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今回は『そのポッコリお腹は「胃下垂」かも?』をご紹介させて頂きます。

日本人の「約30%」は胃下垂

太っているわけではないのに「下腹がポッコリ出ている」という悩みは、「胃下垂」が原因かもしれません。胃下垂は、胃が正常な位置から、地面の方向に下がってしまう状態をいいます。

胃袋そのものが、ストンと落ちてしまうようなイメージですが、実際は食道につながっている胃の上部はそのままで、下部だけがだらりと骨盤のあたりまで下に伸びてしまう症状です。つまり、胃がみぞおちから腰のあたりまで、縦に長くなっている状態です。

現在、日本人の約30%は胃下垂であるといわれています。胃下垂は、消化不良を起こすなど胃の機能が低下するだけではなく、腸を押しつぶすことになるため、(1)自律神経のリズムが狂う、(2)下痢や便秘を引き起こす、(3)体全体にエネルギーがいかなくなる、といった症状が発生し、私たちの健康を脅かすことになります。

なぜ、「胃下垂の人」は下腹だけが膨らむのか?

細身で長身の人や、華奢な体型の女性など、痩せてほっそりとした体型の人が、胃下垂になりやすいといわれています。食事をしてすぐの胃は、摂取した食べ物の分だけ(体積分)膨らみます。胃が正常の人は、みぞおちのあたりが膨らみます。

ところが、胃下垂の人は、胃の下部が腰のあたりまで下がっているため、食事をすると「下腹部だけがポッコリ」膨らみます。太っているわけでもないのに「下腹のポッコリ」はこれが原因です。

また、胃下垂の胃は蠕動運動(臓器の収縮運動によって、内容物を移動させる行為)が健康な人にくらべて約3分の1に低下しているため、うまく消化されず、食物が胃のなかに溜まった状態が長く続きます。そのことで、日常的に下腹ポッコリの体型が慢性化しているといえるでしょう。

胃下垂は「猫背の人」がなりやすい

胃下垂は、生まれながらの体質によるものだけでなく、これまでの生活習慣が影響して起こります。(1)暴飲暴食をくり返す、(2)脂っこい食事や刺激物を好んで摂取する、(3)食事中に噛む回数が少ない、(4)食事の時間が不規則である、(5)夜食を摂る習慣がある、など、胃に負担をかける生活は「胃下垂」を引き起こします。

さらに、姿勢の悪い人、なかでも「猫背の人」は、胃下垂になりやすいというデータが報告されています。猫背の姿勢を続けると、骨格の歪みや開き、さらに腹筋(詳しくは、深層部位にある腹横筋、腹斜筋)の低下が生じて、内臓を支えることができなくなり、胃が垂れ下がってしまいます。

また、体の歪みは、内臓付近の毛細血管を圧迫して血行不良を引き起こします。すると、胃などの臓器を支えている膜組織などに栄養が行き渡らなくなり、胃などの内臓を本来あるべきところに保持することが難しくなるのです。

胃下垂を「改善して」スッキリお腹に!

下腹のぽっこりだけでなく、食欲不振、胃のむかつき、腹部の不快感、吐き気などの症状が続くようなら、胃腸炎を起こしていることも考えられます。早めに「消化器内科」を受診して医師に相談してみましょう。

胃下垂を予防するには、食生活を改善するのがいちばんです。「適量の食事を、きまった時間に、ゆっくりよく噛んで食べる」のをしばらく実践します。甘いもの、刺激の強いスパイスは控えましょう。腹筋を鍛えると胃下垂は改善するといいますが、自分の胃の状態を医師に確認してから行うのがよいでしょう。

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