ICL(眼内コンタクトレンズ)手術は安全性が高いとされていますが、リスクも伴います。リスクを理解し、納得した上で手術を受けることが重要です。

また、術後の過ごし方も大切なポイントとなります。適切なケアを行うことで、術後のリスクを最小限に抑えることが可能です。

この記事では、ICL手術で後悔しないために知っておきたいポイントや、術後の過ごし方を詳しく解説します。

ICL手術とは眼内レンズを埋め込んで近視・乱視・遠視の矯正をする治療

ICL手術とは眼内レンズを埋め込む治療

ICL手術は、近視・遠視・乱視を矯正するための眼科手術です。手術によって裸眼での生活を可能にし、従来の眼鏡やコンタクトレンズに依存しない生活ができることを目的としています。

レーシックと異なり、角膜を削る必要がありません。ICL手術とレーシック手術の違いは、以下の通りです。

ICLレーシック
適応軽度近視から強度近視軽度近視から中等度近視
手術の方法眼内にレンズを挿入角膜を削ってカーブを変更
見え方鮮明・クリア使用するレーザーの性能による
可逆性レンズを除去すれば戻せる角膜を削るので戻せない
費用約40~60万円約20~40万円

有水晶体眼内レンズは、角膜のカーブを変化させるレーザー屈折矯正手術と異なり、元に戻すことが可能な手術である。

小島 隆司、市川 一夫. (2012年). 後房型有水晶体眼内レンズImplantable Collamer Lens(ICL),P4.

ICLが後悔する・怖いと言われている4つの理由

ICL手術で後悔する理由

ICL手術を受ける前に不安を感じたり、術後に後悔したりする理由として、主に以下の4つが挙げられます。

  • レンズが合わないことがある
  • 施術後に感染するリスクがある
  • ハロー・グレア(光がにじむ・まぶしい)現象が起こることがある
  • レンズの位置がずれることがある

それぞれ詳しく解説していきます。

①レンズが合わないことがある

ICL手術は、レンズを虹彩と水晶体の間に固定することで、視力矯正を可能にしています。しかし、なかには非常に低い確率ながら、レンズが合わないといったケースもあります。

レンズが合わないと、期待した視力矯正効果が得られなかったり、眼圧が上昇したりするリスクが高まります。このような場合、新しいレンズに交換する必要があります。

レンズが合っているかどうか確認するためにも、術後は定期検診を受けることが重要です。

②施術後に感染するリスクがある

ICL手術後の感染リスクは、JSCRS(日本白内障屈折矯正手術学会)によると、6000眼に1例程度とされています。

医療機関として術後の感染リスクに細心の注意を払うことはもちろんですが、手術を受けた人自身も日常生活の過ごし方に気を付ける必要があります。医師の指示を守ったうえで、日常生活を過ごすことが重要だといえます。

ICL手術後の感染症として、以下のようなものが挙げられます。

  • 眼内炎:眼球内に炎症が起こり、失明につながるおそれもある
  • 虹彩炎:前房内に炎症が起こり、眼の充血やかすみなどの症状が出る

③ハロー・グレア(光がにじむ・まぶしい)現象が起こることがある

ICL手術後に、ハロー・グレア現象という光の乱反射による視覚障害が生じることがあります。光がにじんだり、光のまわりにリングがあるように見えたり、まぶしく見えたりする現象です。

ハロー・グレアは日常生活に影響を及ぼすことがあるため、医師のアドバイスに従って対処しましょう。適切なケアと医師の指示により、日常生活への影響を最小限に抑えられます。

ICL手術を行った直後は見え方が不安定ですが、時間の経過とともに徐々に安定します。ハロー・グレア現象は、多くの場合1週間から数ヶ月程度で改善するでしょう。

④レンズの位置がずれることがある

虹彩と水晶体の間にレンズを挿入するICL手術では、レンズの位置がずれることがあります。稀なケースではありますが、発生するリスクは否定できません。特に乱視用レンズは、術後に回転してしまう可能性があるとされています。

そのため術後に違和感がある場合は、必ず医師に相談しましょう。眼科クリニックでの適切なフォローアップにより、レンズを正しい位置に調整したり、レンズを交換したりなど、早い段階で必要な処置や指導を受けることができます。

ICLは後房に固定されるが、ICLのサイズが相対的に大きいと虹彩を裏側から持ち上げ隅角が狭くなってしまう。

小島 隆司、市川 一夫. (2012年). 後房型有水晶体眼内レンズImplantable Collamer Lens(ICL),P4.

