急性前立腺炎 キュウセイゼンリツセンエン

初診に適した診療科目

急性前立腺炎はどんな病気?

急性前立腺炎とは、尿道、または血液またはリンパ液経由で大腸菌やクラミジアなどの細菌が前立腺に入り、感染を起こす疾患です。
突然症状が出ることが特徴です。発熱し寒気を感じ、前立腺に圧痛があり、排尿が困難になるなどの症状が出ます。
ひどくなると歩くことも座ることもできないほどの痛みを感じます。
前立腺肥大症は高齢者に起こりやすい疾患ですが、急性前立腺炎は、思春期以降なら誰にでも起きうる疾患です。ただし小児にはほとんど見られません。放置するとあっという間に重症化してしまうので、排尿時に違和感を感じた時点ですぐに適切な治療を受けることが大切です。
また急性前立腺炎にかからないように予防をしておきましょう。コーヒーや香辛料の多い辛い料理など刺激物を多量に摂取すると疾患の可能性が高まります。
ストレスや疲労を溜めないこと、長時間同じ姿勢でデスクワークを続けないことも大切です。治療中は水分を多く飲み、安静に過ごします。

主な症状

尿道経由または血液経由で菌が前立腺に入ると、前立腺が腫れるという症状が出てきます。
前立腺の後ろにある精液を分泌する精嚢まで腫れてしまう場合も。この症状が出ると38度以上の発熱をともない、寒気や倦怠感、関節炎が出て全身に活力を失います。
排尿時のトラブルは特に煩わしい症状です。残尿感や頻繁にトイレに行きたくなり、排尿時に痛みを生じる場合もあります。また、肛門付近の「会陰部」と呼ばれるところに圧迫されたような痛みを感じ、尿道が前立腺の腫れによってさらに尿道が狭くなり、排尿が困難になり激痛にため歩行困難で腰掛けることさえできなくなります。
症状が進むと熱も40度を超えます。膿が出てきて前立腺に溜まってきますが、原因は菌を除去するために白血球が増加し菌と接触し、黄色の液体状の膿になるためです。
そのままほおっておくと、全身性敗血症症候群を起こし、脈が多くなるとともに血圧が下がります。結果的に多臓器不全などで死に至る可能性もある危険な状態です。

主な原因

前立腺炎にはさまざまな種類があり、原因などがわからないものもありますが、急性前立腺炎は比較的原因がはっきりしています。
だいたい原因の7割以上がグラム陰性桿菌の一種である大腸菌です。その他の原因菌は、緑膿菌やブドウ球菌なども考えられます。
大腸菌が特に多いのは、普段から糞便に含まれているために尿道から逆行性感染を起こす可能性が高いです。尿道を大腸菌が通り前立腺まで到達することで炎症を引き起こしてしまいます。
淋病やクラミジアなどに感染することが原因となっている場合もあります。また外部からの感染以外にも、体の他の部位から細菌が血流、またはリンパの流れで前立腺へ移動し感染を引き起こすことも原因です。
前立腺の検査でカテーテルを尿道に入れる際に前立腺に外部から細菌が侵入してしまうことが原因の場合もあります。
糖尿病などを患っていると細菌への抵抗力が低下しているため感染を起こしやすくなり、急性前立腺炎にかかりやすくなります。

主な検査と診断

前立腺が腫れるため、排尿のしにくさなどの自覚症状があります。
排尿時の痛みや熱をともなうなどの症状があれば、検査の必要があります。急性前立腺炎の原因は細菌感染ですが、自然排尿した尿を検査することで診断可能です。
急性前立腺炎を罹患すると、尿の中に細菌と炎症によって白血球が増加します。場合によっては、前立腺分泌物を検鏡によって調べる場合もあります。肛門から指を挿入して直腸から前立腺を触診することも可能で、触った際に押されるような痛みを感じたら急性前立腺炎に罹患している可能性が高いです。
このほか、超音波検査で前立腺に腫れがあるかどうか、また膿が出ていないかどうかが確認できます。
血液検査でも診断が可能です。前立腺の検査はあらゆる方法があり、比較的簡単に診断が下されるため、少しでも疑いがある場合はすぐに診察してもらうことが必須です。
細菌の種類により処方される薬剤も異なります。自己判断で放置すると重篤化してしまう場合もあり危険です。

主な治療方法

まず尿検査をして急性前立腺炎の原因である細菌の種類を特定し、原因菌に対して効果のある抗生物質を選択します。
大腸菌などの腸内細菌やクラミジアなどが考えられます。発熱があまりひどくなければ、内服薬の抗生物質でも大丈夫ですが、熱がある場合は、点滴が必須です。
点滴は数日から1週間必要で、その間は入院して安静に過ごします。
快方に向かって症状が安定したら内服薬の抗生物質に切り替えます。退院してからも内服薬は2〜4週間続けることが必要です。
その間の注意事項は、水分を意識してたくさん飲むことです。排尿に痛みがあるため、水を飲みたくない人もいますが、濃い尿はダメージを起こします。また水分が少ないと便秘になり、前立腺に負担がかかります。もちろん、飲酒や刺激物は避けてください。
また尿が出ない状態になっている場合は、尿道留置カテーテルを使って尿が出るようにします。前立腺に膿が溜まっている場合は、会陰部を切開するなどして膿を取り出します。