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 めまいの症状がある人は、原因として鎖骨下動脈盗血症候群の可能性があります。では、鎖骨下動脈盗血症候群とはどのような原因で起こり、どのような症状が出るのでしょうか。治療法と合わせて確認しておきましょう。

鎖骨下動脈盗血症候群

鎖骨下動脈盗血症候群とは

 まず、鎖骨下動脈盗血症候群の名称を分解して理解を進めます。鎖骨は多くの人が知っている骨で、肩の部分に存在する骨です。その鎖骨の「下動脈」は、鎖骨の下を通っている動脈を指しています。鎖骨の下を通る動脈は、心臓からやってきた血液を、腕の先のほうへと送り出す役割を果たしています。最後に、「盗血」とはその名の通り、血を盗むことです。鎖骨下動脈盗血症候群では、脳に行くべき血液を腕が奪ってしまいます。

鎖骨下動脈盗血症候群

鎖骨下動脈盗血症候群の原因と症状

鎖骨下動脈盗血症候群では、鎖骨下動脈に問題があるというよりも、心臓と鎖骨下動脈とを結ぶ血管が詰まることによって起こります。この部分が詰まってしまうと、本来は脳に向かって流れるはずの血液が流れなくなってしまいます。なぜ脳に向かって血液が流れなくなるのでしょうか。
 原因は、脳に向かう血液が通る椎骨動脈が左右合わせて2本ある点にあります。まず、心臓から鎖骨下動脈に向かう血管が詰まると、血液は詰まっていない側に流れていきます。その結果、詰まっていない側の椎骨動脈や鎖骨下動脈に多くの血液が流れます。そして、血管が詰まった側では、心臓から直接椎骨動脈や鎖骨下動脈に血液が流れていません。その結果、詰まっていない側の椎骨動脈を通った血液が、詰まった側の椎骨動脈を逆流してしまいます。そして、椎骨動脈を逆流してきた血液は、鎖骨下動脈に入って腕に供給された後、静脈を通って心臓へと戻ります。
 では、鎖骨下動脈盗血症候群ではどのような症状がどのような場合に出るのでしょうか。まず、症状が表れやすいのは、腕を激しく動かす運動をした場合です。というのも、腕を激しく動かす際には、鎖骨下動脈を通じて多くの血液を腕に供給する必要があります。そのため、椎骨動脈を逆流する血液の量が増加し、逆に脳に向かう血液量が減少してしまうのです。
 脳に向かう血液量が減少する結果、脳では血液量が不足します。脳に血液が不足すれば、貧血状態となり、めまいやふらつきといった症状が現れます。腕を激しく使う運動をした際にこれらの症状がみられる場合は、鎖骨下動脈盗血症候群の可能性を疑ってみましょう。

鎖骨下動脈盗血症候群

治療法

 腕を激しく動かす運動をしただけでめまいがすると、日常生活で重い荷物を持つ場合などに支障が出ることがあります。そこで、鎖骨下動脈盗血症候群の治療法を確認しておきましょう。治療のためには、症状の原因を取り除く必要があります。鎖骨下動脈盗血症候群の場合、原因となっているのは血管の詰まり(血栓)です。血栓を取り除く方法には、大きく分けて2種類あります。1つは、薬品を用いて血栓を溶かす方法です。この方法は比較的体に与える負担が小さいメリットがあります。しかし、必ずしも薬品ですべての血栓が溶けるとは限りません。薬品による治療が難しい場合には、人工的に別の血管を追加するバイパス手術を行う方法もあります。この方法は手術を伴うため、薬品による治療と比べると規模が大きく、体に与える負担も大きくなります。しかし、血栓を放置しているとその他の部分でも血液の流れに異常がみられるようになり、体調悪化が続く可能性があります。鎖骨下動脈盗血症候群であるとの診断がおりているのであれば、バイパス手術をして症状の改善に取り組むことも選択肢の1つです。

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