今注目が集まっている医療や健康情報を病院検索ホスピタが厳選して分かりやすくお届け! 今回は『入院生活それ自体がリハビリだ!』をご紹介させて頂きます。

「病院での入院生活」と聞いて、どのようなイメージを持つでしょうか。ベッドの上で1日中寝転がって、イヤホンでテレビを見て、飽きたらスマホをいじって、そうしているうちにご飯が運ばれてきて…。
確かに医師から「絶対安静」が命じられていれば静かにしているよりありません。しかし最近の病院は、リハビリに積極的です。「リハビリの時間」以外の時間にもリハビリの要素をどんどん取り入れて「退院」=「健康生活のリスタート」を目指しています。
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脳血管の病気でも「リハビリ漬け」

東京・渋谷の「初台リハビリテーション病院」の取り組みが注目されています。この病院では、入院患者に1日3時間の「リハビリの時間」を設けています。これはリハビリ室で行います。普通の病院で行っているリハビリと同じです。
しかしこの病院は、食事も洗面もトイレも、あらゆる入院生活シーンをリハビリにしてしまうのです。
「軽い病気の人だからでしょ」と言われそうですが、そうではありません。初台リハビリテーション病院の入院患者の病気は、脳血管疾患、頭部外傷、骨折など、かなり「重め」です。
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食事はベッドに運ばない

もちろん、闇雲に何でもやらせるわけではありません。この病院では、患者が入院した日に、医師と看護師と理学療法士と作業療法士と言語聴覚士が集まり、患者のリハビリメニューを決めます。
高齢者でも「容赦」しません。普通の病院であれば、看護師が車いすでトイレに移動させるところ、作業療法士が患者の肩を持って歩いてトイレに向かいます。
1日中パジャマで過ごすことも許されません。朝起きたら普段着に着替えてもらいます。若い人は「着替えがリハビリ?」と思うかもしれませんが、けがをした人や高齢者には腕の上げ下げや、体幹の曲げ伸ばし、足の屈伸は大変な作業です。普段着に着替えることで「病人ではない」という気持ちが芽生えるそうです。

風呂はあえて大浴場を作りませんでした。一般家庭の浴槽を使います。当然「バリアフリー」ではないので、患者は例えば「浴槽をまたぐ」という「障害物」を乗り越えなければなりません。この一苦労がリハビリになるのです。
食事も原則、食堂まで行かなければならないのです。「ベッドに横になって上げ膳据え膳」はしれくれません。
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入念な検討会とITで実現

入院患者にこれだけのリハビリメニューを課すことができるのは、病院側の管理体制がしっかりしているからです。リハビリに関する検討会は入院時以外に、月2回も行われています。医療チームのメンバーが患者の情報を持ち寄り、安全かつ効果的なメニューを更新していくのです。
また、専用の電子カルテを導入し、各々のメンバーが持つ情報量を一定に保ちます。「IT化」なくして「入院生活のリハビリ化」は成し遂げられないのです。

まとめ

「リハビリはつらいモノ」という考えは、古い医療といわれて久しいです。リハビリは生活の質を取り戻す唯一の手段ですから、生活に密着していなければなりません。この病院の取り組みが全国でも広がることを期待します。

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