今注目が集まっている医療や健康情報を病院検索ホスピタが厳選して分かりやすくお届け! 今回は『日本人は耳掃除が大好き!でもやりすぎには注意を!』をご紹介させて頂きます。
耳の掃除、どのくらいの頻度で行っていますか?日本人の耳掃除好き、そして耳掃除グッズの多さに海外の人は驚くそうです。耳掃除をすると迷走神経が刺激されるので心地よく感じますね。また大きな耳垢がとれると妙な達成感があり、嬉しくなってしまいます。しかし、耳掃除による事故や、病気の原因となることもあるので注意してください。
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やりすぎていませんか?

外耳道には耳垢を外へと押し出す自浄作用があるので、掃除は外の方まで運ばれた耳垢を取るだけで十分であり、外耳道入口部から1cm以内の見える範囲にとどめることが望ましいとされています。耳垢にも役割があるので過剰に除去する必要はないのです。耳垢はゴミやほこりを吸着して外に出してくれ、弱酸性で殺菌効果もあります。また脂肪が含まれ皮膚の表面を保護してくれます

◇危険な事故も起こっています
国民生活センターのまとめによると、2010年度以降の約5年間で耳掃除中の事故報告が178件寄せられています。原因は耳かき棒が51.8%で、綿棒が48.2%でした。事故の状況としては「耳の奥を突いた、入れ過ぎた」が最も多く63件、他には綿棒の綿の部分が外れたケースや、子どもが自分で行った耳掃除で受傷したケースもありました。

過剰な耳掃除で外耳炎を起こしたり、その炎症の広がりや鼓膜を傷つけることで中耳炎を起こしたりするので注意が必要です。外耳炎を繰り返している人は心当たりがありませんか?耳掃除がクセになっている人ほど外耳炎を起こしやすくなっています。そういった場合には、耳掃除を控えるだけでも十分な効果があります。掃除のやり過ぎにより、傷がつく→傷口から感染を起こして分泌液が多く出る、腫れてかゆみが出る→余計に触りたくなり耳かき棒を入れて触ってしまう、と悪循環に至り、炎症がひどくなってしまいます。
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耳鼻科で耳掃除

自分でする耳掃除は、傷をつけたり耳垢を奥へと押し込んでしまったりすることがあります。耳鼻科での耳掃除は医師が中をしっかり覗いて行うので、確実に、きれいに、そして短時間で済みます。特殊な形のピンセットを用いて引っ張り出し、細かなものは吸引して取り除きます。痛みはほとんどありません。頑固な耳垢で無理に除去すると皮膚を損傷する可能性があるときには、点耳薬が処方されることもあります。数日点耳して耳垢を柔らかくした後ならばスムーズに除去されます。

耳鼻科で耳掃除に至るケースとしては、耳の奥にたくさん溜まっていてガサガサするなどの自覚症状、自覚症状はないが耳鼻科受診でたまたま耳垢が見つかる、動くから危なくて耳掃除できない子どもなどの場合があります。費用も高額でなく、短時間できれいになるのでお勧めです。
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正しい耳掃除の仕方

耳掃除は2週間に1回程度で十分です。1か月に1度でいい、という耳鼻科の先生もいます。耳かき棒や爪などでは皮膚を傷つけることがあるので、綿棒で優しくぬぐい取るように掃除をします。くるくる回転させる程度でよく、ゴシゴシこする必要はありません。「くるくる回しながら引き出す」を数回繰り返せばきれいになります。耳の穴の入口から1cmまでのところにとどめましょう。耳を後ろ斜めに引っ張ると耳の穴が広がります。

耳かきアイテムも色々とありますが、やはり綿棒がお勧めです。世界の耳掃除の標準は綿棒です。日本人は乾燥した耳垢の人が多いので、お風呂上りに耳掃除をすると、耳垢がふやけているので取れやすくなります。普通の綿棒でもいいですが粘着性がアップするように、湿り気のある専用綿棒というものもあります。

以上、耳掃除についてまとめました。耳掃除好きにはつらいかもしれませんが「月に1~2回、1cm以内を綿棒で優しく」を心がけてくださいね。

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