今注目が集まっている医療や健康情報を病院検索ホスピタが厳選して分かりやすくお届け! 今回は『ダイエット食事法「ロカボ」』をご紹介させて頂きます。

ロカボは、ストレスの少ない緩やかなダイエットとして注目が集まる食事方法です。肉、魚、卵を食べていながら、健康で痩せやすい体質を徐々につくることができます。
太る原因のひとつは、糖質の摂りすぎによる、食後の血糖値の急激な上昇にあります。血糖値が急激に上昇すると、血糖値を下げようとして血液中の糖分が体内組織にながれ、それが脂肪として蓄積されるのです。
ロカボとは、ローカーボハイドレート(低炭水化物)の略ですが、「ロカボ=糖質制限」と考えてよいでしょう。ロカボは、おもに炭水化物にふくまれる糖質を控えることや、食べ方の順番に少し気をつけることで、食後の血糖値の急激な上昇をコントロールします。
糖質さえ基準以下に抑えれば、肉や魚をたくさん食べても太りにくいということから、ストレスの少ない続けられるダイエット、手軽にはじめられる健康法として、食事法やレシピが世間に広まりました。
また、成人病予防にもつながり、年間1500億円近くの医療費削減にもつながる可能性があるという試算もでています。

ロカボ

糖質と脂肪の関係

糖質を摂取し過ぎると、体内の血糖値が急激に上昇します。すると血糖値を下げようとしてインスリンがたくさん分泌されます。インスリンは血糖値を下げるために体の組織に糖質を分配しますが、余分な糖質は脂肪に変わります。このサイクルが太りやすい体質をつくる原因のひとつとされています。

ロカボ

ロカボ食事法

ロカボは「血糖値を急上昇させない」が大事なテーマです。食前と食後の血糖値の変動幅をできるだけ少なくし、脂肪が蓄積されにくい体質をつくるのがロカボ食事法です。そのためのポイントは2つあります。

(1)制限する食べ物

食事の糖質摂取量を1食あたり20~40gに制限します。これを朝・昼・夕の3回行い、さらに1回の間食(おやつ)の糖質摂取量10gを加え、1日あたりの糖質摂取量は70~130gをめどに食事内容を改善します。現代の日本人は、1日平均270~300gの糖質を食べていると言われますから、これまでの40%程度に抑えることになります。

■食べる量に気をつけるもの

・ごはん
・パン
・麺類
・じゃがいもなど根菜類
・菓子類
・ジュース
・日本酒
・ビール

主食と言われるものをはじめは管理しましょう。おにぎり1個は糖質40g、うどん1玉は糖質52g、6枚切り食パン1枚は糖質27gです。近年、複数の食品メーカーが、低糖質の麺・パン・プリンなどのデザート・菓子類を開発し販売する取り組みが見られます。こちらを試してもよいかもしれません。

■特別に制限しなくてよいもの

・肉
・魚
・葉物野菜
・卵
・乳製品
・ナッツ類
・ウイスキー
・蒸留酒の焼酎
・ワイン

おもに主食を管理すれば、肉、魚、卵、チーズなど好きなものを食べてよいのがロカボの特徴です。また、ナッツ類は低糖質のうえ噛みごたえがあるので間食にはおすすめです。

(2)気をつける食べ方
食事の摂りはじめに、いきなり炭水化物を摂取するのは、急激に血糖値を上昇させる原因になります。ごはん、パン、麺類は食事の後半に食べるよう気をつけましょう。
血糖値を緩かに上昇させるために、はじめは野菜を食べる → タンパク質をしっかり摂る → ごはんなど主食をいただく、の順番がおすすめです。さきにタンパク質をしっかり摂っておくと、満腹感が増し炭水化物の量を抑えることができるため、糖質の摂取量は自然と制限されやすくなります。

便秘

不安と注意

糖質制限で低血糖になってしまうと不安を抱く方もいますが、人間は食べ物からの糖質摂取量を減らしても、肝臓で糖質を作ることができます。つまり糖質制限を行っても、体が自動的に糖質量をコントロールし、適正な量を体内に確保することができるわけです。ですから、糖質制限で低血糖になるという心配はありません。
しかし、糖質は三大栄養素(タンパク質、脂質、糖質)のひとつですから、制限し過ぎないよう注意が必要です。制限し過ぎると、頭が働かなくなる、動悸・震えなど弊害が生じてしまいます。また、糖尿病の方はロカボ食事法を試すまえに医師に相談するのがよいでしょう。

便秘

病気予防としての期待

糖尿病が気になるという方や、全国に2000万人以上いると言われる糖尿病予備軍の方のなかにも、ロカボ食事法を積極的に試す方が増えています。ロカボ食事法を3ヶ月続けた結果、血糖の情況を示すHbA1c(グリコヘモグロビン)の数値が改善したという報告があります。
日本人三大死因(癌、心臓病、脳卒中)の背景に血糖異常があると指摘する医師もいます。現代人の食事は、糖質の過剰摂取ぎみであると言えますので、ダイエットだけでなく健康を意識し、糖質制限する動きが近年広がっています。