今注目が集まっている医療や健康情報を病院検索ホスピタが厳選して分かりやすくお届け! 今回は『お酒の二日酔いで下痢!?』をご紹介させて頂きます。

お酒はおいしいですよね。でも楽しさの代償として、二日酔いがやってきます。二日酔いの3大症状は、頭痛、吐き気、下痢です。きょうはそのうちの下痢についてみてみましょう。軽く見ていると、大きな代償を払わなければならなくなりますよ。
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そもそも下痢ってなんだろう

下痢ってとてもやっかいですよね。電車やバスに乗っているときにもよおすと、とても困ります。下痢には腹痛がともなうことが多く、とても苦しいです。
しかし下痢は、人の体を守る反応なのです。例えば口の中に土が入ってしまったら、猛烈に咳き込んで吐き出そうとしますよね。また、間違って腐ったものを食べてしまったら、嘔吐しますよね。咳き込むことも嘔吐も、体に入った毒を体外に出そうとする反応です。

下痢もこれと同じなんです。毒が口や喉や胃を通過してしまったら、次は腸にやってきます。腸は食べ物の中から栄養と水分を吸収するので、毒が腸まで届いてしまったら、毒も体に吸収されてしまいます。
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毒を外に出す仕組み

そこで腸は、「これは毒だ!」と判断したら、吸収を中止するのです。腸はとても賢い臓器なので、ちゃんとした食べ物の場合、ゆっくり動かしてしっかり吸収します。しかしいったん毒であると判断して吸収を拒絶すると、速く動かして体の外に出そうとします。
健康なウンチは、程よい大きさと程よい硬さを持っています。それは水分がなくなっているからです。しかし腸の中を速く進んでしまうと便の中の水分を吸収する時間もないので、ウンチは硬くなりません。形を作りません。それが下痢便です。

ちなみに下痢便は、猛烈な便意をもよおします。また下痢便はものすごい勢いで噴出してきます。これも腸が「毒はきっちりしっかり外に出そう」と考えて、勢いよく押し出しているのです。

腸を活発にさせてしまうことも

アルコールを飲むと下痢になる原因は、もうひとつあります。それはアルコールが腸を元気にしすぎてしまうことです。元気になることは良いことなのですが、元気になりすぎてしまうと支障が出ます。
腸は動いています。腸の動きは心臓の動きと同じで、自分の意思で止めることはできません。腸がなぜ動いているかというと、腸の中の食べ物や排せつ物を外に出すためです。寝たきりの人でも便を出すことができるのは、腸が動いているからです。
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アルコールは毒

さて、ここでひとつ疑問が浮かぶと思います。
「下痢を起こすのは腸に毒がやってきたからである。ならば、二日酔いで下痢になるのはアルコールが毒だからなのか?」
答えは「アルコールは毒ではないが、アルコールは毒でもある」です。つまりアルコールは少量なら健康を増進させる効果が認められていますが、体に入れる量が一定量を超えると、途端に毒に変わるのです。

アルコールは体内で分解され、アセトアルデヒドという物質に変わります。これは食道がんの原因にものなる猛毒です。しかし少量のアセトアルデヒドは、肝臓によって無毒化できます。しかし肝臓にも能力の限界があり、大量のアセトアルデヒドが血液中に存在すると、無毒化の作業が追い付かなくなるのです。

肝臓とアルコールの関係

下痢によってアルコールやアセトアルデヒドを体外に放出できたとき「良かった」と思ってください。下痢より悲惨な状況は、肝機能の低下です。下痢をしてもお酒を飲み続けると、アセトアルデヒドが血液の中に入ってしまいます。これが肝臓を徹底的に痛めつけるのです。

肝臓には大量の血液が流入してきて、その後大量の血液が肝臓から出ていきます。この過程で肝臓は血液の中のいろいろな毒を無毒化しているのです。そうなんです、肝臓は血管に次いで毒にさらされる機会が多い臓器なのです。
ですので、長期間にわたってアセトアルデヒドの無毒化をしていると、肝臓自体が毒にやられてしまうのです。
肝臓では胆汁も作っています。胆汁という液体は腸に運ばれ、腸の吸収を手助けしています。しかし肝臓が毒にやられてしまったら、胆汁も十分に作り出すことができません。そうなると腸の吸収が滞ってしまうのです。腸が吸収しないので、ウンチは下痢便になります。
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まとめ

お酒を飲むとすぐに顔が真っ赤になったりじんましんが出たりする人がいます。これは肝臓の「アセトアルデヒドを無毒化する能力」が低い証拠です。そういった方は決して無理しないでください。
また、大量のお酒の飲まずにはいられない、という方には、お酒の量を減らすコツをお教えします。それはゆっくり飲むことです。
飲酒には1つの法則があって、それは「飲み始めは多く飲むことができ」「時間が経つと飲みにくくなる」ということです。
逆にいうと、飲み始めにそれほど多くのお酒を飲んでいなくても、時間が経つとあまり飲めなくなるのです。ですので飲み始めに量を控えるだけで、お酒の楽しさをそれほど損なわずに、飲む量を減らすことができます。