水痘・水ぼうそう(小児) スイトウ ミズボウソウ ショウニ

初診に適した診療科目

水痘・水ぼうそう(小児)はどんな病気?

水痘は一般的には水ぼうそうと呼ばれる、発疹が水疱(すいほう)化することが特徴の病気です。水痘は水痘帯状疱疹ウイルスの感染によって起きる田先生の疾患です。19世紀の終わりまで、水痘を特定できず天然痘と混同していました。1875年にオーストリアのジョアン・シュタイナーが水痘患者の水筒から菌を取り出し水痘が発症することを証明しました。その後、1970年に日本で水痘ワクチンが作られるようになり、現在では世界中で使われています。接触による感染の可能性は麻しんほど強くはありませんが、かなり強く、家庭内での感染率は90%とされています。保育園などで1人の感染者が出るとほぼ全員に感染する可能性があります。感染してから潜伏期間は約2週間で、発疹がでる1〜2日前から痂皮(かひ)化、つまりかさぶた状になっても感染する可能性が残っています。季節によっても罹患数が異なり、毎年冬が始まって夏が始まるまでの季節が罹患者が多いです。罹患年齢は9歳以下が多く、大人でも感染したことのない人は罹患します。

主な症状

水痘のウイルスはまず鼻腔から喉頭までのいわゆる上気道に感染し、血流によって身体中にウイルスが行き渡りウイルス血症という状態になります。こうのウイルス血症の状態を経て、全身に倦怠感を感じ、発疹や発熱などの症状が出現します。このような症状がはっきり出るまでの潜伏期間は約2週間です。発疹は全身に現れますが、最初に頭皮、その後背中やお腹などの体幹部分、最後に腕や脚に出ます。発疹はほとんどの場合、強いかゆみを伴います。最初は発赤を伴った紅斑から小さな突起状態である丘疹へ移り、一般的に水ぶくれと呼ばれる状態である2~3mmくらいの大きさの水疱、そして最終的にかさぶた状態である痂皮へ変化していきます。数日間にわたり新しい発疹が次々と現れ変化していくため、紅斑、丘疹、水疱、痂皮が混在していることも水疱の特徴的な症状です。発疹以外に発熱があり、食欲が低下し頭痛や腹痛などがある場合もあります。特に大人になって罹患すると、長い期間食欲低下と気持ち悪さが続き、合併症の可能性もあるため注意が必要です。

主な原因

水痘・水ぼうそう(小児)の原因は、ヘルペスウイルスの1種である水痘・帯状疱疹ウイルス(varicella zonster virus:VZV)の感染です。水痘・帯状疱疹ウイルスは感染力のかなり強いウイルスで、ウイルス保有者と同室にいるだけでほぼ感染してしまう可能性があります。感染者の息からの空気感染や飛沫感染、発疹から出る液状のものや唾液などが付着した手で触ることによる接触感染などが感染経路です。
潜伏期間は2週間前後(10~21日)で、一緒にいる時間がどんなに短くても、感染してしまう場合があります。そのため、保育園や幼稚園などの施設感染や家庭内での感染が多いです。感染する時期は、まだ発疹が出る以前から痂皮化(かひか)するまでです。痂皮とはいわゆるかさぶたのことです。
そのため、罹患していることを知らずに登園し、感染源になってしまいます。ただし、一度罹患すると免疫ができるため、初感染の際のみに発病します。

主な検査と診断

発熱と同時に、発疹が見られた場合は、水痘・水ぼうそうが疑われます。医師は基本的に発疹がどのように出るか、水ぶくれやかさぶたがあるかどうかなどの問診と視診で診断し確定します。感染の診断を検査によってすることはまれですが、重篤化したケースなどで必要に応じて行われます。
検査は、ヘルペスウイルスに対して抗体があるかどうかをEIA法によって判断する血清学的検査です。
EIA法とは、酵素免疫測定法またはエンザイムイムノアッセイとも呼ばれる検査で、ウイルス抗体が酵素に反応するかどうかで判断します。
その他、CF法やIAHA法などの検査方法があります。CF法は、補体結合試験とも呼ばれ、抗原があれば、補体がなくなるという反応を利用し抗体の存在が確認可能です。
IAHA法は、免疫粘着(付着)反応と呼ばれる方法で、免疫粘着現象を利用した検査方法です。検査の精度が高く信頼できる結果を出しますが、検査方法が複雑で難易度が高いためあまり利用されません。

主な治療方法

水痘・水ぼうそう(小児)は、自然と治癒していく病気です。
重症化が心配される場合には、アシクロビルやファムシクロビルなど抗ウイルス薬を処方し、体内でのウイルス増殖を抑制する場合があります。しかし、基本的には対処療法が主な治療方法です。一番の問題は強いかゆみを伴い、小さなお子さんの場合はかきむしってしまいあとが残ることです。
あとが残るだけではなく、傷跡から細菌感染を引き起こす可能性があります。かゆみには石灰酸亜鉛化リニメントなどの塗り薬や抗ヒスタミン剤が処方されます。
かゆみのあるところに塗る薬を塗る場合は、指で塗らず綿棒などを使って力を入れないようにします。他の人への感染を予防することと患部から細菌感染を起こさせないためです。細菌感染を防止するために、寝具などを清潔にしておくことも忘れないようにしましょう。
水ぼうそうで食欲がなくなる場合もありますが、免疫力をあげるために栄養価が高く口当たりの良いものを食べさせるようにしてください。