今注目が集まっている医療や健康情報を病院検索ホスピタが厳選して分かりやすくお届け! 今回は『結膜弛緩症』をご紹介させて頂きます。

本記事は久喜かわしま眼科(埼玉県久喜市)の川島 素子 先生にご監修いただきました。

「目」の表面を覆う「膜」には、「角膜」と「結膜」があります。角膜は「黒目」を覆う膜で、結膜は「白目」を覆っています。
「角膜」はクローズアップされることが多いです。視覚を失った人が「角膜移植」によって見えるようになることがあるからです。

一方で「結膜」は「地味な膜」です。結膜が障害されても、すぐに「失明」とう事態に陥らないため、結膜の病気はあまり深刻に扱われないことが多いようです。
しかし、結膜の病気は生活の質を著しく低下させます。きょうはそのうちのひとつ「結膜弛緩症」を解説します。

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結膜弛緩症とは…

結膜は「白目」を覆いつつ、まぶたの裏も覆っています。結膜があるお蔭で、「目」と「まぶた」が直接接触しないで済んでいます。まぶたが目を傷つけないようにする「保護膜」といえます。また、結膜は潤いを維持しています。これにより、まばたきがスムーズに行えます。結膜は「潤滑」の仕事もしているのです。

結膜弛緩症は、この結膜が弛緩した状態になってしまう病気です。「弛緩」とは「ゆるみ」です。「結膜の弛緩」は、カーテンのひだに例えられます。ひだの多いカーテンは、確かにファッショナブルですが、開け閉めがとてもしにくくなります。結膜もひだが多くなると、まぶたを開けたり閉じたりするときの邪魔になります。

結膜弛緩症の症状は…

結膜弛緩症では、強い痛みはありません。目が「ごろごろ」「しょぼしょぼ」する症状が現れます。その他、患者の声としては「何かが挟まったよう」「不快感が取れない」といったものがあります。

悪化すると、「涙目」になります。これは結膜の「ひだ」と「ひだ」の間に涙が貯まってしまい、それが飽和に達すると一気にあふれ出てしまうためです。
もっと「ひだ」が増えてしまうと、結膜が角膜の上に乗り上げてしまうことがあります。角膜は「見ることをしている黒目」の上を覆っているので、その上にさらに結膜が覆いかぶさることで視界不良に近い症状が起きます。

ときには、「結膜下出血」という症状が起きます。ものすごくひだが多いカーテンを想像してみてください。そのカーテンを開け閉めしようとすると、ひだは大きくうねります。これと同じことが結膜に起きると、結膜の毛細血管が切れて出血してしまうのです。
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病院へ行こう!!

結膜弛緩症ドライアイを引き起こしたり悪化させたりすることも問題になります。結膜の「ひだ」に涙がたまってしまうので、最も水分が必要な角膜に水分が届かなくなることがあるのです。また、結膜弛緩で角膜に傷をつけてしまい、ドライアイ症状が悪化することもあります。

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結膜弛緩症と診断されて、対症療法の点眼薬でも改善しない場合、眼科医は手術をすすめることがあります。手術は局所麻酔で行われ、眼球に触れることなく、弛緩した結膜だけを切り取ります。15分程度で終わります。

【この記事の監修・執筆医師】

久喜かわしま眼科
川島 素子 (かわしま もとこ)先生

〒340-0212 
埼玉県久喜市久本寺303-1

TEL:0480-53-8306

<参考>
久喜かわしま眼科公式ホームページ
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