ICLで後悔しないために知っておきたい2つのポイント

ICL手術で後悔しないためのポイント

ICL手術を受ける際には、慎重なクリニック選びとリスクに対する理解が重要です。ここでは、ICL手術で後悔しないための2つのポイントを解説します。

①クリニック選びは慎重に行う

ICL手術を検討するうえで、クリニック選びは後悔を避けるためにも非常に重要です。ICL手術は、特別な認定医資格を持つ眼科の専門医のみが行えます。クリニックの公式サイトで、その資格を有する医師のプロフィールなどをあらかじめ確認しておけると安心です。また、公式サイトに治療実績を掲載しているクリニックもあります。いくつかのクリニックを見比べ、比較検討するのがおすすめです。

②リスクを理解したうえで手術を受ける

ICL手術を受ける前には、手術のリスクを理解することが重要です。ICL手術には、術後の感染症などのリスクが存在します。

また、先述したハロー・グレア現象が発生するリスクもあります。このようなリスクをしっかりと理解したうえでICL手術を選択することが、後悔しないために必要なポイントとなります。

ICLで後悔したくない人必見!術後の過ごし方を紹介

ICL手術後に気を付けるポイント

ICL手術後に後悔しないためには、術後の過ごし方にも気を配る必要があります。そこでここでは、ICL手術で後悔しないために、「術後の適切な休養」「目を守るための日常活動の調整」「定期検診」など、合併症の予防にも繋がる重要なポイントを紹介します。

日常生活で気を付けること

ICL手術後の日常生活では、特に感染リスクに注意が必要です。術後の目は敏感であるため、感染を防ぐために衛生管理を徹底しましょう。また、医師の指示に従って日常生活を過ごすことで回復を早めます。

適切なケアと配慮によって術後のリスクを減らせます。特に以下のことに気を付けましょう。

デスクワークは2~3日間控える

デスクワークは、ICL手術後2〜3日間は控えることが推奨されています。目への負担を軽減し、手術部位の回復を促すことができます。

運転は視力が安定してから行う

手術直後は視力が不安定な場合があり、安全な運転が難しくなります。そのため視力が安定するまで、運転は行わないようにしましょう。

手術後3日間は洗顔・洗髪はしない

水やシャンプーが目に入ると、感染症を引き起こすおそれがあります。手術後3日間は、洗顔・洗髪を控えましょう。

アイメイクは手術後1週間経ってから行う

メイクで目の周囲を刺激してしまうことで、手術部位に影響を及ぼす可能性があります。そのため、アイメイクは、手術後1週間経ってから行うことが推奨されています。

コンタクトレンズは手術後1ヶ月経ってから装着する

目の表面を保護して、手術部位の回復を促す必要があります。コンタクトレンズは、手術後1ヶ月経ってから装着しましょう。

まつ毛パーマ・まつ毛エクステは手術後1ヶ月間控える

目の周囲を刺激することで、手術部位に影響を及ぼす可能性があります。まつ毛パーマ・まつ毛エクステもコンタクトレンズと同様、手術後1ヶ月間は控えましょう。

処方薬を飲み忘れないようにする

手術後の処方薬は、感染症を防いだり、痛みを和らげたりするために必要です。医師の指示通りに、忘れずに服用しましょう。

目をこすったり不要に触れたりしない

目への負担や、感染症を引き起こすリスクを、なるべく避ける必要があります。術後は、目をこすったり不要に触れたりしないようにしましょう。

術後の定期検診や検査は必ず通院する

定期的な検査と検診は、ICL術後の安全と健康を保つために必要不可欠です。手術後の経過を正確に把握し、問題があれば早い段階で迅速に対応してもらうためにも、必ず受診しましょう。

ICLの後悔に関するよくある質問

ICLをやめたほうが良い人はどんな人ですか?

ICL手術をやめた方が良いのは、眼鏡やコンタクトレンズでの生活に不便を感じていない人、老眼が進んでいる人、またはICL手術のメリットを十分に感じられない人です。

ICLを受けた後は何日休んだら良いですか?

検診が行われる手術の翌日は休みましょう。また、一般的な休養日数の目安は、デスクワークの場合が手術の翌日、肉体労働の場合が3〜4日後とされています。

ICLの効果はどれくらい持ちますか?

ICL手術の効果は、半永久的に持続します。若年層で近視の進行が見られる場合、時間の経過とともに視力の変化が起こることがありますが、レンズの交換を行うことで効果を維持することができます。

まとめ:ICLで後悔しないために術後の過ごし方を守りましょう

ICL手術で後悔しないために

ICL手術は視力矯正手術の一つであり、角膜を削らないのが特徴です。しかし、手術にはリスクが伴います。

ICL手術を受ける前に、リスクを理解・納得することが大切です。また、術後のケアにも十分注意しましょう。定期的に医師の診察を受けるなどの術後の過ごし方への配慮は、後悔のないICL手術に繋がります。