母斑(あざ)・色素斑(しみ) ボハン アザ シキソハン シミ

初診に適した診療科目

母斑(あざ)・色素斑(しみ)はどんな病気?

母斑とは皮膚に生じる腫瘍の一種で一般的にはあざと呼ばれるものです。
皮膚の異常な色調を特徴とするものや隆起しているあざなどがあります。黒あざ、茶あざ、青あざ、赤あざなどがありますが、それぞれ正式には色素細胞母斑、扁平母斑、太田母斑、いちご状血管腫などと呼ばれます。さらにあざの中でも合併症を伴うものもあり、具体的には母斑症、神経皮膚黒色症などが挙げられます。

また、普通の皮膚色をした母斑もありますが、何らかの色がついた母斑が多いという点も母斑の特徴です。
母斑は生まれつきのあざとはいっても、生まれた時にすでに症状が現れているとは限らず、成長するにつれて現れる場合もあります。
皮膚の組織は胎児の時に作られ、その際の分化異常などによって起こるとされています。

また、色素斑は一般的は「しみと認識されているものですが、日光性色素斑(老人性色素斑)、肝斑(かんぱん)、雀卵斑(じゃくらんはん)、脂漏(しろう)性角化症など様々な種類があります。「あざ」と異なり加齢とともに出現し、徐々に濃くなり目立ってくるのが特徴です。

主な症状

母斑の症状はその種類によっても異なります。黒あざ、茶あざ、青あざは大きさも様々です。

生まれつきみられる黒あざは、後から現れる黒あざよりも大きいものが多いとされています。
後から現れる小型の黒あざは一般的にほくろと呼ばれているものです。
茶あざは扁平母斑、カフェオレ斑などの種類があり、カフェオレ斑はレックリングハウゼン病という母斑症によってできるものです。青あざはメラノサイトが増えてメラニンが生成されることで現れます。青色母斑、蒙古斑、太田母斑などの種類があり、中でも蒙古斑は子どものお尻などにみられることが多いです。東洋人にみられる特徴でもあり、ほとんどの場合10歳ころまでに自然に消失します。太田母斑は思春期頃までに顔に現れるあざで、青色もしくは茶色の場合が多いです。

その他、頭部に脱毛斑としてみられる黄色っぽい脂腺母斑、血管が収縮し続けるために白くみえる貧血母斑などもあります。

また、日光性色素斑、老人性色素班はいわゆるシミであり、顔や手足などの日光が当たる部分現れやすく、中年以降に現れることが多いです。

主な原因

母斑は生まれたころからあるものか後から現れたものかに関わらず、生まれつきによるものです。
皮膚の組織が作られる胎児の頃に皮膚の一部が周囲と異なるでき方をしたり、特異な性質を持つ組織が増殖することで起こります。

メラニンを生成するメラノサイトが異常に増殖すれば黒あざや茶あざ、青あざができる原因となります。
また、血管の組織が増殖すればポートワイン母斑やいちご状血管腫などの赤あざになります。

また、組織の異常な分化ではなく細胞の増殖と考えると良性腫瘍とされる母斑もあります。例えば黒あざはメラノサイト系の母斑である一方、メラノサイト系の良性腫瘍とも言えます。同様にポートワイン母斑と呼ばれるイチゴ状に盛り上がる血管腫は血管系の母斑であり良性腫瘍です。

また母斑を症状のひとつとする全身性の疾患を総合して母斑症と呼びますが、その原因の多くは遺伝によるものです。代表的な母斑症にはレックリングハウゼン病、プリングル病などがあります。

主な検査と診断

母斑の検査には皮膚症状を確認して診断することがほとんどです。
また、母斑症においては神経に病変がないかを確認するために、併せてCTやMRIなどの画像検査も行われます。

ほくろである色素性母斑の診断も基本的に視診で診断が行われますが、ダーモスコピーという拡大鏡を用いての診断も行われます。色素性母斑は基本的に良性ですが、悪性度が高い悪性黒色腫との見分けが難しいものもあります。特に日本人の場合、手のひら、足の裏にできる色素性母斑には悪性黒色腫のケースが多いとされており、発生する場所を診断の助けにすることもあります。

悪性黒色腫が疑われる場合にはほくろを手術で切除し、その細胞を顕微鏡で確認する病理組織検査が行われます。検査結果によって確定診断を行うことができます。悪性黒色腫の可能性が高い特徴として、大人になってからできた、色や大きさの変化がみられる、色の濃淡が強い、境界がぼやけているなどが挙げられます。

主な治療方法

母斑の治療にはあざの種類に合わせて外科的切除やレーザー照射、血管内治療などが行われます。
また、蒙古斑などの自然に消える母斑の場合には特別な治療は行われませんが、いちご状血管腫は自然に消えた後に残る跡が目立つため、レーザー照射療や、副腎皮質ステロイド薬の内服による治療が行われます。

自然に消えない母斑でも悪性変化などの可能性がない限りは経過観察となることが多いですが、患者さんや両親の希望に応じて治療が検討されることもあります。

照射するレーザーの種類もあざによって使い分け、ポートワイン母斑にはダイレーザー照射、太田母斑にはQスイッチルビーレーザー照射などが用いられます。太田母斑とポートワイン母斑は顔にできることが多く整容的な面を考慮して、年齢が低い頃から治療が行われることも多いです。

先天性色素細胞母斑の中でも巨大なものは悪性黒色腫の発生のリスクが高いため外科的切除や植皮などが行われます。また、高い確率で2次腫瘍が現れる脂腺母斑は思春期頃までに切除するケースが多いです。