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今回は『赤ちゃんがミルクを吐き戻す!「肥厚性幽門狭窄症」の症状と原因』をご紹介させて頂きます。

ミルクの「吐き戻し」はよくあるけど…

赤ちゃんがミルクを「吐き戻す」行為は、決してめずらしい現象ではありません。赤ちゃんは満腹中枢が未熟なため、ミルクを飲めるだけ飲んでしまう傾向があります。そこでつい飲ませ過ぎて吐き戻すことがあります。

また、赤ちゃんは胃の入口が大人と違って、しっかり閉じていないためにミルクが逆流しやすいこともありますし、生後まもない時期はミルクを飲み慣れていないので、空気まで飲み込んでゲップといっしょに吐き戻すこともあります。しかし、吐き戻しが続くようなら心配です。

なぜか、第1子の男の子に多い!!

赤ちゃんに「大量に繰り返しミルクを吐く」症状(吐乳)が見られるのが「肥厚性幽門狭窄症(ひこうせいゆうもんきょうさくしょう)」という病気です。生まれて2週間から3ヶ月あたりまでの赤ちゃんに起こりやすい症状です。

この病気は、約900人の赤ちゃんに1人の割合で起こるといわれています。男女比は「5:1」で男の子に起こる場合が多く、そのなかでも「第1子」に多くあらわれます。しかしその傾向がなぜ強いのかは明らかになっていません。

胃の「出口が細くて」ミルクが流れない

肥厚性幽門狭窄症は、赤ちゃんの胃の出口の筋肉(幽門筋)が分厚く(肥厚)なることで、胃の出口が細く(狭く)なり、ミルクが十二指腸へ流れなくなる病気です。ミルクが胃のなかに留まって、やがてミルクで胃がいっぱいになると、ミルクを大量に吐き戻してしまいます。

赤ちゃんは、ミルクを吐いたあとでも、空腹であるためミルクを欲しがる様子がみられます。肥厚性幽門狭窄症の症状が進むと、ミルクを噴水のように勢いよく吐く(噴水状嘔吐と呼びます)ようになるのが特徴です。幽門筋がどうして厚くなるのか、その理由は今のところ明らかになっていません。

体重の減少」には気をつけて!!

赤ちゃんがミルクをゲップとあわせて吐く、口からタラリと吐くのはよくあることです。しかし、大量に吐く状態が続き、さらに体重が増えない(あるいは体重が減っている)のであれば「肥厚性幽門狭窄症」の疑いがあります。

吐乳が続くと、胃液が排出されて体液がアルカリ性に傾き、そこから体重の減少が起こります。赤ちゃんによっては、肥厚性幽門狭窄症によって、出生児の体重を下回ることもあります。普段から体重の変化には、十分な注意が必要です。

もし肥厚性幽門狭窄症であれば、脱水症状が起こりやすく、黄疸(肌が黄色っぽくなる症状)にかかることがあります。すみやかに「小児科」や「小児外科」を受診して専門医に相談しましょう。

診断はエコー、治療は2つある

肥厚性幽門狭窄症であるかどうかは、赤ちゃんのお腹を触診して肥厚した幽門筋を確認し、さらにお腹の超音波検査(エコ-)で診察します。超音波検査では、幽門筋が厚くなっている様子が確認できます。幽門筋の厚さや長さを測定し、「厚さが3mm以上、長さが17mm以上」であれば、肥厚性幽門狭窄症と診断されるでしょう。

治療は、
(1)手術で幽門筋を切開して拡げる方法(ラムステット手術)
(2)硫酸アトロピンという薬の内服や注射で、幽門筋を緩ませて広げる内科的な治療があります。
外科手術では手術の次の日からミルクが飲め、1週間以内に退院ができるようです。どちらを選ぶかは、小児外科の医師とよく相談して決めます。

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