気管支炎(小児)
気管支炎(小児)はどんな病気?
気管支炎とは、主にかぜなどのウイルスによって気管支に炎症が起こる病気です。細菌やマイコプラズマなどの病原微生物が原因となる場合も多いです。上気道炎に続いて発症することが多く、咳や痰、発熱などの症状が現れます。さらに炎症が進行すると肺炎を起こしたり高熱、激しい咳などを伴い場合が多いです。赤ちゃんの場合は重症化しやすいというリスクがあるため入院での治療が一般的です、
気管支炎の中でも数日から3週間程度の期間内におさまるものを急性気管支炎と呼び、それ以上長く続くものを遷延性気管支炎、3ヶ月以上の長い期間に渡って症状が出るものを慢性気管支炎と呼びます。子どもに多いのが急性気管支炎で、子供が遷延性気管支炎や慢性気管支炎と診断されることはまれなケースです。
乳幼児期から小児期は保育園や学校など感染症が広がりやすい環境にあるため、気管支炎になりやすい年齢を区別することは難しいとされています。男女の間にも目立った差はないとされています。
主な症状
気管支炎の症状には、多少強いかぜ程度の咳から、肺炎の一歩手前まで程度はいろいろです。目立つ症状はだんだんと強くなっていく咳で、最初は乾いた咳ですが、やがて痰の絡んだ湿った咳になります。夜間にはのどがゼーゼーとなる喘息を起こしてしまうことも少なくありません。夜間、咳のため十分寝られなかったり、咳込みで吐いてしまったりすることもあります。小児がかかると咳によって大人以上に体力を消耗してしまうだけでなく、咳がなかなか治まらず2~3週間、あるいそれ以上続くこともあるのが特徴です。また、発熱を伴うこともありますが熱はたいてい3~4日ほどで下がることが多いです。
子どもの場合病原体に対する免疫力がまだまだ低く、気管支炎にかかりやすいとされています。重症化してしまうと肺炎に至る場合もあります。肺炎にまで進行してしまうと38度以上の高熱や全身のだるさ、呼吸困難を起こすこともあるため早期に医療機関を受診することも大切です。
主な原因
気管支炎を起こす代表的な原因はインフルエンザやパラインフルエンザ、コクサッキー、アデノ、はしかなどのウイルス感染です。ウイルス以外の原因としては、ウイルスと細菌の中間にあたるマイコプラズマやクラミジア、細菌である百日咳、ブドウ球菌、肺炎球菌、ヘモフィルス菌などがあります。かぜなどで抵抗力が低下している時に発症しやすいため、1年の中でも冬に発生することが多いとされています。すでに炎症を起こしている気管支に細菌が感染して、さらに炎症が悪化することもあります。細菌に感染すると白っぽかったたんが黄色っぽくなってきます。感染経路はくしゃみや咳などによる飛沫感染と、おもちゃなどに触れた手を介して感染する接触感染によるものです。こどもは手で目や鼻など顔をよく触ったり、手づかみで物を食べることも多いので感染機会は大人と比較しても多いと言えるでしょう。
まれなケースですが煙や粉じんなどを吸い込んだ場合に炎症が起きて急性気管支炎に似た症状が現れるケースもあります。
主な検査と診断
気管支炎の検査には呼吸の状態や咳やたんの様子などから総合的に判断されるのが一般的ですが、肺炎になっていないかを詳しく確認するために胸部レントゲンの検査を行うこともあります。血液検査、細菌検査、たんの検査などを併せて行い、肺炎の原因となる細菌を見つけ出します。インフルエンザ、マイコプラズマ、百日咳、肺炎クラミドフィラ、などの細菌を調べることが多いです。子どもの気管支炎には少ないですが、慢性気管支炎の可能性がある場合には胸部エックス線およびCT検査などを行うことで肺炎の程度などを慎重に調べます。症状によっては呼吸機能検査、気管支鏡検査などより詳しい検査を行うこともあります。
子どもの気管支炎の早期の診断には、現れている症状を的確に医師に説明することが大切です。検温をこまめに行い、咳、痰、鼻水などの症状がどのように変化していったか、喘鳴や呼吸困難、食欲があるかなど詳しくメモに残しておくと医療機関を受診する際に役立ちます。
主な治療方法
小児が気管支炎にかかった場合、治療はウィルスによるものか細菌によるものかなど症状と原因に合わせて行われます。原因がインフルエンザウイルスの場合には抗インフルエンザ薬が処方されます。後から細菌感染が合併しないよう、併せて抗生物質が投与されることもあります。一方、細菌が原因である場合は抗生物質による治療が有効とされていますが、症状によって抗生物質をあえて投与せず自然治癒を待つこともあります。痰を取り除くための去痰剤や咳をおさえる鎮咳剤、解熱薬などによる対症療法も必要に応じて行い、経過を観察します。
乳児が発症すると重症化するリスクがあるため入院での治療を行うことも多いです。水分補給や栄養補給を医師の管理の元で行うためです。
治療期間はさまざまで、多くの場合10日ほどで改善が見られますが病原体によって異なります。熱が下がり、だるさなどの症状が改善した後も、咳だけが長引いたりする場合があります。