橋本病 ハシモトビョウ

初診に適した診療科目

橋本病はどんな病気?

橋本病とは甲状腺に慢性の炎症が起きている病気であり、慢性甲状腺炎ともいいます。この病名は、世界で初めてこの疾患についての報告を行った医学者橋本策(はかる)博士のお名前に由来しています。炎症の程度が軽度であれば甲状腺機能は正常ですが、炎症が進行すると甲状腺機能低下となり、症状としては首の腫れ、むくみや体重の増加、気力の低下、脈拍数の低下などを認めます。甲状腺疾患は専門医でないと判断しかねることもあり、甲状腺機能低下症は3040歳代の女性に好発することから「初期の更年期障害」と診断されてしまうなど、発見が遅れがちになることも少なくありません。

主な症状

甲状腺機能低下を伴う橋本病の主な自覚症状は、初期に現れる首の腫れ、あるいはのどの違和感です。また全身に現れるものとして、老化と似たように疲れやすくなったり、食べていないのに体重が増えたり、寒気がしたりなどが挙げられます。しかし、橋本病の方全てが甲状腺機能低下症になるわけではありません。橋本病の約70%は甲状腺機能が正常、約20%は症状の無い軽度の低下症、明らかな症状が現れるのは約10%にとどまると報告されています。
首の腫れはバセドウ病と同じく、全体に腫れだんだんと大きくなるものですが、バセドウ病と違い腫れが硬く、また痛みはありません。

主な原因

橋本病の原因として考えられるのは自己免疫の異常です。自分を守るための免疫が、本来であれば反応しないはずである自らの甲状腺に異常に反応してしまうことで起こるとされています。しかし、自己免疫の異常がどのようなきっかけで起こるのか、いまだに明らかになっていません。主に遺伝的な要因と環境的な要因が挙げられていますが、後者としては出産などの大きなストレスが影響していると言われています。

主な検査と診断

橋本病の診断触診抗体を含む血液検査、および超音波検査によって行います。触診では医師が頸部の甲状腺を触って「腫れ」を判断します。血液検査では甲状腺刺激ホルモン(TSH)、fT3fT4自己抗体である抗サイログロブリン抗体TgAb)、抗甲状腺ペルオキシダーゼ抗体TPOAb)などを測定し、甲状腺ホルモンバランスの乱れがあるか、甲状腺の自己免疫の異常があるかどうかを判断します。超音波検査では甲状腺の腫れの有無、内部の確認(性状、腫瘍の有無)を行います

主な治療方法

橋本病の治療法は、甲状腺機能の状態によって判断します。甲状腺が腫れていても甲状腺ホルモン値が正常であれば治療の必要は無く、半年に1回程度の血液検査を行い経過観察します。甲状腺機能低下している場合は、必要な量のホルモンを薬として内服するホルモン補充療法を行います。投与するホルモンの量は、血液検査で甲状腺ホルモンバランスを確認しながら23ヶ月程度の間隔で徐々に調節します。