包虫症

包虫症はどんな病気?

包虫症は、現在、北海道で流行しています。犬やキツネに寄生したエキノコックスという条虫の虫卵をヒトが飲み込むと幼虫となって感染し、血液を通って主に肝臓に寄生して包虫となってゆっくりと増殖して、スポンジ状の大きな病巣を形成します。感染してから数年、十数年にわたって無症状ですが、肝臓が腫れて上腹部の痛みや黄疸が出ることがあります。脳に転移すると神経症状が現れ、治療を怠ると10年で90%以上が死亡します。

主な症状

包虫症は、経口摂取されたエキノコッカスの虫卵が腸管の粘膜から侵入し、血流により体内の各臓器に運ばれることにより生じます。そのため、数年から数十年の潜伏期が存在し、包虫による臓器圧迫により発症します。寄生する臓器により症状は異なります。具体的には、肝臓では肝腫大や黄疸、肝不全、肺では咳や喀痰、脳では脳腫瘍様の腫瘍などが生じます。

主な原因

包虫症の原因は、エキノコッカスという条虫です。エキノコッカスはオオカミやキツネ、イヌなどの動物の腸管に寄生しています。これらの動物の糞便中には虫卵が含まれています。接触により汚染された手などを介して虫卵を経口摂取し、虫卵が体内に入ると、孵化して包虫と呼ばれる幼虫となり、肝臓や肺、脳などに寄生することにより症状があらわれます。

主な検査と診断

包虫症の検査方法は、多様です。問診では、北海道への旅行経験の有無を確認します。北海道に生息しているキタキツネから感染する恐れがあるためです。そのほかには、理学的な所見、胸部や腹部のレントゲン・CTスキャン、間接血球凝集検査によってのう胞を確認するなど、幅広い方法があります。石灰化を発見するために腹部のエコーやX線検査も用いられ、腹腔鏡による生検も行われます。

主な治療方法

包虫症の治療法は、症状により異なります。包虫が肝臓などの臓器に寄生し、臓器を圧迫している場合には、外科的な包虫の摘出が行われます。内視鏡で到達可能な部位に寄生している場合には、内視鏡を用いて摘出することもあります。脳に寄生し、脳腫瘍様の症状を呈している場合には、外科的に摘出されます。このほか、メヘンダゾール、アルヘンダゾールなどの駆虫薬を用いて駆虫を行う場合もあります。

包虫症の初診に適した診療科目