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今回は『子どもの「クラミジア肺炎」その症状と予防など…』をご紹介させて頂きます。

肺炎を起こす「3つの細菌」

クラミジア肺炎とは、「クラミジア」という細菌が原因で、呼吸器に炎症が起こる感染症です。クラミジアは、粘膜細胞の中に潜り込んで寄生し、封入体という袋のなかで繁殖をする微生物です。クラミジアにはたくさんの種類がありますが、肺炎を引き起こるのは、次の3つです。

(1)クラミジア・トラコマティス
(2)クラミジア・ニューモニア (肺炎クラミジア)
(3)クラミジア・シッタシ

クラミジア肺炎は、季節に関係なく発症し、特に流行期はありません。感染経路はクラミジアの種類によって異なります。症状も細菌の種類で違いはありますが、共通して「乾いた咳」や「激しい咳」が長く続くのが特徴です。

原因菌が「クラミジア・トラコマティス」の肺炎

「クラミジア・トラコマティス」を原因菌とするクラミジア肺炎は、新生児期(出生日〜28日未満)や、乳児期(生後1ヶ月〜1歳未満)にみられます。赤ちゃんの約3〜20%が発症する感染症です。

この肺炎は、クラミジアに感染しているママ(妊婦)の出産時に、赤ちゃんが産道を通るタイミングで感染(産道感染)します。ママがクラミジア感染の治療を行っていないケースでは、約50~70%の確率で感染しています。現在でも、妊婦検診の約3〜5%の女性に、クラミジア感染が認められています。出産前に、クラミジア感染症の治療をしっかり終えることが大事です。

産道感染から、約2~6週の潜伏期を経て発症します。したがって、生後約4~12週の赤ちゃんの様子には注意が必要です。結膜炎や鼻炎の症状が出たら、クラミジア肺炎の前兆と考えてよいでしょう。熱が出ることはほとんどありません。痰を伴った激しい咳とともに、呼吸の回数が増えるのが特徴です。呼吸時には、「ゼイゼイ」あるいは「ヒューヒュー」といった雑音(喘鳴と呼ばれる症状)があらわれます。

原因菌が「クラミジア・ニューモニア」の肺炎

「クラミジア・ニューモニア」を原因菌とするクラミジア肺炎は、子どもからお年寄りまで幅広い層にみられる細菌性の感染症です。人から人に感染し、家族、学校のクラス、職場内、高齢者施設などで、集団感染として流行することがあります。性別による発症比率は、男性がやや多い傾向にあります。

約3~4週間の潜伏期間を経て発症し、38度以下の微熱、乾いた咳、喉の痛み、声のかすれ、鼻水、呼吸困難といった症状があらわれます。高齢者では重症化する恐れがあるため、わずかな症状でも、ただちに呼吸器科などを受診しましょう。

また、感染しても症状がでないこともあり、健康な大人の約60%がクラミジア・ニューモニアの抗体を持っているともいわれます。

原因菌が「クラミジア・シッタシ」の肺炎

「クラミジア・シッタシ」を原因菌とするクラミジア肺炎は、「オウム病」と言われ、インコ、ハト、オウムなどの鳥から人に感染する肺炎(人獣共通感染症)です。鳥の分泌物や羽毛などを吸い込むことで感染します。

感染者の少ない病気ですが、それでも鳥類の繁殖期である4〜6月に感染者をやや多くみかけます。感染する年齢層は特定されていません。まれに、動物園での集団感染が起こることがあります。約7~10日の潜伏期間を経て発症し、39度前後の高い発熱、悪寒、頭痛、筋肉痛、激しく乾いた咳がみられます。インフルエンザの症状に似た様子です。

クラミジア肺炎の「治療」と「予防」

クラミジア肺炎は、問診のほか、X線検査による画像や血液検査によって診断が確定します。治療は、抗生物質を約1〜2週間服用するのが一般的です。乳幼児には大人とは違う抗生剤が投与されます。

クラミジアは繁殖力の強い細菌です。症状が治まっても、処方されたとおり抗生剤を最後までしっかり服用し、クラミジアを完全に撃退することが大事です。咳、発熱、喉の痛みなどが激しいときは、症状を緩和する薬が別途処方されるでしょう。症状を和らげるには、水分補給を十分行い、室内が乾燥しない工夫も必要です。

クラミジア肺炎は、妊活中のパパママは性病検査をしっかり受け、感染しているときはしっかり治療することが大事です。妊婦の女性も出産までに治療を終えておきましょう。子どもが感染しないためには、細菌が口や鼻から侵入してくるのを防ぐために、「うがい」と「手洗い」を習慣化する、そして、免疫力を高めるために、「バランスのとれた食事」と「十分な睡眠」を心がけることが大事です。

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