腎ガン ジンガン

初診に適した診療科目

腎ガンはどんな病気?

腎ガンとはその名の通り腎臓のがんです。腎細胞がんとも呼ばれ、腎実質の細胞ががん化して悪性腫瘍となってしまった状態を表します。

腎臓の主な役割は血液をろ過して尿を作ることです。腎がんは特徴的な初期症状がほぼないため、発見が遅れてしまうことも少なくありません。主に血尿や腹部への違和感から受診して発見されたり、人間ドックで偶然発見されることも多いです。他の臓器等に転移したがんが先に見つかり、後から腎細胞がんが見つかる場合もあります。

腎がんが進行すると出てくる症状としては血尿、背中や腰の痛み、むくみ、吐き気や便秘などがあげられます。

腎がんはがん全体の中での割合は1%程度で、40代以上の男性に多い傾向があります。男性は女性の約2倍と言われています。腎ガンは年間の死亡率全体でも1%程度と高い割合を占めており、2017年頃から2020年までの間にも罹患者数は増加しており、今後も増加すると予想されているがんの一種です。

主な症状

腫瘍が小さな初期段階では腎ガンの特徴的な症状はほぼありません。初期の腎ガンは自覚症状が出て医療機関を受診するということがほぼなく、初期段階での発見が難しいガンとして知られています。発見されるケースで最も多いのが検診や人間ドックの超音波検査やCT検査です。

ガンが進行して腫瘍が大きくなると徐々に症状が現れます。一般的に腫瘍が7㎝以上になると症状が現れることが多いと言われています。分かりやすく代表的な症状は、血尿や腹部のしこりや腫れなどです。がんが全身へ広がるとともに、腰・腹・背中の慢性的な痛み、足のむくみ、食欲不振、便秘、腹部の痛み、体重減少、発熱、貧血など全身に関わる症状も現れるようになりますが、人により目立つ症状にばらつきがある点も腎ガンの特徴のひとつです。また、腎ガンから他の臓器へ転移するケースも多く、転移するしやすいのが肺・骨・リンパ節とされています。転移したガンから腎ガンが発見されることも少なくありません。

主な原因

腎ガンの原因は、特殊な腎ガン(腎臓ガン)を除いて正確にはまだ分かっていません。科学的に立証されている原因としては肥満、喫煙があげられます。特に喫煙はその他のガンのリスクも高めるもので、中でも腎臓は影響を受けやすいとされています。喫煙をする人の場合、吸わない人と比較すると腎ガンにかかる確率は約2倍になるとも言われています。同様に肥満の場合も、そうでない人と比較するとそのリスクは約4倍という報告があります。

腎がんの原因となりうるのは、肥満や喫煙に加え高血圧など、生活習慣に関わることが多いです。また、透析治療を長くに渡り受けている場合もリスクが高いとされています。また、フォン・ヒッペル・リンドウ病や後天性嚢胞腎(こうてんせいのうほうじん)という病気も、その病気の特徴から腎ガンのリスクを高めてしまう特性があります。

今のところ、腎ガン(腎臓ガン)の発生を予防することはできません。とにかく生活習慣の改善し定期的な検診で早期発見に努めるしかありません。

主な検査と診断

腎ガンの検査では尿検査、血液検査、画像検査などが必要に応じて行われます。まず尿の検査では、尿の中に血液があるかどうか、またがん細胞があるかどうかを調べます。尿検査や血液検査では腎臓がんであるかはっきり確定することができないので、腎臓がんの可能性がある場合は画像検査を行うのが一般的です。

画像検査では、超音波検査、CT検査、血管造影検査(静脈性腎盂造影・腎動脈造影)などで腎臓の形の様子や動脈の状態を調べます。確定診断のために、造影剤を用いたCT検査を行ってがんの進行度や大きさ、リンパ節やほかの臓器への転移の有無などを詳しく調べます。加えてMRI検査も場合によって行われます。造影剤にアレルギーがありCT検査ができない場合や、さらに詳しい情報を調べる場合に行われることが多いです。

まれに画像診断で確定診断が難しい場合に、腫瘍の一部を顕微鏡で確認し、悪性であるかを調べる病理検査を行う場合おあります。その他にもPET検査、骨シンチグラフィなどは必要に応じて行う場合が多いです。

主な治療方法

腎ガンの治療方法として根治を目指す方法としては手術が選択されます。

腎臓を全摘出する「根治的腎摘除術」や、一部のみ取り除く「腎部分切除術」があり、腫瘍の大きさなどによってどちらかが行われます。主に腫瘍が4㎝以下の場合には腎部分切除術が選択されるケースが多いですが、腫瘍の位置が深い、腫瘍と正常組織の境界が浸潤しているものなどは全摘出となることもあります。全摘出したとしてもがんが再発することがあるため術後のケアは大切です。

腎がんへの効果的な抗がん剤はないとされているため、腎ガンに対して抗がん剤治療が行われるケースはほぼないですが、場合によって放射線治療を併用するケースはあります。一方、肺などほかの臓器への転移したガンに対してはインターフェロンという薬を使った免疫療法が採用される場合があります。しかし副作用が強く、治療を断念してしまう人がいるのも現状です。副作用は食欲不振、だるさ、うつ、肝機能障害など様々です。従来はインターフェロンを使用することが多かったですが、近年は分子標的薬など新しい抗がん剤も開発されています。