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今回は『ピーナッツなど「異物誤吸入」が起きたらどうする?』をご紹介させて頂きます。
小さな食べ物が「気管」につまる
呼吸のために空気が行き交う通路を「気道」といいます。異物誤吸入とは、食べ物やその他の小さなものが、誤って気道のなかに入り、それが詰まって、気道が塞がれた状態(気道閉塞)をいいます。

気道が確保されていないため、
(1)むせる
(2)激しく咳き込む
(3)呼吸困難になる
などの症状が起こります。気道が完全に塞がれてしまうと、命の危険も考えられます。異物誤吸入は、どの年齢層にも起こりうる症状ですが、特に子どもや高齢者に多くみられます。
子どもが異物誤吸入は「豆類」が多い
人間は食べ物が口に入り、そして食道に侵入するときには、気管に自然とフタがされて、異物が気道に吸入されるのを防止しています。ところが、小さな子どもは、その機能がまだ十分に働きません。そのため、小さな食べ物などが、勢いよく飲み込んだときに、気管に入ることがあります。
ピーナッツやアーモンドなどの豆類、アメ、グミ、ゼリーなどの小さな菓子類、その他にもぶどう、プチトマト、こんにゃくは、子どもが飲み込んで詰まりやすい食べ物です。これらの食べ物は、窒息などのリスクが高いため、4歳までは控えるのがよいでしょう。

子どもが異物誤吸入になる原因のほとんどは「豆類」といわれています。ピーナッツなど油分を含む食べ物は、長い時間気道内にあると、油分によって「肺炎」を発症することがあります。
いつも「座って食べる」よう教える
小さな子どもは、食べ物を口に入れたまま、寝転んだり、飛んだり、跳ねたり、走ったりするうちに、まちがってアメなどを飲み込むことで、異物誤吸入になることがあります。行儀作法としてはもちろんですが、異物誤吸入を防ぐためにも、食べるときは、きちん座って落ち着いた状態で食べることを教えましょう。
しかしそれでも、異物誤吸入が起こることがあります。食べ物を口に入れたまま、泣いたり笑ったりした拍子に、誤って気道に入ることがあります。急な対処ができないような、例えば、車・電車・飛行機など移動中では、気管に詰まりそうな小さなものを子どもに食べさせるのは控えます。
そして、子どもがむせていたり、咳き込んだりしていたら、ママやパパだけでなく周囲の大人は、異物誤吸入の可能性を考えて、すぐに様子をうかがうようにしましょう。
異物誤吸入は「食べ物以外」もある
異物誤吸入が起こるのは、食べ物だけとは限りません。赤ちゃんは、口に入るものは口に入れて確認する性質があります。高い好奇心や探究心のあらわれでしょう。そして、赤ちゃんは、視覚や触覚よりも、口のまわりの筋肉が発達しているため、口に入れて脳に刺激を与えているとも言われています。
そういった性質からも、赤ちゃんや小さな子どもは、「異物誤吸入」を起こしやすい状態にあります。ビーズやビー玉などのおもちゃ、消しゴムなどの文具、1円玉などの硬貨などが、異物誤吸入の原因としてよく挙がります。

大人が目を離したわずかな時間でも、子どもの好奇心は休みなく続きます。小さなものは、子どもの手の届かないところ、目につかないところに片付けて、整理しておくことが大事です。
覚えておきたい「応急対処」の仕方
異物誤吸入が起こると、激しく咳き込む様子とともに、「ぜいぜい」という雑音が口のあたりから聞こえます。窒息しているようなら、すぐに救急車を呼びます。すみやかに、次のような応急処置を行います。
(1)子どもを逆さまに抱きかかえ、うつ伏せで膝に乗せる
(2)背中の肩甲骨のあいだを、強めに叩く
(3)異物が吐き出せたかどうか確認する
子どもが少し大きいときは、
(1)大人が片膝をつく
(2)ついた足の上に、子どもをうつ伏せで乗せる
(3)背中の肩甲骨のあいだを、強めに叩く
(4)異物が吐き出せたかどうか確認する
病院では、気管支鏡を使って異物を確認して摘出します。気管に炎症が起きているときは、ステロイド薬などの薬物療法を行います。赤ちゃんの場合は、摘出のために麻酔をすることがあります。