今注目が集まっている医療や健康情報を病院検索ホスピタが厳選して分かりやすくお届け! 今回は『「若いママさん必読! 赤ちゃんの突然死を防げ①突然死とは」』をご紹介させて頂きます。

健康だった赤ちゃんが急に死亡してしまうのが、「突然死」です。突然死の中でも、原因が分からないものを「乳幼児突然死症候群」と呼びます。国内では対策が進み、乳幼児突然死症候群による死亡例は減少傾向にありますが、それでも2011年度には148人の赤ちゃんが亡くなっています。
赤ちゃんの突然死について、3回に分けて解説します。初回は「そもそも突然死とは」についてみてみます。
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2~6カ月に多い

赤ちゃんの死因として「乳幼児突然死症候群」と付けられるのは、1歳未満の赤ちゃんが、それまでの健康状態から死亡することが予測できず、また死亡後の解剖結果からも原因が特定されない場合です。
つまり、生前に病気を持っていたり、事故に巻き込まれたりした場合は、乳幼児突然死症候群にはなりません。
最も多いのは生後2~6カ月で、まれに1歳以上でもこの「病名」が付くことがあります。

医師が乳幼児突然死症候群を疑った場合、警察に届け出て解剖を行わなければなりません。このルールは厳格で、もしなんらかの事情があって、死亡後に解剖が行われなかった場合、死亡診断書には「死因、乳幼児突然死症候群」とは書かれず、「死因、不詳」と書かれます。

すべての「突然死」が「乳幼児突然死症候群による死」になるわけではない、ということが、突然死を理解する上でとても重要です。
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うつぶせ寝、母乳、喫煙

1995年度に乳幼児突然死症候群で亡くなった赤ちゃんは579人もいました。それがさまざまな対策が取られるようになり、2011年度には148人にまで減りました。
「病気がない」「事故死ではない」のが乳幼児突然死症候群の定義ですが、死亡した赤ちゃんの特徴や、赤ちゃんが置かれた環境に「ある傾向」が見つかりました。以下にその「ある傾向」を紹介します。
しかしこれらはあくまで「傾向」にすぎません。つまり、「これが原因である」とは特定されているわけではありません。

●赤ちゃんの特徴

・男の子に多い
・双子以上の複産で多い
・出生時体重2500g未満が多い
・妊娠期間が36週未満が多い
・母親の年齢が25歳未満が多い
・亡くなる月は5月と12月が多い
・亡くなる時間は午前4時から正午の間が多い
・第3子以降が多い

●死亡した赤ちゃんの環境

・うつぶせ寝が多かった
・母乳でないことが多かった
・両親の喫煙率が高かった

環境については「恐い結果」が出ています。「うつぶせ寝」「母乳でない」「両親とも喫煙」の環境下にあった赤ちゃんの乳幼児突然死症候群による死亡率は、そうでない赤ちゃんに比べて3倍以上も高かったのです。
この研究結果を受けて、厚生労働省も乳幼児突然死症候群対策として、「うつぶせ寝は避ける」「たばこをやめる」「できるだけ母乳で育てる」の3点を推奨しています。
(参照URL:http://www.mhlw.go.jp/bunya/kodomo/sids.html
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●覆すのに6年半

ここで注意していただきたいことは、赤ちゃんが突然亡くなる原因は、乳幼児突然死症候群だけではないということです。実は、本当は「窒息という事故」によって死亡したのに、乳幼児突然死症候群とみなされてしまうケースは多くあります。

2010年に福島県の保育園で、1歳の赤ちゃんが突然亡くなりました。最初に死亡診断書を書いた医師は、乳幼児突然死症候群による死と診断しました。しかし両親が第一発見者の保育士を問いただしたところ、保育士は「本当のこと」を話しました。
その赤ちゃんが泣きだしたとき、保育士は赤ちゃんをうつぶせにして、バスタオルと毛布で頭から足の先まで全身をすっぽりと覆い被せたというのです。

そこで両親は解剖医に解剖を依頼し、その解剖医が下した死因は「不詳」でした。「不詳」とは「乳幼児突然死症候群とは言い切れない」という意味です。つまり「保育士の処置が窒息死を招いたかもしれない」ということでもあるのです。
両親はさらにもう一度別の解剖医に解剖を依頼し、2番目の解剖医が出して結論は「窒息死」でした。
しかし、警察はこれを刑事事件として事件化しなかったので、両親は民事訴訟を起こしました。最高裁まで行き「窒息死」=「保育園側の過失」と認定されましたが、このとき赤ちゃんの死亡から6年半も経過していました。

まとめ

乳幼児突然死症候群は「原因が分からない病気」です。現代医学でも原因が究明できない病気はまだまだたくさんあります。難病もそのひとつです。
しかし恐いのは、「原因が分からない」と「原因を究明しない」の境界線です。赤ちゃんを持つママとパパは、ぜひ赤ちゃんの突然の死について知っておいてほしいと思います。