本記事の監修医師

matuzawadr

松澤呼吸器クリニック
松澤 邦明 院長先生

【クリニック所在地】
〒542-0086 大阪府大阪市中央区西心斎橋1-12-11
アーバンスタイル心斎橋2F
Tel.06-6120-3177
 
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睡眠時無呼吸症候群

今注目が集まっている医療や健康情報を病院検索ホスピタが厳選して分かりやすくお届け! 今回は『睡眠時無呼吸症候群』をご紹介させて頂きます。
この病気が原因とみられる交通事故が発生した。TBSのネットニュースによると、宮城県内で2016年1月、バスが田んぼにつっこみ運転手がけがを負う事故があった。運転手は「事故直前、眠気に襲われた」と証言している。居眠り運転だった。さらに運転手が、この病気を患っていることが判明したのだ。
この病気とは、睡眠時無呼吸症候群だ。症状は、夜、寝ているときに、一定時間だけ呼吸が止まる。そのせいで睡眠の質が落ち、日中に突然の眠気に襲われるようになる。この病気の人が居眠り運転する回数は、この病気でない人の5倍に上る。
また、身近に会社の会議で必ずといっていいほど頻繁に居眠りする人はいないだろうか。しかも、さっきまで威勢よく発言していたのに、数分黙ったと思ったら、もう「船を漕いでいる」といったような場合、この病気の疑いがある。

睡眠時無呼吸症候群とは?

睡眠時無呼吸症候群の患者は、共通して大きないびきをかくことから、鼻の異常が疑われ、当初は耳鼻科医が治療に当たっていた。ところが病気の認知度が上がり、潜在患者が多いことが分かり、この病気による交通事故が社会問題化されると、循環器の医師も関心を持つようになった。研究が進みさまざまなことが分かってきた。

結論を先にいってしまうと、睡眠時無呼吸症候群の患者は、脳卒中リスクが2倍以上、心筋梗塞のリスクが6倍以上になることが分かった。
さらに恐ろしい研究結果もある。睡眠時無呼吸症候群が見つかった人の10年後の死亡率は10%で、この病気でない人の3倍に達する。

睡眠時無呼吸症候群

睡眠時無呼吸症候群の定義は、1晩の睡眠中に、10秒以上の呼吸停止が30回以上ある場合、または、1時間あたり5回以上の呼吸停止があることだ。
ただ、呼吸をしているかどうかは、本人ではなかなか分からない。強烈ないびきも症状のひとつだが、これもいつも近くに寝ている人がいないと気づかれない。こういったことから、患者が潜在化していた。

原因と治療法

大きな原因は、メタボリック症候群だ。または、肥満である。飲酒も関連しているとされている。睡眠時無呼吸症候群のチェック項目は次の通り。
・大きないびき
・体重増
・睡眠中に息をしていないと言われたことがある
・7時間以上寝ているのに、朝起きると疲れが取れていない
・昼間、強烈な眠気に襲われる

治療はまず、生活習慣の改善から着手する。メタボや肥満であれば、ダイエットに取り組む必要がある。アルコール量が多い人は、節酒か禁酒が指示されるだろう。
鼻の異常で起きる場合もあるので、鼻の治療を同時に進めることもある。

睡眠時無呼吸症候群

それでも改善しないと、特殊な治療器具「CPAP」を使う。「シーパップ」と読む。
CPAPは、ティッシュ箱より一回り大きな機械で、そこから管(くだ)が伸びている。管の先にはマスクがついていて、夜寝るときにそのマスクを鼻に装着する。
CPAPからは呼吸と同じ感覚で空気が送られてくる。こうすることで、呼吸が止まりそうになったときでも、強制的に空気が送られてくるので、無呼吸にならないで済むというわけだ。
CPAPは空気を送る「シュパー」という音を出す。この音が気になって眠れないと感じるくらいの音量だが、実は装着した患者の多くは「久しぶりによく眠れた」という感想を抱くという。それは、無呼吸が解消され、睡眠の質が向上したからと考えられる。
CPAPは医療保険の対象になっている。

脳卒中心筋梗塞のリスク高まる!!

さて、どうしてこの病気を患うと脳卒中心筋梗塞のリスクが高まるのだろうか。それは、睡眠時無呼吸症候群になると、高血圧になるからだ。
人は通常、眠ると血圧が下がる。ところが睡眠中に呼吸が止まると、脳は本能的に「呼吸を再開させなければならない!」と判断する。せっかく休んでいる体を動かそうとするのだ。このとき血圧が上がってしまう。

高血圧が体に悪いのは、心臓に負担がかかるからだ。寝ているにもかかわらず血圧が下がらず、日中と同じくらいの血圧にまで上がってしまうと、心臓が休める時間がなくなってしまう。それで、心臓の病気である心筋梗塞脳卒中を発症するようになるのだ。

睡眠時無呼吸症候群は、死につながる病気だ。また、死に至らなくても、交通事故や仕事への支障など、普段の生活も困難になってくる。そこで、生活改善やCPAPという体に負担が少ない治療で治らない場合、根本的な治療を行うことになる。
手術だ。
いびきや呼吸停止は、気道が塞がることで生じるので、気道を塞いでいる部分をメスで取り除くのである。ここまで大きな治療が必要になる前に、地道な治療に取り掛かりましょう。

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