境界性パーソナリティ障害 キョウカイセイパーソナリティショウガイ

初診に適した診療科目

境界性パーソナリティ障害はどんな病気?

境界性パーソナリティ障害とはパーソナリティの著しい偏りなどにより、生活に支障が出るほど本人が苦痛を感じていたり、周囲の人間関係などにおいて不具合が起こり、周りが困ってしまう状態のことです。
ものの捉え方や感情、衝動コントロール、対人関係といった広い範囲のパーソナリティ機能の偏りから問題が生じるもので、注意したいのは、「性格が悪いこと」を意味するものではないということです。
この障害は、治療によって徐々に改善することが期待できる精神疾患です。
患者の8割が女性であることも特徴です。

主な症状

境界性パーソナリティ障害は10タイプあり、タイプによって異なった特徴を示しますが、いくつか共通する基本症状があります。
白か黒か、常に両極端に考えてしまうことや、他人を心から信じることができず、人との絆を築きにくいことなどが挙げられます。
傷つきやすさのため、本当は味方になってくれている人も、些細なことで攻撃されたように感じ、敵に思えてしまいます。
また自信と劣等感が同居していて、心の奥底にある劣等感や自己否定感を代償しようと自信を装ったり、強気に振る舞ったりしてしまいます。
自分と周囲の境界線があいまいで、自分と相手の立場を混同しやすい。自己愛のバランスが悪い、なども共通して見られる症状です。

主な原因

境界性パーソナリティ障害の原因はまだ十分に明らかになっていません。しかし現在急ピッチで解明が進められていて、生物学的特性や発達期の苦難の体験が関連していることがわかっています。
例えば、衝動的な行動パターンは中枢神経を制御する神経伝達物質であるセロトニンが作用している神経系の機能低下によるものだと考えられています。
また、養育者が身近にいられなかったなどの養育環境が不十分だったことや、養育期につらい体験をしたことなどが発症と関連しているともいわれています。
遺伝子と環境要因が境界性パーソナリティ障害の発症に関わっている可能性があります。
一部の人には生活上のストレスにうまく対応できない遺伝的な傾向があり、他の精神障害とともに境界性パーソナリティ障害を発症する可能性が高まる場合があります。
境界性パーソナリティ障害は家族内で受け継がれる傾向があり、さらにこの傾向は遺伝する可能性があるとみられています。

主な検査と診断

境界性パーソナリティ障害障害は障害の中にも様々な種類があるうえ、発達障害との関連性もあるため、診断までに時間がかかると言われています。
診断には現状の姿の把握だけでなく、一定期間における症状の変化を把握することが必要なため、面接は複数回行われます。
また診断には通常、米国精神医学会が発行している精神障害の診断と統計マニュアルに基づいて下されます。
境界性パーソナリティ障害の診断を下すには、不安定な人間関係、自己像、気分、そして衝動的行動の病歴がみられる必要があります。
また症状は成年期早期までに始まっている必要があります。

主な治療方法

境界性パーソナリティ障害の治療にはいくつかの療法があり、症状や発症するに至った背景などに合わせていくつかの方法を組み合わせて行うのが一般的です。
大きく分けると、精神療法と薬物療法があり、基本的には精神療法を持続的に行います。
具体的には弁証法的行動療法、感情予測と問題解決のためのシステムズトレーニング(STEPPS)、メンタライゼーションに基づく治療などを行っていきます。
また必要な場合は、特定の症状の治療に薬が使用されます。