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今回は『若い人に多い「卵巣のう腫」とは?』をご紹介させて頂きます。

卵巣腫瘍の「約90%」は良性!

卵巣は、子宮の両側に1つずつある楕円形の臓器(生殖器)です。正常な卵巣は、成人女性で約2~3cm、クルミほどの大きさがあります。卵巣の大きな役割は、定期的な卵子の産生と女性ホルモンの分泌です。とてもデリケートな器官で、もっとも腫瘍のできやすい臓器と言われています。

私たちは腫瘍と聞くと「がん」を想像しがちですが、腫瘍には良性と悪性があります。卵巣の腫瘍で悪性の場合は「卵巣がん」を指しますが、それは卵巣にできる腫瘍全体の約10%以下と言われています。一方、卵巣にできる腫瘍の約90%は「良性腫瘍」で、そのほとんどが「卵巣のう腫」と呼ばれる症状です。

10〜20代の若い女性にも発生する!

女性にとって、卵巣を正常に保つことは、体や精神を安定させるだけでなく、お肌をはじめ美容にも大事なことです。しかし、日常的に卵巣の状態を気にして生活することはあまりないかもしれません。

卵巣のう腫は、卵巣から分泌される液体成分が、卵巣内にたまることで卵巣が腫れる病気です。女性であれば幅広い年齢に発症する可能性があります。腫瘍は更年期以降にあらわれるのが一般的ですが、卵巣のう腫は10代や20代の若い女性にも発生するのが特徴です。

卵巣は、肝臓やすい臓と並んで「沈黙の臓器」と呼ばれ、腫瘍ができても自覚症状がほとんどありません。そのため、腫瘍が握りこぶしほどの大きさに肥大して、医師による触診で腫瘍の存在を確認できても、本人はまだ自覚症状はないケースはよくあります。多くの人は定期検診などで症状が発覚し、治療の開始が遅れる傾向が強い病気です。

卵巣のう腫「4つ」のタイプ

卵巣のう腫は、自覚症状はほとんどないのが普通ですが、握りこぶしほどに肥大すると、下腹部が膨らんで、スカートやズボンきついなど普段の様子との違いを感じることでしょう。人によっては、下腹に軽い痛みを感じることがあります。また腫瘍の肥大が進むと、嘔吐・頻尿・腰の痛み・便秘が起こるとされています。

卵巣のう腫の原因は、現在のところほとんど分かっていません。卵巣にできる腫瘍は種類が多く、そのため原因究明に時間がかかっているのかもしれません。現在、卵巣のう腫は大きく次の4つに区別されています。

(1)漿液性(しょうえきせい)のう腫
漿液という卵巣から分泌される透明でさらさらした液体が卵巣内にたまることで起こります。思春期以降、年齢を問わず発症し、卵巣のう腫でもっとも頻度が高い病気です。

(2)粘液性のう腫
閉経後の女性に多くあらわれる症状です。ゼラチン状の粘液が卵巣のなかにたまることで起こります。

(3)皮様性のう腫
20~30代の女性に多くあらわれる症状です。毛髪・骨・歯などを作る細胞(人体の元)が増殖して卵巣にたまり、ドロドロした腫瘍になった状態です。腫瘍の大きさは、鶏卵から小児の頭ぐらいの大きさにまで肥大します。

(4)チョコレートのう腫
20~40代の女性に多くあらわれる症状です。子宮内膜症が卵巣内に発症して起こる腫瘍です。子宮内膜症とは、子宮内膜の組織が、卵巣など子宮以外の場所にできる病気です。子宮以外の部位で月経のように出血が起こるため、排出先のない血液などが卵巣内にたまることで起こります。たまった血液が変色してチョコレートのように見えることが名前の由来です。

30歳過ぎたら「婦人科」で定期検診

卵巣のう腫は、原因が分かっていないうえに、生活習慣によるものではないため予防には「定期検診」が欠かせません。30歳を過ぎたら、年に1度は婦人科で検診を受けるとよいでしょう。

超音波診断によって、卵巣の状態が確認でき、病気の早期発見につながります。日常生活において、次のような症状、あるいは違和感をおぼえたら、検診の時期を早めて婦人科を受診することをおすすめします。

・近ごろ、下腹部の膨らみが気になる
・理由もなく、下腹や腰に痛みがある
・下腹部に、しこりのようなものを感じる
・経血量が増えている
・月経痛が以前より強くなった
・便秘がつづいている
・頻尿になったように思う

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