今注目が集まっている医療や健康情報を病院検索ホスピタが厳選して分かりやすくお届け! 今回は『体に優しい」がメリット。めまいに効く漢方を知ろう!』をご紹介させて頂きます。

多くの日本人は「体調がすぐれないなあ。そうだ漢方を飲もう」とは考えないと思います。また「普通の薬とは」と尋ねられて、漢方を挙げる人は少ないのではないでしょうか。さらにひどい人だと「なんか知らないけど中国の薬でしょ、大丈夫?」と心配することもあります。

でも安心してください。「漢方」は「抗がん剤」や「内視鏡」などと同様に「科学的な医学」の一員です。文部科学省が認定した大学医学部を出た、医師免許を持つ医師が処方します。

きょうはその漢方のうち、「めまい」に効く漢方を、具体的な薬名を挙げながら紹介します。漢方の優れた点は、体に優しいだけではありません。「いろんなタイプのめまい」や「他の症状も出ているときのめまい」に細かく対応しているのです。
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漢方にとってのめまいとは?

まず「漢方にとってのめまい」を解説します。漢方医学では、「自分は静止しているのに周りの景色が揺れ動いたり回転したりしている」状態のことを「内風(ないふう)」と呼びます。体の「内」側に「風」が吹いていて、それに揺すられてめまいが起きている、と考えるわけです。そこで漢方医は「風を取り除こう」と考え、そういった効果のある漢方薬を選びます。
めまいは、血液の循環が十分でなかったり、栄養が足りていなかったりするときにも生じます。この状態を「清陽不昇(せいようふしょう)」といいます。この場合、血液の循環を良くして、体内に栄養を送る効果のある漢方薬が処方されます。

「回るタイプのめまい」に「食欲がない」と「舌が異様に白い」という症状が加わっている患者には、「半夏白朮天麻湯(はんげびゃくじゅつてんまとう)」が処方されます。
「天麻」は、ラン科オニノヤガラという植物の根の皮から作った漢方の材料です。胃腸の機能を高めます。
なぜめまいなのに胃腸?と思われるかもしれません。漢方医学では、めまいは「水毒」によって引き起こされると考えるのです。胃腸が健康であれば、症状を起こさない「一般的な水」でも、胃腸に不具合があると「一般的な水」でも「毒のように」働いてしまうのです。
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「頭痛が伴うめまい」と同時に「気持ち的にイライラしている」場合は、「釣藤散(ちょうとうさん)」という漢方薬が使われるでしょう。釣藤は、アカネ科カギカズラという植物の茎です。この薬は甘い味がします。
肩こりや神経症、高血圧の人にも使われます。

「発生したり発生しなかったりするめまい」に「冷え」が加わっている患者に使われるのは、苓桂朮甘湯(りょうけいじゅつかんとう)」です。この漢方薬も「水毒」対策の要素があります。体内の水のめぐりが悪いことから、冷えが生じていると考えるのです。
動悸息切れ、ふらつきにも効果があるとされています。

「めまいというほどではないが、立ちくらみがする」症状に「頭痛というほどではないが、頭がぼんやりする」といった症状が加わったとき、西洋医学では単に「不定愁訴」「気のせい」と片付けられてしまうかもしれません。
しかし漢方は、このような「一見あやふやな症状」にも対応できるのです。こういう症状に使われるのは、「当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)」です。「当帰」はセリ科の植物です。
「当帰芍薬散」は、月経痛の緩和や、冷え症の患者にも使われることから、漢方を知る女性にはおなじみかもしれません。
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その他にも、「目の下にクマができているような、疲れている中高年のめまい」には「冠心逐瘀丹(かんしんちくおたん)」、「気持ちが落ち込んでいるときのめまい」には「半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)」といったように、症状の微妙な変化に合わせて、薬が変わってきます。
漢方医による治療では、「この漢方が効かなかったら、こっちの漢方を試してみよう」という処方の仕方も普通に行われています。こんなことができるのは、漢方薬が、いわゆる「西洋薬」に比べると副作用が少ないからです。「あなたの」「その症状」に「ぴったり合った薬」が見つかることが、漢方の最大のメリットといえるでしょう。

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