佐々木内科クリニック | 東京都 中野区 内科 循環器科

ドクターズブログ

コラム

2009/05/14更新
■血圧の薬は飲み始めると一生飲まなければいけない?

”血圧の薬は飲み始めると一生飲まなくてはいけないのですか?”
高血圧で血圧の薬を飲む必要があります、と伝えたときに、ほとんどの方同様のことを質問なさいます。

 どうやら、血圧の薬は飲み始めたら最後やめられないので、飲み始めないほうが良いのではないか、と言う考え方が一般の方に広まっているようです。

 高血圧は軽度であれば自覚症状は特にないことが多いですが、放っておくと動脈硬化が進行し、脳梗塞や心筋梗塞になってしまう可能性があります。ですから、健診などで高血圧を指摘されたら早めに正常血圧にコントロールしたほうが動脈硬化の進展を予防でき、脳梗塞や心筋梗塞になる確立を減らすことが出来ます。

 肥満や塩分の摂り過ぎも高血圧の原因ですから、食事に気をつけ適度な運動をするだけでも血圧は下ることはあります。また、一時的なストレス、アルコールの飲み過ぎでも血圧は上がりますから、思い当たる方はそれらを解消するだけでも正常血圧に戻ることもあります。しかし、それらのことに注意しても正常血圧にならなければ、血圧を下げる薬を飲む必要があります。

 基本的に高血圧は風邪のように一時的に薬を飲んで治ってしまう病気ではありません。
血圧の薬を飲み始めて良い血圧になったからと言って、血圧の薬をやめてしまうとまた元の血圧に戻ってしまうだけです。良い血圧にコントロールするには薬を飲み続けなければいけないということであって、やめられなくなる、というのは言い方として正確ではありません。良い血圧を保つためには、飲み続ける必要がある。ということです。

 血圧の薬を飲みつつ、食事療法や運動療法の効果が出てくれば、必要以上に血圧が下がることがあります。その場合は、薬を減量あるいは中止しても正常血圧で収まる場合もあります。そうなれば血圧の薬を中止することも出来るかもしれません。

 血圧の薬を飲み始めることにマイナスイメージを持ち、薬を飲み始める時期を遅らせることは動脈硬化を進展させ脳梗塞や心筋梗塞になるリスクを高めてしまいます。みなさん注意して下さい。

■健診で心電図が正常ならば心臓は問題ない??

 会社や自治体の健診を受けられている方は多いと思います。その中でも心臓病のチ
ェック目的のために心電図を受けられる方も多いでしょう。
健診の結果、心電図が”正常”であれば、心臓病の心配はないだろう、と思われてい
る方も皆様の中には多いのではないでしょうか?

 心臓病の中には動脈硬化により心臓の血管が狭くなり十分な血液が流れなくなる、
狭心症や心筋梗塞などの”虚血性心疾患”、脈が速くなったり、不規則になったり、
遅くなったりする”不整脈”、高血圧を放置していたため、心臓の壁が厚くなった
り、
心臓の部屋が大きくなったりする”高血圧性心疾患”、心臓の中の血液の逆流を防ぐ
ための弁が十分に開かなかったり、しっかりしまらなかったりする”弁膜症”、心臓
の筋肉自体に原因不明の異常が生じる”心筋症”などがあります。

 この中でも、狭心症や不整脈は胸痛や動悸などの症状が出ている時に心電図をとら
なければ心電図に異常は出てきません。狭心症や不整脈は症状がないときの心電図は
正常なことが多いのです。症状がないときに心電図をとって問題がないからと言って
心臓病が否定できるとは限りません。ですから、胸痛や動悸などの自覚症状がある方
は、健診の心電図が正常だからといって安心せずに、しっかり症状を主治医に話し、
運動負荷試験やホルター心電図など病態に適した検査を受けるようにして下さい。

 だからといって健診の心電図が無意味なわけではありません。心臓の壁が厚くなっ
たり、心臓の部屋が大きくなったりしていれば心電図に所見が出ますし、重症の狭心
症では症状のないときでも心電図に異常を認めます。心筋症で症状がない場合は健診
の心電図で偶然見つかることも多いです。もちろん過去に心筋梗塞の既往があればい
つ心電図をとってもわかります。

以上のように、症状や病態に合わせ心電図の結果を理解するようにして下さい。

■”長引く咳”はアレルギーが関係しているかもしれません!!

