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今回は『お腹が空くと「頭が痛くなる」のは、なぜ?』をご紹介させて頂きます。

空腹時の頭痛は「血糖値の低下」が原因

お腹が空くと「頭が痛くなる」という症状に悩む人は案外多いようです。ドクンドクンという頭痛に加えて「イライラ」や「体のだるさ」に襲われます。人によっては、吐き気やめまいが同時に起こることがあります。

これらの症状が起こるのは「血糖値の低下」が大きな原因です。血糖値とは、血液のなかのブドウ糖(グルコース)の濃度です。

私たちは食物から栄養を吸収していますが、栄養に欠かせない糖質は、体内に入るとグリコーゲンという多糖類に変わり、肝臓や筋肉に蓄えられます。そこから、ブドウ糖に変化し、血液を通して全身の細胞に運ばれて行きます。健康であれば、ブドウ糖は血管を通して全身を巡り、脳や筋肉などを正常に動かすエネルギー源としての役割を果しています。

なぜ「低血糖で頭痛」が起こるのか?

血糖値が低いとは、血液中のブドウ糖の量が減っている状態です。ブドウ糖は「脳が働くため」には欠かせないエネルギー源です。血糖値が低い状態になると、脳はエネルギー補給を求めて、「アドレナリン」などのホルモンを分泌します。

アドレナリンは、生命や体の危機に備えて「緊張、闘争心、攻撃性、危機回避などを準備するため」のホルモンです。スポーツ選手などが大事な場面で興奮したときに「アドレナリンが出ました」という表現をよく発しますが、これはアドレナリンが分泌したことにより、(1)呼吸が速くなる、(2)血管を拡張する、(3)筋力が向上するといった動きが行われたことを意味します。

血糖の低下は、脳の働きが鈍くなるため、生命や体の危機に繋がるとして、脳はアドレナリンを分泌して、「エネルギーの補給」を体の各機関に要求します。いわば非常体制が発令されたと同じでしょう。その結果、脳内の血管は拡張します。そして、神経を圧迫して「頭痛」を起こしています。

低血糖になりやすい人

血糖値が低下すると、「急いでブドウ糖の補給」を求めて、脳の摂取中枢は「空腹感」を発信します。すると私たちは、つい糖質の多い食物を摂り過ぎてしまうことがあります。すると今度は、血糖値が上がり過ぎてしまいます。

体は急激に上昇した血糖値を下げようとして、「インスリン」というホルモンが分泌されます。体の危険を察知したインスリンの活躍で、今度は血糖値は下がりぎみになります。すると、脳はアドレナリンなどを分泌します。

お腹が空いた → 血糖値が下がる → 頭痛が起こる → 急にたくさん食べる → 血糖値が上がり過ぎる → 血糖値を下げようとする → 頭痛が起こる、といった悪循環に陥ることでしょう。

「頭が疲れたら甘いものを摂るといい」という言葉がありますが、そこでお菓子などを必要以上に食べてしまう人は、血糖の上昇と下降をくり返して「強い頭痛」に見舞われます。他にも、
(1)1回の食事量が少ない人
(2)1日の食事回数が少ない人
(3)食事を摂る間隔が広い人
 は、低血糖になりやすいため、気をつけましょう。

空腹時の頭痛は「食事の仕方」で予防する

食事の仕方の工夫で、「空腹時の頭痛」は予防できます。お腹が空いているときは、血糖値をゆるやかに上げるような食事の仕方が大事です。

糖質が含まれているものは、あとにして、先に野菜やスープなどをいただきます。血糖値がゆっくり上昇することで、インスリンが分泌されることを防ぐことができます。

野菜や水分などでお腹をなじませながら、お肉やお魚などを食べてタンパク質を摂取します。そのあとで白米や麺類などに手をつけてゆくとよいでしょう。