21水酸化酵素欠損症

21水酸化酵素欠損症はどんな病気?

21水酸化酵素欠損症とは、副腎において17-ハイドロキシプロゲステロンまたはプロゲステロンからそれぞれ11-デオキシコルチゾール、11-デオキシコルチコステロンの合成を触媒する酵素(21ヒドロキシラーゼ)が欠損してしまう疾患です。臨床症状は様々で、本酵素の欠損は常染色体性劣性遺伝を示し、日本では新生児マススクリーニングを実施しています。

主な症状

21水酸化酵素欠損症はコルチゾールとアルドステロンが不足するため、低血糖や食欲不振、疲労感や低血圧、循環障害などの症状が現れます。また電解質異常のため低ナトリウム血症や高カリウム血症もみられます。また皮膚に黒い色素沈着もみられる場合があります。また出生児より女子において外陰部の男性化が起こります。男児においては外陰部は正常ですが成長の促進や男性化するのが早くなります。

主な原因

21水酸化酵素欠損症の原因は、先天性の常染色体劣性遺伝の遺伝形式をとるためです。責任酵素である21ヒドロキシラーゼと言う酵素が欠損しているために遺伝子異常が起こります。常染色体劣性遺伝を示し、特定のある二つの遺伝子の間で頻繁な遺伝子組み換え情報の交換が起こり、欠損変異の情報が挿入されてしまう頻度が増加するために発症します。

主な検査と診断

21水酸化酵素欠損症の検査方法は生化学検査で行われます。CYP21A2遺伝子の頻度の高い9種類の変異と遺伝子欠失のパネルを用いた分子遺伝子検査により罹患者や保因者の原因アレルの80から98%を特定することが可能です。また、これで原因が特定できなかった場合であって、も遺伝子シークエンスを行うことで特定することができます。

主な治療方法

糖質コルチコイドという薬を服用する治療法で不足している酵素を補充して、21水酸化酵素欠損症の症状を和らげる事が出来ます。症状が悪い時は、鉱質コルチコイドも併せて服用すると症状が悪化しなくなります。その時の体調に合わせて、服用する薬の量と種類を変える必要があります。薬品療法による長期的な治療で、症状の進行を完全に止める事が出来ます。