側弯症 ソクワンショウ

初診に適した診療科目

側弯症はどんな病気?

側弯症とは、本来まっすぐであるはずの背骨が左右に弯曲した状態になる疾患です。
背骨自体のねじれを伴うことがあり、左右の肩の高さの違い、肩甲骨の突出、腰の高さの非対称、胸郭の変形、肋骨や腰部の隆起などが典型的な変形の症状です。
側弯が進行すると、腰背部痛や心肺機能の低下につながるリスクもあります。生まれつきの先天性側彎と、他の疾患に伴う症状として現れる後天的な病原性(症候性)側彎とがあります。
小児期にみられる脊柱変形や、思春期の女児に多く見られる思春期特発性側彎などがあります。
無症状であり日常生活にも影響を来さない例も多くあり、大人になってから発見されることも珍しくありません。
小中学校の健康診断では、モアレテストと呼ばれる簡便な方法を用いて背骨の彎曲を調べており、早期発見にも繋がっています。

側弯症は早期の治療によって症状を軽減させる効果が期待できます。ただ現在のところ側彎自体を治療することは困難とされています。

主な症状

側弯症を発症すると脊柱が曲がることによって主に体表面に変化が現れます。
主な特徴としては肩の高さ、腰のくびれが非対称になる、体幹バランスが悪くなる、骨盤の傾き、肩甲骨部の出っ張りなどが見られます。
体を前にかがめた時に背中や腰の一部が盛り上がる、ハンプと呼ばれる症状は側弯症の典型的な症状と言えます。症状が進行するとより変化が目立ちます。

脊柱のカーブは、一番傾いている椎体と椎体の間の角度であるコブ角という角度で示されます。
コブ角が10度以上曲がる状態を側弯症と呼びます。20~30度以上の場合には装具治療、40度以上の場合には手術が検討されます。

外見上の異常の他に現れる症状としては、変形のある背部や腰部に痛みやこりを生じたり、脊髄が障害されることで脊髄麻痺などの神経症状を生じることがあります。
症状が進行すると、肺や心臓を包む胸郭が変形することで肺活量の減少や息切れなどの呼吸器症状が現れることもあります。

主な原因

側弯症は、原因がわからない特発性側弯症もあれば、先天性の側弯症、神経や筋の異常など何らかの疾患を原因とするものもあります。
日本における発生頻度は1~2%程度とされており、女児に発症が多い傾向があります。全体で見ると原因不明の特発性側弯症は、全体の約60~70%を占めます。
特発性側弯症は発症時期によって乳幼児期側弯症、学童期側弯症、思春期側弯症などに分類されています。3歳以下で発症する乳幼児期側弯症は男児に多く見られます。

また原因となる疾患が明らかな側弯症には、神経・筋原性側弯症、レックリングハウゼン病と呼ばれる神経線維腫症による側弯症、間葉系疾患による側弯症などが挙げられます。
神経や筋肉の疾患では、脊髄空洞症、脳性麻痺、筋ジストロフィーなどが原因となっている場合が多いです。間葉系疾患の例としてはマルファン症候群が代表的です。その他にも放射線治療、やけどによるケロイド、骨系統疾患、感染症、代謝疾患、脊椎の腫瘍などが原因となっている場合もあります。

主な検査と診断

側弯症の診察では、子供に前かがみの姿勢をとらせて後ろから脊柱を観察する方法が一般的です。
症候性側弯症の鑑別には、神経学的検査、MRI検査などの画像検査が行われる場合も多いです。
脊柱全体のレントゲン写真から側弯の程度を角度で表しますが、脊椎骨や肋骨の異常の有無も同時に確認します。
短期間で側弯が悪化している場合には、経過を注意深く観察する必要があるため年に数回の診察が必要になります。
現在では運動器学校検診が行われており、まず家庭で評価を行い、その後に学校医による視触診によって判定されることが多いです。

側弯症は家庭でできる簡易な前屈検査によっても疑うことができる疾患です。両腕を自然に前に垂らし膝を伸ばしたまま、背中を丸めながら前屈をします。
肩周辺、背中、腰部を左右の高さに差がないかに注目して確認します。また真っ直ぐに立った状態で背中からウエストライン、肩の高さ、肩甲骨の高さ、突出に左右差がないかも確認します。異常が見られた場合には整形外科を受診するようにしましょう。

主な治療方法

側弯症の治療は、側弯の原因や程度、年齢などに合わせた治療が行われます。
特発性側弯症で程度が軽い場合には、運動療法などで経過観察する場合が多いです。症状が進行する場合にはコルセットなどの装具治療を行います。
主に側弯が20~45度程度の中等度の側弯症に対して行われる治療で、装着時間が長いほど効果があり、進行防止が期待できます。骨が成熟して側弯の進行がそれ以上悪化しなくなった場合には、装具装着時間を減らしていきます。脊柱の成長期である思春期に悪化する場合が多いため、進行する場合は手術による矯正が必要になることもあります。

側弯症を矯正し進行を防止する効果が期待できます。手術の方法には前方法と後方法とがあり、前方法では椎体や椎間板を実際に触って矯正を行います。
椎間板を切除し、そこに外した肋骨を移植して椎体に固定する方法です。後方法は椎弓根スクリュー、ロッドなどを用いてカーブを矯正し、骨移植によって矯正した範囲の背骨を一つの骨に接着させる方法です。