今注目が集まっている医療や健康情報を病院検索ホスピタが厳選して分かりやすくお届け! 今回は『水虫が原因で入院!「蜂窩織炎」』をご紹介させて頂きます。

水虫から侵入する細菌

蜂窩織炎は「ほうかしきえん」と読みます。蜂窩(ほうか)とは蜂の巣のことです。蜂窩織炎は、毛穴や傷口から黄色ブドウ球菌やレンサ球菌などの細菌が入り込んで、皮膚の深いところから皮下脂肪にかけて炎症し、化膿する皮膚感染症です。

炎症を起こした脂肪組織を顕微鏡でみると、融解し切らずに残っている間質細胞が蜂の巣の仕切りのようにみえることから「蜂窩織炎」と呼ばれています。感染者の約90%は膝下で発症し、蜂窩織炎を引き起こす細菌の侵入口はほとんどが「水虫」と言われています。

水虫は、カビの一種である「白癬菌(はくせんきん)」です。白癬菌は、表皮の一番外側にある「角質層」に寄生し、炎症をおこす皮膚病です。水虫は表皮の疾患ですから、健康に重大な障害を及ぼすということはありません。

しかし、水虫が原因となって起きる蜂窩織炎を治療せずに放置すると、細胞壊死が広がり、壊死性筋膜炎や菌血症を引き起こして生命に危険をもたらすことがあります。
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の痛みと腫れ。高熱を発し、入院することも

蜂窩織炎は、体のどの部分にも発症しますが、発症しやすいのは足です。手足の指先にできたものを「ひょう疽」、口の中にできたものは「口底蜂窩織炎」、肌の表皮に感染したものは「伝染性膿痂疹(とびひ)」といいます。

細菌への抵抗力や免疫力が低下しているときに、細菌が毛穴・汗腺・傷口などから侵入し、皮下組織の深い部分にまで到達して発症します。1年間で10万人に200人程度発症し、中高齢者に多いといわれます。

症状のはじめは、広範囲に皮膚の赤み・痛み・腫れがあらわれます。感染部を押すとさらに痛みが出ます。皮膚に熱さを感じ、あばた(皮膚の小さな窪み)が見られることがあります。経過によっては、皮膚がブヨブヨして膿が出ます。

そして、38度以上の発熱・悪寒・頭痛・関節痛や心拍数の上昇、低血圧、錯乱状態といった症状があらわれることがあります。高熱で意識が朦朧とし、救急車で搬送されて10日程度入院するケースもあるくらいです。
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他人には感染しない

蜂窩織炎の感染は、腫れや赤みなどの軽い症状を感じてから、数時間で、広範囲に腫れや痛みが起こります。思ったよりも進行が早いのが特徴です。皮膚の深い部分での発症のため、他人に感染することはありません。

足に痛みと腫れを感じ「虫刺されかな」と思っていたところ、あっというまに足全体と足首にまで腫れが広がることがあります。患部を水枕や氷水などで冷やすと、痛みが軽減できます。また、患部を体よりも高くすると、むくみや腫れをおさえるのに効果的です。
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症状の進行は早い。すぐに皮膚科を受診

できるだけ早く、皮膚科を受診しましょう。治療が遅れると、敗血症(生命を脅かすほどの臓器障害)などを発症する恐れがあります。診察は、血液検査もしくは皮膚所見です。

血液検査では、白血球の増加や、CRPと呼ばれる「C反応性たんぱく(炎症が起こると血清中に増加するたんぱく質)」が通常血液中に含まれる量よりも上昇していることが確認されます。

治療は「抗生物質」が一般的です。適切に服用すれば、約2週間で症状は回復します。炎症が広範囲であったり、高熱など症状が重い場合は、抗生物質を静脈注射します。症状がおさまるまで、飲酒・運動は控え、数日は安静に過ごします。そして、再発しやすい病気ですから、水虫は完治しておきましょう。

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