素脱失、瘢痕なども見られます。

主な原因

慢性苔癬状粃糠疹の原因は現在のところ明らかになっていませんが、病態的には表皮真皮接合部におけるT細胞が炎症を起こすことで症状が現れると考えられています。
小児や若い人に発症が多く、10歳前後の発症が多いとする報告もあります。

慢性苔癬状粃糠疹は類乾癬の一種で、類乾癬は乾癬によく似た角化性の紅斑が多発する疾患の総称を指します。皮疹の形態によって局面状類乾癬、苔癬状粃糠疹とに分類されています。
慢性苔癬状粃糠疹は若年者に多く発症が見られますが、基本的にはまれな疾患と言えます。
慢性型と急性型が混在している例も多く、発疹が盛り上がるなど経過観察中に症状に変化が見られる場合には注意が必要です。

基本的に慢性型の苔癬状粃糠疹の場合、発熱や血管の炎症を伴う急性型やリンパ腫へ移行する増殖型と比較するとそれほど重症化するリスクも高くなく、症状も軽いことが多いです。
新旧の皮疹の混在も比較的少なく、潰瘍を伴うこともないため、適切な治療が行われれば予後は良好と言えます。

主な検査と診断

慢性苔癬状粃糠疹は、主に鱗屑と局面の外観や発生部位などによって診断されます。
類乾癬にはいくつかの種類がありますが、主に発疹の特徴や病理検査の結果から判断されることが多いです。
病理検査とは皮膚組織のサンプルを採取して顕微鏡で詳しく確認する検査です。病理組織検査によって小円形細胞浸潤、表皮基底層に液状変性、赤血球漏出などが認められる場合もあります。
このような組織の特徴と、臨床症状と併せて判断されます。また病理組織検査はほかの疾患の可能性を否定する目的で行われることも多いです。
鑑別が必要な、症状が類似している疾患としては乾癬、脂漏性皮膚炎、Gibert ばら色粃糠疹、菌状息肉症などが挙げられます。

また、経過を観察する中で発疹が盛り上がるなどの変化が見られる場合には再度病理検査を行います。
慢性苔癬状粃糠疹においては可能性が低いものの、リンパ腫の可能性が疑われる場合にはT細胞の表面にある受容体の遺伝子を確認します。

主な治療方法

慢性苔癬状粃糠疹の治療には薬物療法や光線療法などが行われます。
具体的な方法としては太陽光、外用コルチコステロイド、外用タクロリムス、経口抗菌薬、紫外線照射、免疫抑制薬などが挙げられます。
ただ外用薬や内服薬のみの治療ではあまり効果が期待できないとされており、紫外線照射などが外用薬と組み合わせて行われる例が多いとされています。

慢性苔癬状粃糠疹で見られる皮疹は、数ヶ月程度で自然に軽
快する例も多く見られます。基本的に急性型や増殖型と比較すると、皮膚症状以外の症状がなくリンパ腫へ移行するリスクも少ないため、経過観察となることもあります。
ただ慢性苔癬状粃糠疹は数週間から長ければ数年間持続することもあり、発疹が繰り返し発現し治癒するという経過を繰り返します。
その都度症状に応じた治療を行う他、急性型と慢性型が混在する例も多いため定期的な皮膚生検なども必要に応じて行うことで、リンパ腫などへ移行するリスクに備えることができます。