 熱もない、だるくもない、食欲もあるのに咳だけが2週間も3週間も続いてしまう方
がいらっしゃいます。これは”咳喘息”、”アトピー咳嗽”といったアレルギーに関
係した咳の可能性があります。
 
 この咳は就寝時や夜中から早朝にかけて多く出て、咳のために眠れない場合もしば
しばです。会話、電話、冷気、暖気、タバコの煙などで咳が誘発されます。また、花
粉症、アレルギー性鼻炎、気管支喘息、じん麻疹、アトピー性皮膚炎などアレルギー
の素因を本人や家族の方が持っている場合が多いようです。アレルギーの素因がある
かどうかは血液検査で知ることができます。
 
 治療は気管支拡張剤、抗アレルギー剤、吸入ステロイド薬などですが、咳喘息とア
トピー咳嗽では気管支拡張剤の効果に差があります。
 
 ただし、長引く咳には、肺ガンや肺結核など重篤な疾患の可能性もありますので、
胸部X線などでそれらの疾患を否定することは重要です。

■心筋梗塞や脳梗塞は”動脈硬化”が原因です!! 

 動脈硬化とは動脈の壁が硬く厚くなることで、狭心症、脳梗塞、心筋梗塞の直接的
な原因です。年令が上がれば動脈硬化は自然に進んでいきますので、たとえば70才の
方は30才の方より動脈硬化が進んでいるのは自然なことなので仕方ありません。
 
 つまり、年相応の動脈硬化の程度というものがあります。しかし、高血圧、糖尿
病、
高脂血症、肥満などは動脈硬化を年齢以上に進展させるので、そのような疾患のある
方は実年齢よりも血管年齢はかなり高くなっている可能性があります。
 
 当院の血圧脈波検査装置は両手、両足の血圧を測定するだけで簡単に動脈硬化の程
度を調べることができます。 高血圧、糖尿病、高脂血症などのために動脈硬化が進
んでいてもそれらの治療により動脈硬化も改善する可能性があります。

 高血圧、糖尿病、高脂血症などがある方は定期的に測定し自分の動脈硬化の程度を
知っておいたほうが良いでしょう。

■タバコを吸う方は”慢性閉塞性肺疾患(COPD)”に注意して下さい!!
 タバコを長年吸っている方で、風邪も引いていないのに咳や痰が出る、あるいは
ちょ
っとした運動や日常生活で息切れを感じることがある、などの症状がある方は慢性閉
塞性肺疾患(COPD)の可能性があります。

 慢性閉塞性肺疾患とは、空気の通り道である気管支やその先にある肺胞に炎症性の
病変が生じ、咳や痰、呼吸困難を引き起こす慢性気管支炎や肺気腫の総称で、喫煙者
に多いため”タバコ病”とも言われています。 2001年に行われた大規模な調査の結
果、慢性閉塞性肺疾患患者は日本に約540万人いると推定されています。 世界的に見
ても死亡原因の上位であり、WHOによれば2020年には死因の第3位になることが予想さ
れています。

 慢性閉塞性肺疾患はスパイロメトリーという呼吸機能検査を行うことで診断できま
す。 国際的なガイドラインでは、長期にわたる喫煙歴があり、咳や痰が出る方には
呼吸機能検査を行うことを推奨しています。
 
 当院では上記の呼吸機能検査により慢性閉塞性肺疾患の診断が可能です。タバコを
吸われる方は一度御相談下さい。

■昼間の血圧が正常でも安心できません。”早朝高血圧”があると心筋梗塞や脳梗塞のリスクが高くなります。

 心筋梗塞の発症は早朝の時間帯に多く、この原因のひとつとして”早朝高血圧”が
注目されています。早朝高血圧とは昼、夜の血圧が正常でも、朝の起床時の血圧が高
い高血圧のことです。

 しかし、早朝高血圧の存在は診察時に診療所で血圧測定をしているだけではわかり
ません。自宅で家庭血圧を測定することが重要です。現在、高血圧の薬を内服中の方
は、自宅で朝の起床直後と就寝前の血圧を測定し、就寝前の血圧が正常でも、明らか
に朝の血圧が高い日が続けば早朝高血圧の可能性がありますので御相談下さい。
 
 降圧剤の種類や内服時間の調整により、起床時の血圧を下げることが可能です。そ
れにより、朝方の心筋梗塞の発症の可能性を減らすことができるかもしれません。
 
 家庭血圧の測定は家庭血圧計が正確で正しい測定方法で測定されていることが前提
です。そのためには主治医に正しい血圧の計り方を指導してもらい、診察時に家庭血
圧計を持参して診療所の血圧計と比較し、精度を確認することが重要です。また、測
定した血圧を血圧手帳(当クリニックで差し上げています)に記入することも血圧の
変動、経過を知るうえで重要です。
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