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今回は『冬場こそ「ノロウイルス」に気をつけて!』をご紹介させて頂きます。

ノロウイルスは「11〜2月」がピーク

食中毒といえば、梅雨の時期や夏場を考えることが多いでしょう。そして気温が落ち着いて、外が寒くなってくる頃になると、「そこまで注意しなくても」という安心感が生まれてきます。しかし「ノロウイルス」は冬場こそ注意が必要です。

ノロウイルスによる食中毒や感染性胃腸炎は、年間を通して発生していますが、実は冬季が発生のピークです。厚生労働省の調べによると、ノロウイルスの発生時期の約65%は、11月から2月に起こっています。ノロウイルスは「低い温度が大好き」です。気温4℃で約1~2ヶ月は平気で生存します。まずは、その事実を知っておきましょう。

なぜ、ノロウイルスは冬場に流行するのか?

ノロウイルスが冬場に流行する原因の多くは、「牡蠣」などの二枚貝にあります。特に牡蠣は、旬の秋から冬にかけて「生で食べる」機会が多くあるため、十分な注意が必要です。

ノロウイルスは、もともと牡蠣にいるわけではありません。問題は海水にあります。いや、問題なのは海ではなく、私たち人間です。人間が排出した生活処理水などによって、海水にはノロウイルスがわずかに潜んでいます。

二枚貝はエサとしての「プランクトン」を摂取するのに海水を大量に吸い込みます。二枚貝は海水から得たプランクトンを体内に蓄積し、海水は吐き出していますが、そのとき二枚貝の内臓(中腸腺)にノロウイルスが残ってしまうことがあります。そして、ウイルスに感染した牡蠣を生食することで、人間の体内にノロウイルスが入ってきます。

生で食べることもある「ホタテ」も同じく二枚貝ですが、調理の段階で内臓を除いて、貝柱だけを食べるため、ノロウイルスに感染することがほとんどありません。

「生牡蠣」を食べるときは、注意して!

ウイルスに感染している牡蠣を(1)生のまま食べる、(2)加熱が不十分な状態で食べると、ノロウイルスによる食中毒や感染性胃腸炎が起こりやすくなります。ノロウイルスは湯通し(60℃で約10分の加熱)したくらいでは死滅しません。85〜90℃以上の温度で90秒以上の加熱が必要です。

シジミ、ハマグリ、アサリは、味噌汁など必ず加熱した料理で食卓にのぼりますが、牡蠣は内臓ごと生で食べる機会があるため、冬場にノロウイルスの感染症被害が起こりやすくなるのです。

一方、サザエやアワビなどの巻貝や一枚貝は、エサとして、おもに海藻を食べています。そのため、たくさんの海水を吸い込むことがなく、ノロウイルスの感染は少ないとみてよいでしょう。

感染すると「24時間で症状」がでる

ノロウイルスは、牡蠣の内臓のなかで増殖することはありません。摂取した人間の十二指腸や小腸の腸管で増えていきます。そして強い感染力が特徴です。ノロウイルスが10~100個ほどの少量でも感染してしまいます。

感染すると約24~48時間で発症します。腹痛、嘔吐、下痢、発熱、頭痛を引き起こします。嘔吐や下痢を繰り返すため、脱水症状になる恐れがあります。

ふだん健康な大人であれば、症状は軽く、2~3日で治まりますが、子供やお年寄りなど抵抗力が十分でない人は、重症化しないよう医師の診察と治療が必要です。

「加熱調理」が有効な予防対策!

ノロウイルスに対抗するワクチンは今のところありません。また、ノロウイルスは多数の遺伝子型が存在するため、感染症を経験しても、再度感染することがあります。

予防には、牡蠣などの二枚貝はしっかり加熱するのが、もっとも有効な対策です。加熱の足りなかった牡蠣フライによって、感染したケースも報告されています。そして、ふだんから、料理前には手洗いをする習慣をつけることが大事でしょう。

また、疲労がたまっている、ストレスが多い、など体の抵抗力が低下しているなと感じるときには、生牡蠣を食べるのを控えます。弱った体にノロウイルスは感染しやすくなります。

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