今注目が集まっている医療や健康情報を病院検索ホスピタが厳選して分かりやすくお届け! 今回は『ヘルペスをあなどらないで! 角膜に生じると最悪失明も…』をご紹介させて頂きます。
「ヘルペスはやっかいだけど恐くない」とは思わないでください。ヘルペスで命を落とすことはありません。しかし「皮膚がただれたり、かゆみが生じるだけでしょ」とは考えないでください。
ヘルペスが目に発症すると、最悪、失明します。その病名は「角膜ヘルペス」といいます。
黒目を守る角膜
目は重要な臓器の割にとても壊れやすいです。それで目は、使わないときはまぶたを閉じて、外界をシャットアウトしています。まぶたは目の守り神です。しかし「見る」ときにはまぶたを開けなければなりません。そこで、眼球の表面には膜が張られていて、目を守っています。
白目に被さっている膜を結膜といいます。黒目に被さっている膜を角膜といいます。
角膜はとても優れた素材で、なんと0.5ミリという極薄のシートなのに、5層構造になっています。層を作っていると、衝撃が加わっても1枚の層が壊れることで衝撃を吸収できます。
角膜のすごい点はまだあって、5層構造になっているにもかかわらず透明であることです。例えば食品用のラップでも、何枚か重ねると曇ってきます。しかし健康な角膜はクリアです。こんな素材は人工では作り出せません。
どこにでもいて、多くの人がもっているウイルス
角膜を襲うヘルペスは、正式名称は「単純ヘルペス」といいます。ウイルスの一種です。単純ヘルペスは角膜のほかに、口にもできます。これを1型単純ヘルペスといいます。
また、性器や肛門に異常をきたすヘルペスは、別の種類のヘルペスです。これを2型痰運ヘルペスといいます。
単純ヘルペスは1型も2型も、日常の生活空間に存在し、日本人の多くが感染しています。しかし健康な人は、単純ヘルペスを抑え込むことができるので、ヘルペスの症状が出ません。
ヘルペスの症状が出るのは、弱っている人です。風邪を引いたり疲れが溜まったりすると、ヘルペスが暴れ出します。また、糖尿病や抗がん剤治療を受けている人、人工透析を受けている人は免疫力が落ちていて、そういう人にもヘルペスは猛威をふるいます。
涙、まぶしい
角膜がヘルペスにおかされると、涙が出たり、まぶしく感じたりします。まばたきしたり、目をつむったりするときに、目とまぶたの間に異物が挟まったように感じる人もいます。
さらに悪化すると、見にくい、充血といった症状に進んでしまいます。
こうした症状は、ヘルペスが角膜を破壊することで生じます。角膜の一番上の層を壊すだけでなく、2層目、3層目と次々傷つけていきます。
透明なガラスに傷が付くと曇るのと同じで、角膜に傷ができると透明度が低下して「見え」が悪くなるのです。また、角膜の傷はまぶたで感知できるほど大きくなり、「モノが挟まったような感じ」がするのです。
薬が効果的
角膜ヘルペスは薬の効果が高い病気です。ゾビラックスという薬は、角膜だけでなく様々なヘルペスに効果的です。ウイルスを直接やっつける薬です。1日に5回も服用しなければなりませんが、大きな副作用がなく使いやすい薬です。
ただ、腎臓が悪い人には使えないという欠点があります。
手術が無理なら移植しかない
角膜ヘルペスは角膜の傷ですので、ゾビラックスでヘルペスを叩いたとしても、その前に角膜が修復不可能なくらい傷ついてしまった場合、元に戻すことは難しいです。
それでも傷が浅い場合は、手術で傷を削ることで「見え」がある程度回復する可能性があります。
しかしそれでも修復できないほど角膜が傷つくと、治療法は1つしかありません。角膜移植です。移植といっても、人工物はまだ開発されていません。また角膜を提供すると提供者が失明してしまうので、肝臓や腎臓のように生きている人から譲ってもらうこともできません。角膜移植は、亡くなった方の臓器提供によってのみ可能な治療法です。
まとめ
繰り返します。ヘルペスをあなどらないでください。ヘルペスは我慢するしかない、とも思わないでください。体が弱ったときに目が痛んできたら、迷わず医者にかかってください。
初期で治療をすれば完治する病気はたくさんあって、角膜ヘルペスはそのひとつです。そして、悪化すると治療法がなくなる病気もたくさんあって、角膜ヘルペスはそれにもあてはまるのです。
できる病気です。早期ならば薬だけで治るのも、心臓病の特徴なのです。